「ち」と「ん」と「ぽ」。この3文字への愛が止まらない

エンタメ

 

私は、数ある日本語のなかでも一番好きな言葉は「ちんぽ」だと淀みなく断言することができる。

 

ただ、勘違いされたら困るのが、「ちんぽ」という名の、いわゆる男性器、ペニス自体のことがカミングアウト的なニュアンスで好き……という意味では決してなく、単に「ち」と「ん」と「ぽ」がこの順番で並べられた3文字の単語が好きなだけなのである。

 

あといくらかの説明を足すと、「ちんぽ=サオ」である必然性はまったくないわけで、仮に「ちんぽ」が「白菜」だったり「すき焼き」だったり「コイン式駐車場」だったり「スマホ」だったり「ルーター」だったり「キャリア官僚」だったりのことを指す日本語だったとしても、それはそれで全然かまわない。たとえば、EXILEのユニット名が「ちんぽ」だったとすれば、私は「ちんぽ」という名のEXILEのことが大好きになる。楽曲やメンバーの暑苦しいキャラやその周辺に集まる胡散臭い輩(ヤカラ)なヒトたちのことまでを好きになれるかどうかはわからないが……つまりはそういうことなのだ。

 

とにかく語感・音感がたまらなくいい。「ちん」という珍な響きに、より深い味わいを加える(※「咥える」ではない)「ぽ」の抜け感。「ちん」と来て「ぽ…」。なのに、「こ(ちんこ)」や「ちん(ちんちん)」にはない止め感も「ぽ」には秘められており、それが日本人の背徳感を絶妙なバランスで刺激する……。

 

ビジュアルの面でも完璧だ。片仮名の「チンポ」もなかなかではあるけれど、やはり平仮名の「ちんぽ」にはかなわない。のほほんとした凸感がただよう「ち」と、美しい流線型を奏でる「ん」のあとに、直線と曲線が絶妙に入り交じった「ほ」が半濁音のマル付きで控えていることによって、柔らかなメリハリを表現する……マヌケなのに破壊力も抜群──こんな日本語を少なくとも私は、ほかに思いつくことができない。

 

そんな計り知れないポテンシャルに恵まれた「ちんぽ」なだけあって、さすがの私も、このcitrusをはじめとする品格あふれたメジャー系媒体での「ちんぽ」のフルネーム表記にはつい躊躇してしまいがちで、どうしても書かざるを得ないときは「ち○ぽ」などと日和った姿勢の伏せ字で逃げを打つケースが大半なのが、悲しいかな現状だったりする。

 

しかし、こと今回に関してだけは“向こう側”、citrusさんから「ちんぽについて書いてください」と発注してきたんだからしょうがない。このような機会は一生に一度あるかないかなので、せっかくだから一つでも多くの「ちんぽ」を当コラムに書き記しておきたいと思う。

 

J-CASTニュースによると、『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)というタイトルの新刊本が今、売れに売れているらしい。発売から1週間あまりで売り上げ部数は6万部に到達し、まだまだその勢いは止まりそうにないのだという。

 

主婦ブロガー「こだまさん」の実体験に基づく私小説で、あけすけなタイトルとは裏腹に、「男性器が挿入できないという悩みを引きずる“私”が直面する、仕事や結婚生活でのさまざまな重苦しい壮絶エピソード」が、淡々とした筆致で綴られている……のだそう。

 

コレはもう「タイトル勝ち」以外の何物でもない。もし本作品のタイトルが『ある主婦が抱く、ある性の苦悩』みたいなソレだったら、ここまでの売り上げ初速はのぞめたはずもない。私はまだ、この本を読んでいないのだが、ぶっちゃけ内容はどうだっていい。「書評」という建て前により、大手を振って「ちんぽ」「ちんぽ」と無制限な大量投入の“お墨付き”をいただけたことが重要なわけであって、その一点のみに私は惜しみない高評価と感謝の意を示したい。

 

おそらく今日の原稿は、私が過去citrusに寄稿したコラム中での最高傑作となるだろう。「ちんぽ」(タイトルと片仮名表記を含め合計17個使用!)という「一撃必殺の最終兵器」として日本言論界に君臨する“黄金フレーズ”を得た時点で、私は文筆家としてだけじゃなく、美術家としても音楽家としても、もはや勝利したも同然なのだ。もうお腹いっぱい……大満足である。次に〆切りを控えている企業系のインタビュー原稿を書くのが憂鬱で憂鬱で、モチベーションが上がらない。こーいった脱力的症状を「燃え尽き症候群」と言うのだろうか……?

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

山田ゴメスのプロフィール&記事一覧
ページトップ