お洒落一軒家が500万円以下で買える?! 事故物件って実際どうなの? 『霊能者と事故物件視てきました』

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最近、芸能人が売り出し中の物件を訪問し、その素晴らしさを紹介するバラエティ番組をよく見かける。マンションや一軒家などの素敵な外観、広くてきれいな部屋、便利なシステムキッチンやお風呂。ぜひとも住んでみたいとテレビの前で心ときめくものの、最後に(たいてい問題形式で)明かされる物件のお値段を見てすぐに諦める。

 

 

ところが、魅力的な内容・条件でありながら、ときに驚くほど安い物件が転がっている。それが自殺や事故、事件、孤独死などで変死があったいわゆる“事故物件”だ。その家で何が起こったのかを気にしなければ、これほどお得な買い物はないだろう。何も実害はないはずなのだから。とはいえ、なんだか怖い。実際、問題なく住むことはできるのだろうか? そんな疑問に答えてくれるのが、『霊能者と事故物件視てきました』(東條さち子:著、育代:監修/ぶんか社)である。

 

 

本書は、アパートの大家をやっている漫画家・東條さち子さんが、ビジネスを行うには人と同じような物件を買うようじゃダメと事故物件に着目。霊能者とともに問題のある数々の物件を内見する様子を描いたコミックエッセイである。事故物件を意味もなく訪問して面白おかしく紹介すれば、単なるオカルトな読み物になってしまうだろう。だが、本書では東條さん自身が霊など信じておらず、問題がなければ購入することを目的としているので、読者も住めるかどうかという視点で読むことができる。霊能者の育代さんもひと昔前のテレビで見たようないかにも怪しげな人ではなく、日焼けを気にするフツーの女性のようだ。

 

 

さて、彼女らが訪ねた物件のひとつが、東條さんがチラシで見つけた3LDKの中古住宅。駅から離れた奥地にあるものの、土地が広く築浅。2階の部屋の窓や渡り廊下からリビングを見渡せたり、寝室に電動の屋根裏ハシゴがあったり、モダンでお洒落な造りの一軒家だ。880万円だったところを480万円に値下げされ、確かにお買い得。これは欲しい。が、不動産屋の話によるとしばらく前にこの家の玄関で首吊り自殺があったという。家に入るとすぐに鼻につくニオイがし、キッチンカウンターの壁が雨漏りでべろんとめくれ、なんとも異様な様子だったそうだ。

 

 

育代さんの霊視によると、元の住人はギャンブルか何かで家のローンを払えなくなり、家族に出て行かれて錯乱し、死んだらローンが払えると考えて自殺したという。あとで調べてみると、かつてその一帯で大きな飢饉があり、たくさんの人が飢え死にしたという歴史があることがわかった。その影響で餓鬼がおり、住んだら金銭的に破綻するとの査定結果だった。

 

 

東條さんは、駅から遠くて雨漏りがあるという物理的価値、さらに土地の因縁を考えるとタダでもいらないと判断。そういえば、筆者の自宅近くの密集した住宅地の一角にぽっかりと空き地があった。小さい頃に聞いた噂によると、江戸時代、そこは藩の刑場だった場所で、人が住むたびに亡くなっているとか。今はシルバー人材センターが建ち、かれこれ十数年経っている。すっかり落ち着いているようだ。一度も人がいるのを見かけたことはないけれど。東條さんは、自殺や孤独死のあった部屋はなぜかまた同じことが起こると不動産屋からよく聞くという。不思議な話だが、そうしたことはあるのかもしれない。…などと考えると、もう気になって仕方がなくなってくる。さすがに死ぬ危険は避けたい。

 

 

ということで、無理して買わない方が良さそうだ。だが、それでもこうしたお得物件を購入したいならばワケあり物件専門の不動産屋があるらしい。祈祷師の資格を持ち、ちゃんと家をケアした上で相場より2~3割安く売ってくれる。これならひと安心だ。育代さんいわく本来の寿命までこの世にとどまりウロウロしているという自殺者の霊も、きっときれいに祓ってくれるだろう。また、必ずしも事故物件に住むと不幸になるわけでもないようだ。50代未婚の男性が孤独で先行き不安になり自殺したとあるマンションの部屋は、その後父親を自殺で亡くしたため自殺に理解があるといって借りた女性が、問題なく4年間住み続けたらしい。育代さんによると、自殺した男性は女性の入居者を喜んでいるとのこと。ちょっと気持ち悪いが、気にしなければ霊と同居することもできるのだ。

 

 

東條さんは「いわく付き物件でお金儲けなんておいしい話はない」と結論づけている。大家としては客を危険にさらすわけにはいかないだろう。もし購入した本人が住むのであれば、土地の歴史を調べ、その家のどこで何があったのかを調べ、お祓いをするなどきちんと処理した上で、霊的なモノに打ち勝てる強い精神を持って、自己責任で住むのはアリかもしれない。だが、一番安心できるのは、やはり問題のない家に相場の値段を払って住むことだ。安いものにはそれ相応のリスクがあるのだから。

 

文=林らいみ

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