「方位磁石で南北がわかる」のはなぜ? 知れば知るほど面白い科学の雑学!

テクノロジー

小谷太郎

 

「方位磁石」で南北がわかるのはなぜ? 

「竜巻の渦」は北半球と南半球で逆向き? 

「人工衛星」はなぜ地球に落ちてこない?  

あなたは、このような質問にパッと答えられるでしょうか。意外に難しくはありませんか? 私たちの日常生活は「謎」に包まれているのです。

 

謎も疑問もふしぎも、本来、人間に一番大切なもの。「なぜ?」や「どうして?」を繰り返して進歩してきたのが科学です。そういう「日常の疑問を知りたい」、「宇宙の謎を突き止めたい」、という欲求を原動力として進歩してきた科学は、今では多くのふしぎを解明するに至りました。私たちの「素朴な疑問」に科学がまとめて答えてくれるのです。科学が解き明かしたふしぎのいくつかを、この場を借りてお伝えしましょう。

 

 

■「方位磁石」で南北がわかるのはなぜ?

 

磁石には「磁極」というものがあります。北(North)を指す「N極」と南(South)を指す「S極」と言えばピンとくる方も多いでしょう。同じ磁極どうしは反発するので、S極とS極は反発します。N極とN極も反発します。逆に異なる極は引き合います。つまり、S極とN極は引き合います。これはもちろん方位磁石の特徴の一つでもあります。

 

じつは地球そのものが巨大な磁石になっています。地球を巨大な磁石にしているのは、地球内部を流れる電流だと考えられています。地球の磁極の位置は自転の極とほぼ一致していて、自転の北極近くにはS極があり、南極近くにはN極があります。異なる磁極は引き合うので、方位磁石のN極はだいたい地球のS極(北極)を指し、S極はおおむね地球のN極(南極)を指すことになります。これが方位磁石で南北がわかる理由です。方位磁石は、磁石の性質を巧みに利用した発明なのです。

 

 

■「竜巻の渦」は北半球と南半球で逆向き?

 

竜巻は、空気の猛烈な渦巻きが地面から上空まで紐のようにつながったもの。風速25メートル/秒の比較的弱いものから、95メートル/秒を超える破壊的な強さのものまであります。

 

ところで、竜巻の渦は北半球では反時計回り、南半球では時計周りであることは知っていましたか? これは「コリオリの力」という地球の自転に由来する力が竜巻に向かって流れ込む風に働くためです。風が地面の上を真っ直ぐ進むと、地面は地球の自転にともなって動くため、風の進路が曲がるように見えるのです。

 

 

■「人工衛星」はなぜ地球に落ちてこない?

 

アイザック・ニュートンが発見した「万有引力の法則」によると「リンゴも月も同じ法則にしたがって落下している」ということです。リンゴでも月でも、そして人工衛星でも物体は何であれ、地球のような重力を持つ天体のそばで放たれると、楕円軌道を描いて天体を周回します。ただし、リンゴは楕円を描く途中で地表にぶつかってしまうのです。リンゴは楕円を描いて地球に近づいたとき、リンゴと天体中心との距離が天体の半径より短くなってしまうのです。

 

では人工衛星はというと、軌道がとても高いので、地球に近づいたり遠ざかったりを繰り返しながら、地球を中心とした楕円を描き続けます。これこそ人工衛星がリンゴと違い地球に落ちてこない秘密だったのです。ただし軌道が低い人工衛星は遅かれ早かれ大気圏に再突入し、燃え尽きるか、または地上に焼け焦げが降ってきます。低軌道の人工衛星には寿命があるのです。

 

 

■インフルエンザは、なぜ、毎年流行するの?

 

じつはウイルスもDNAを持っていたりします。たとえば、世界初のワクチンによって根絶された天然痘ウイルスは、「2本鎖DNA」を遺伝情報の記録媒体に採用していました。2本鎖DNAは記録媒体としてとても優れていたので、突然変異が起こりにくいという特徴があります。そのためワクチンを摂取し免疫がついた人間は天然痘にかからなくなりました。

 

一方、インフルエンザ・ウイルスは遺伝情報の記録媒体として「1本鎖RNA」を採用しています。この1本鎖RNAこそがインフルエンザが毎年流行る原因。2本鎖DNAよりもコピーミスばかり繰り返すので、インフルエンザ・ウイルスは頻繁に突然変異を起こします。毎年のように新種が生まれるのでは、人間の免疫など何の役にも立ちません。インフルエンザ・ウイルスが不完全な記録媒体を持つからこそ、毎年猛威をふるっているとは何とも奇妙な話です。

 

 

■海の水は「空から降ってきた」?

 

地球ができたのは約46億年前と言われていますが、海はいつごろできたのでしょうか。水は酸素と水素の化合物で、地球にはどちらも豊富です。地球に海のような水が豊富にあることはふしぎではありません。ただし現在の海の材料の水としての水が、どういう過程でもたらされたかは、議論の余地があります。どうも地球は誕生して間もなく起きた火星サイズの隕石衝突により、当初の大気をあらかた失ったのではないかと推定されています。現在の海の水は、その後に供給されたことになります。

 

それは火山活動によって地中から噴出したのでしょうか? 氷を持つ微天体の衝突によって空からもたらされたのでしょうか? 後者の方が多いと考える研究者もいます。そうなると海の水は空から降ってきたことになるのです。

 

こうして日常のさまざまなふしぎについて知ると、もしかしたらますます多くの疑問が湧き上がってくるかもしれません。そうなったら本書は成功です。ふしぎを知りたい科学の営みに終わりはないからです。

 

 

【関連書籍】

知れば知るほど面白い科学のふしぎ雑学』(三笠書房)

 

 

 

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小谷太郎

1967年、東京都生まれ。東京大学理学部物理学科卒。博士(理学)。専門は宇宙物理学。理化学研究所、NASAゴダード宇宙飛行センター、東工大、早稲田大学研究員などを経て大学教員。主な著書に『知れば知るほど面白い...

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