2017年のF1は“ワイド&スピード”。ホンダの躍進も期待できる!?

テクノロジー

 

2017年のF1は見た目が変わって派手になる。実際に速くするだけでなく、「速そうに見える」ルックスにしてファンを増やそうという意図だ。懐疑的に捉えたくもなるが、世間の反応はどうだろう。3月26日に決勝を迎える開幕戦オーストラリアGPが楽しみである。


で、どうなるかというと、2016年までより200mmワイドな車体になる。1800mmだった車体の最大幅が2000mmになるわけだ。20年も前の話になるが、1997年までの車幅に戻ると表現することもできる。大きくなるので迫力が増すのは間違いない。


ボディの幅も広くなるが、それよりも目を引くのは、ワイドなタイヤだろう。フロントタイヤの幅は16年までの245mmから305mmへ、リヤは325mmから405mmへと、どちらも25%拡大する。フツーの感覚で眺めれば、リヤタイヤの幅は乗用車のタイヤ2本分だ。餅をつく杵を横倒しにしたようなものと言えばいいか、蕎麦を挽く石臼を横倒しにしたと言えばいいか、いずれにしても「なんだそれ」と言いたくなるような迫力である。

 

16年のタイヤと比べると幅の違いは一目瞭然


F1のルックスを特徴づける前後のウイングも大型化する。フロントウイングは1650mmから1800mmにワイドになるだけなく、後退角がつく。上から見たらΛのような形になるわけだ。飛行機みたいで格好いい姿になることだろう(皮肉は込めていません)。


リヤウイングもワイドになる(750mm→900mm)。ウイングを支える翼端板は、横から見た際に後傾させることが義務づけられる。これも、スピード感の演出だ。性能を高めるために必要だから後退角を付けたり後傾させたりするのではなく、どちらも、速く見せるための演出的な色合いが濃い。

前後のウィングともにスピード感演出のため形状が変わる

 

 

■見た目が変わって、2年分のスピードアップ


17年のF1マシンはタイヤがワイドになることと前後ウイングやフロアに設けた空力デバイスの大型化などにより、16年比で4~5秒のラップタイム短縮が見込まれている。F1は技術開発によって毎年2秒程度速くなるのが常だが、16年から17年にかけては一気に2年分のスピードアップを果たすことになる。

 

今回のレギュレーション変更で勢力図が大きく変わる可能性が…

レギュレーションが大きく変わるタイミングは、勢力図を塗り替えるチャンスだ。近年では、09年に大規模なボディーワークの変更が行われたが、これをきかっけにレッドブルが躍進。10年から13年まで4年連続でタイトルを獲得した。14年にパワーユニットが一新されると、今度はメルセデスAMGが急浮上。14年シーズン以来、3連覇を果たしている。こうなると、17年の勢力図塗り替えにも期待したくなる。

 

 

■鈴鹿に響いた、アロンソの嘆き


日本のF1ファンとしてはやはり、マクラーレン・ホンダの躍進を期待したいところだ。メルセデスやフェラーリ、ルノーが14年からすでに新しいパワーユニットで実戦経験を積み重ねていたところ、ホンダは1年遅れて15年から開発競争に合流した。開発期間も含めれば後れは1年どころではなく、復帰初年度の15年は勝負にならなかった。


マクラーレン・ホンダを運転するドライバーのひとり、F・アロンソは鈴鹿サーキットで開催された日本GPで、「これじゃ(格下の)GP2のエンジンじゃないか!」と、ストレートを走りながら無線を通じてホンダに訴えかけた。14年以降のF1のパワーユニットは、エンジンに2種類のエネルギー回生システムを組み合わせた複雑なハイブリッドシステムになっているのだが、当時のホンダのパワーユニットはエネルギーの回生が十分ではなく、エンジンの出力に上乗せすべきアシストパワーの実力に劣っていたのである。

 

ホンダのハイブリッドシステムはさまざまな問題をはらんでいた

トップクラスのメルセデスは使いたいときに使いたいところで160馬力のアシストパワーを使うことができたが、ホンダはすぐ電池切れを起こして160馬力を満足に使うことができない状態だった。ステップワゴンのエンジンが発生する出力が150馬力である。ファミリーカー1台分の出力がまるまる足りていなかったのだから、勝負になるわけがない。

 

 

■今年こそマクラーレン・ホンダの飛躍に期待!?


16年はエネルギーマネージメント面の課題を解消。アシストパワーが足りなくてドライバーを嘆かせることはなくなった。その効果もあり、マクラーレン・ホンダは15年のランキング9位から16年は6位に浮上。アロンソの入賞率は15年の22%から、45%に上昇した。


入賞する確率は高くなったが、表彰台からはほど遠かったのが16年の実状だった。パワーユニットに関していえば、ハイブリッドシステム面の開発で競合に追いついた実感はあったものの、エンジン本体の実力で後れをとっているとの認識だった。その差を一気に詰めるべく臨むのが17年シーズンである。16年シーズン終盤に会ったホンダの開発陣は誰もが、自信ありげな表情を見せていた。


となると気になるのは、マクラーレンが受け持つ車体の開発だ。サーキットで速く走るには、パワーユニットだけ実力が高くても、車体の性能だけが高くても不十分。両者がうまく噛み合う必要がある。2017年シーズンはそこが上手くいくことに期待……というか、祈っています。

 

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世良耕太

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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