いま最もF1に近い、3人の日本人ドライバー

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ホンダは未来のF1ドライバー育成のため、独自のプログラムを実施している。出典:Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)

2015年からマクラーレン・ホンダのパワーユニットサプライヤーとしてF1世界選手権に参戦するホンダは、若手ドライバーを育成してF1に送り込むプログラムを進めている。その名も「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」だ。マクラーレンとタッグを組んでからは、マクラーレン側の「ヤングドライバーディベロップメントプログラムと協調し、「F1ドライバー輩出に向けた取り組みの強化」を図っている。


国内レースで伸張著しい若手ドライバーを選抜し、海外のレースシリーズに送り込むのが、日本人F1ドライバーの輩出に向けた具体的な取り組みだ。2017年は松下信治(まつした・のぶはる/23歳)、福住仁嶺(ふくずみ・にれい/20歳)、牧野任祐(まきの・ただすけ/19歳)の3名が選抜された。ひょっとすると、いや、間違いなく、いま、最もF1に近い日本人ドライバーたちだ。


F1参戦が成ったあかつきに知ったかぶりをするためにも、彼らのプロフィールを頭に入れておこうではないか。

 


■松下信治:GP2に参戦

 

現在、GP2で戦う松下信治。次世代のF1ドライバーとして最も注目されている。出典:Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)

松下はF1直下のGP2に参戦する。15年から参戦しており、今年で3年目。14年に全日本F3でタイトルを獲得したことが評価され、HFDP に抜擢された格好。GP2はヨーロッパラウンドを中心にF1と併催するレースシリーズで、過去から現在に至るまで、多くのF1ドライバーを輩出している。


今年、マクラーレン・ホンダのレギュラーシートを獲得したストフェル・バンドーン(ベルギー出身/24歳)も、GP2からF1にステップアップしたひとりだ。というより、15年の松下のチームメイトで、この年ランキング2位のドライバーに大差をつけてチャンピオンを獲得した。F1への切符を手にした例は身近にいる。


──3年目に向けて心境は。
松下「やらないといけないという気持ちが強いですね。自信を持って開幕戦に臨みたいと思います。3年目なので経験はある。毎レースとりこぼしなくポイントを取ることができれば、最終的にはチャンピオン争いができると思います」


──どのような準備をしていますか?
松下「マクラーレンでドライビングシミュレーターに乗ったり、トレーニングをしたりしています。昨シーズン中は時間がなかったので、昨年失敗したこととうまくいったことを整理しています」


──具体的には。
松下「(失敗したと思うのは)メンタルです。勝てる状況になったときに意識しすぎて、まわりが見えなくなったことが結構ありました。そうならないようにしたい。良かったのはスタートでした。レースではスタートが大事。うまくいったことと失敗したことをしっかり整理し、すべてうまくいくようにしたい。GP2は予選が重要なのですが、その予選をうまくいかせるためにもフリー走行が大事。フリー走行から速さを見せつけることが課題です」

 

 

■福住仁嶺:GP3に参戦

 

福住仁嶺はGP3の最初のレースでいきなり表彰台に上った

GP3はGP2直下のレースカテゴリーで、やはり、ヨーロッパラウンドを中心にF1と併催する。15年に全日本F3選手権でランキング4位となった福住は、HFDPの一員として16年からGP3に参戦。スペインで行われた開幕戦の第1レースでいきなり3位表彰台に上がるなどし、ランキング7位で1年目のシーズンを終えている。


──ずばり今年の目標は。
福住「優勝してチャンピオン争いに絡めるようにしたいです。ひたすら、速く走ることだけを考えます」


──F1に近づいたと感じていますか?
福住「遠くはないと感じますね。一緒の会場でレースして、F1を見ていますから。それに、マクラーレンでシミュレーターもやらせてもらっている。いろんなつながりができて、『遠くないかも』と思えるようになりました。あとは、僕の結果と英語力しだい(笑)」


──ステップアップするための課題は?
福住「開幕前のテストでトップタイムを出したし、開幕戦でいきなり表彰台に乗りました。何も考えていなかったのが良かったのかもしれません。焦ると良くないし、メンタルが弱かったと自覚もしているので、いかに平常心で臨めるかが課題。今年は全然負ける気がしていません」

 


■牧野任祐:ヨーロッパF3に参戦

 

今年から牧野任祐はヨーロッパF3選手権に参戦。2018年のF1参戦を狙う


ユーロF3とも呼ばれるヨーロッパF3選手権は、F1と同じFIA(国際自動車連盟)が統括するレースシリーズで、GP2と同様、数多くのF1ドライバーを輩出しているカテゴリーだ。16年に全日本F3で頭角を現した牧野は、その才能が買われ、SUPER GT GT500にスポット参戦。デビューレースで2位を獲得し、一躍注目を集めた。17年は初の海外シリーズに臨む。


──念願叶っての海外シリーズ参戦ですね。
牧野「楽しみなんですが、問題はひとり暮らしの自炊です」


──チームはどこ?
牧野「イギリスです。ファクトリーはシルバーストンサーキットの近くにあります。今まで料理したことがないのが大問題。(物価の高いイギリスでは)外食すると破産するので自分でできるよう練習しているんですが、センスがなさすぎて困っているところです(笑)」


──料理以外の課題は?
牧野「早くコースを覚え、攻略することですね。チームにあるシミュレーターでしっかり覚えていこうと思っています」


──ずばり今年の目標は。
牧野「チャンピオンになることです。最低でもシリーズ2位には入りたい」


──その根拠は。
牧野「(F1参戦に必要な)スーパーライセンス取得に必要なポイントが手に入るからです」


──2018年にはF1に乗りたい。
牧野「チャンスがあるなら乗りたいです。そのためにもスーパーライセンス取得に必要なポイントが必要。日本にいたら可能性は薄いと思うので、チャレンジのしがいがあります」


活きの良い若者は見ていて気持ちがいいものだ。果たしてF1への切符を手にするのは誰か。3人の若手ドライバーの活躍に注目だ。
 

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世良耕太

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全...

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