ホンダが発表した「自立するバイク」の技術がSF級にスゴい

テクノロジー

相京雅行

ホンダがラスベガスで行われた家電見本市で“人が乗っていなくても”バイクが自立する技術を公開した。バイクは人が乗っていなければ自立しない。自転車だって同じだ。本来、二輪車は人が乗っていなければ自立しないのだ。

 

1月にラスベガスで開催されたCESで「自立するバイク」が発表された

バイクの運転をしたことがない人は、自転車を運転している時を想像してほしい。自転車で転倒する多くの場合は、漕ぎ初めか止まる直前でないかと思う。二輪車はゆっくり走るときほどバランスをとりにくく転倒しやすい。自転車だって転倒すればちょっとした事故だ。これがバイクとなると50ccの原付スクーターでも重さが100kg前後。重いバイクなら300kg以上の車両も存在するのだから、転倒した際の人間のダメージはかなりのものとなる。

 

更に車体が重ければ、転倒した際のバイク本体へのダメージも大きなものになってしまう。愛車を傷つけてしまえばオーナーの精神面のダメージも小さくはない。前述したように二輪車は低速時にバランスを崩しやすくなる。渋滞中の走行やユーターンの際など極低速での走行を強いられるケースは少なくはない。こういったシチュエーションで転倒するリスクが高くなるのだ。

 

 

■バイクの転倒事故がなくなる?

 

しかし今回ホンダが公開した「HONDA RIDING ASSIST」が市販車に搭載されれば、前述したような極低速運転中の転倒事故はなくなることになる。これは今までの二輪車の既成概念を覆す制御技術といえるだろう。

 

 

HONDA RIDING ASSISTには、2000年11月に初期型が発表された二足歩行のヒューマノイドロボットASIMOや、ヒューマノイドロボット研究から開発されたバランス制御技術UNI-CUBなどが生かされているとのこと。アニメやSFの世界では運転者が車やバイクと会話しコミュニケーションをとる描写が表現されることがあるが、バイク自身が転倒しないために自律行動をとってくれる本技術はこのような未来を創造させる技術だ。

 

このバイクには2000年に発表されたASIMOの技術が生かされている

■「バイクと会話できる」時代がやってくる?

 

実際にホンダが公開している動画では、女性がバイクのヘッドライト下を触ると女性の後ろをついていくような行動が見られた。「ヤバイ!バイクと会話するような未来が来るかも!」と思ってしまったが、飛躍しすぎだろうか?腕時計に向かって「ここに来い」と話しかけると自分のところまで車やバイクが来てくれる「あれ」である。

 

そういえば先日、楽天のフォーラムで登壇したスーパーコンピューター開発者の齊藤元章氏は2030年よりも前にコンピューターの知性が人間を越える特異点が訪れると話していたが、転ばないバイクが発表されちゃう時代であることを考えると、ありえるかも!と思ってしまう。話が飛躍しすぎてしまったが、転ばないバイクとは今までの歴史を考えればSF的な話であると思う。

 

 

■SF的な話が現実に

 

ちなみに運転者をアシストする機能と考えれば、実は段階的に進化してきている話ではある。例えばブレーキをかけすぎてロックしてしまうのを未然に察知してふせぐABS機能や、アクセルの回しすぎによるタイヤの空転を防ぐトラクションコントロール機能などがそれにあたる。高級車両やレース車両などに採用されていたこれらの技術は、今や125ccのスクーターにも一部採用されている。

 

またバイクは車に比べてもオートマよりも圧倒的にマニュアルトランスミッションを採用している車両が多い。車で言うオートマ感覚で乗れるバイクはスクータータイプと一部の限定された車両だけに限られている。マニュアルトランスミッションの車両は車でいえば左足でクラッチを操作するが、バイクは左手でクラッチを操作する。排気量の大きい車両ほどクラッチの操作に力が必要になるが、最近ではクラッチ操作の負担を減らす機構が取り入れられた車両も存在する。

 

マニュアルトランスミッション採用車両はオートマ車両と違って「エンスト」の危険がある。いきなりエンジンがストップしたら転倒の危険があるが、スズキが最近リリースした車両にはローRPMアシストという機構が取り入れられており、これはエンストのリスクを減らす技術である。

 

 

■新しい二輪ファンの囲いこみも

 

業界では長らく、バイクは趣味性が高い乗り物として認知されており、快適性よりも走行性能が重視されてた傾向があった。車と比べても軽い乗り物に車と同じぐらいの排気量エンジンを搭載した車両もあるので、圧倒的な加速感や運転の楽しみがある乗り物なのは間違いない。しかし転倒するリスクや煩雑な操作が新しいユーザー層の参入の妨げになっている面もあったのではないかと思う。

 

これからも国内のバイクメーカーは従来のバイクファンを裏切らない高性能なバイクをリリースし続けるだろう。これも大事なことだが、今回発表された転倒しないための技術やユーザーの操作をサポートする技術が導入された車両がリリースされれば新しい二輪ファンを増やすことができるかもしれない。

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相京雅行

スクーターからビッグバイクまで、幅広いジャンルのオートバイパーツの開発を手がけ、ライフスタイルに合ったバイクを提案。

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