そもそも「正月営業」は“誰得”なのか?

ビジネス



ある新聞に「元旦営業は是か非か」という記事がありました。元旦に初売りを行う、ある家電量販店の考えは、

 

「年中無休で営業することで、お客さまに安心を感じてもらえ、必要なものがいつでも購入できるメリットがある」

「元旦の買い物は日本の最大級のレジャーになっていて、こうした顧客の期待に応えることが、個人消費にもプラスになると考えている」

「休みたい従業員は、正月三が日は基本的に交代で休んでおり、希望を出せば元旦に休みを取れる。元旦に働いても構わないという従業員もいるし、手当を出したり通常より1~2時間早く閉店するなど配慮している

とのことです。

 

一方、ある研究機関によると、

 

「力を入れたいことについて調査すると『睡眠・休息』がトップであるなど、今の日本人は昔よりも忙しく疲れており、流通や小売り、外食業界も元旦ぐらいは休ませてあげてほしい」

「家計を支えるために共働きが増え、その結果、休日は外出せずに過ごす傾向が強まっている」

「疲れている人は、買い物はネットで済ませる傾向が強く、セールや初売りに出向いて買い物をする人は減っている」

 

などという指摘をしています。

 

ある大手百貨店でも、主要店舗で正月三が日は休業して、4日からの営業にすることを検討するという話がありますので、全体的には休みを増やそうという方向であることは確かだと思います。

 

 

■正月営業は顧客ニーズから生まれたわけではない

 

お正月での私自身のことを言うと、生まれてからずっと、お正月は実家やどこか親戚の家に集まることが決まっていたので、正月営業をしているお店を利用した経験があるかというと、私の場合はほとんどありません。ただ、2年前に実家の母が亡くなり、集まる場所と理由がなくなってしまったことで、昨年は生まれて初めて、どこも行く用事がない元旦を過ごすことになりました。そうなると、お正月というのはたいしてやることがないので確かに暇ですし、ちょっとどこかに買い物でも行こうかという感じになるのもわかる気がしました。正月に営業するお店があれば、それはそれで便利だと思いましたが、その恩恵の感じ方は、このような家の事情によって、ずいぶん違うのだろうと思います。

 

私が思うに、正月営業というのは、顧客ニーズや要望があったから始められたというよりは、お店のほうがどうやって売り上げを上げるか、消費を喚起するか、業績を向上させるかという発想の中で出てきたものだと思っています。潜在ニーズを掘り起こす一環ということです。

 

それは顧客の側から見れば、なくても困りはしないがあれば便利という感覚のもので、やっぱり利用する人は限られるのではないかと思います。これは飲食店の24時間営業や、宅配便の細かな時間指定や、やたらと配送までが早いネット通販なども同じことのように思います。深夜に活動する人、在宅時間が限られる忙しい人にとっては利用頻度が高くても、私のように昼間に働いて家族と一緒に暮らしていると、これらのサービスを使う機会はほとんどありません。
 

 

■「便利さ」「安さ」の裏で働く人のことを考えてほしい

 

「便利さ」の裏にも「安さ」の裏にも、必ずそれを支える人がいます。そのサービスが過剰になればなるほど、裏で支える人達のつらさは増すでしょう。世の中のほとんどの人は、「便利さ」や「安さ」を享受する立場と、それを支える立場の両方を持っています。そんな支える側のつらさを緩和するためには、両方の立場から歩み寄っていくことが必要になります。

 

経済合理性ばかりを追いかける考え方が、私はあまり好きではありません。そろそろ過剰なサービスは見直して、お正月くらいはみんなで休めばよいのにと、私は思います。
 

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ユニティ・サポート小笠原隆夫

ユニティ・サポート小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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