脳神経外科医が教える、ムダなカロリーを摂らないための3つの食欲マネジメント

ヘルス&ビューティ

 

■食事に対する「心構え」を変えよう


「何を食べたら健康になりますか? 太らないですか?」。よく私が診察のときに聞かれる質問です。私たちの体は食べたもので作られます。ですから、食べるものに気をつけることは当然のことですが、すぐに体は変化しません。私たちがまず変えるべきものなのは食事に対する考え方なのです。「心構え」すなわち考え方、捉え方というものはすぐに変えることができ、そしてみなさんの悪い習慣を変え、とるべき行動を実行できるようになります。とにかく、食べるものを変えるよりもまず先に、食事に対する「心構え」をぜひ変えてみましょう。そこで重要になるのが、みなさんがコントロールに手こずる「食欲」という欲求です。
 

 

■「本当はお腹が空いていないのに食べてしまう問題」

 

現代において、食事は「生命を維持するためのもの」というレベルをはるかに超えてしまいました。「おいしいものをたらふく食べたい」、そんな欲求を満たすためのエンターテインメントのひとつと化しています。しかし食べ過ぎることによって肥満傾向になり、「健康」「身体のパフォーマンス性」など、様々なものを失うことを自覚すべきです。

 

 

■「ピュアな(本当の)食欲」と「フェイクな(ウソの)食欲」

 

食欲は、旧来の「生命を維持するための食欲」と、ここ50年ほどの間に出現した「快楽としての食欲」とに分類できます。この二つは以下のように名付けることができるでしょう。

 

「生命を維持するための食欲」……(ピュアな食欲/本当の食欲)

「快楽としての食欲」……(フェイクな食欲/ウソの食欲)

 

そして、「フェイクな食欲」を過剰に満たし続けると、あっという間に肥満になるというわけです。現代に生きる私たちの最もヤバい点は、湧き上がってきた食欲が「ピュアな食欲」か「フェイクな食欲」か、わからなくなっているということです。「ピュアな食欲」か「フェイクな食欲」かもはや意識することさえなく、おいしいものが目に入ると、まるで〝脊髄反射〟のように食べてしまう。これこそ現代人の抱える病です。では、どうすれば、やっかいな「フェイクな食欲」を抑え、ムダなカロリーを摂らない食生活にできるのか? ここでは最低限の心構えとして3つのポイントを挙げます。

 

 

■ポイント① 1日1度は、空腹を感じよう!

 

「お腹が空いていないのに、習慣だから(すすめられたから)箸をつける」という食習慣がある場合、空腹を感じる時間(ピュアな食欲を感じる瞬間)を、1日1回意識してください。空腹を感じるということは、「胃腸を完全に空っぽにして休ませる時間」をつくるということです。胃腸を休ませる時間が増えると、次のような変化が体に起こります。

 

・体内の毒素を効率よくデトックスできるようになる

・慢性疲労が改善する

・思考が冴える

・サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が活性化する

※「サーチュイン遺伝子」とは別名「長寿遺伝子」とも呼ばれ、抗加齢(アンチエイジング)や寿命延長などの効果が期待されている遺伝子です。

 

このように飽食の時代にあっては、むしろ空腹こそ〝贅沢〟です。また「腹が減っては戦はできぬ」は真っ赤なウソ。むしろ「満腹では戦で勝てぬ」が現代では真理です。

 

 

■ポイント② 「1日3食」から「1日2食」にシフトする

 

まず単純に、現代人はカロリー摂取過多である場合が多いです。体を激しく使う仕事ではない限り、食事の量を抑えたほうがよいのは、間違いないでしょう。総摂取カロリーさえ足りていれば、無理に「3回」という回数にこだわって食べる必要はありません。「基本的に主食は2回、アドオン(追加)としてサラダやナッツや豆腐、野菜スープなどを、〝おやつ〟として2~3度摂ってもよい」。このように食事のスタイルをシフトしてみるのはどうでしょう(〝おやつ〟といっても決してスイーツではなく、ヘルシーな食材を摂る点がポイントです)。

 

 

■ポイント③ 良質な睡眠で食欲を抑える

 

「レプチン」という、食欲を抑制してくれる、今注目のホルモンがあります。食欲、渇き、睡眠や気分といった多くのプロセスに携わる「視床下部」に働きかけるため、食物摂取に多大な影響を与えることがわかっています。この「レプチン」は、睡眠時間が短いと分泌量が減ってしまい、逆に食欲を刺激する「グレリン」というホルモンの分泌量が増えます。つまり起きている時間が長くなればなるほど、食べ過ぎの傾向が見られるようになります。食欲抑制のため、レプチンをしっかり分泌できるよう、睡眠は十分にとる必要があるのです。

 

 

■【おまけ】食欲に勝つのは「面倒くさい」という気持ち

 

「食欲」を抑えるシンプルな方法。それは「面倒くさいこと」「手間がかかること」です。人は何かを食べようと思っても、ちょっとした手間がかかるとわかると、途端に食欲が失せてしまう生き物なのです。この脳の仕組みをうまく生かせば、ダイエットなどは成功しやすくなります。たとえば「食事をしたあとは歯を磨く」と決めておけば、その後の余計な飲食は自然と億劫になるでしょう。また、マスクを常時つけることで、食事の時間以外にやらかしがちな「ながら食い」や「おやつのダラダラ食べ」を避けられる。そう指摘する専門家がいます。「面倒なことを嫌う」という脳の癖を逆手にとることができれば、痛快ですね。

 

「ムダなカロリーを摂らない方法」として、以上のポイントを挙げましたが、食欲をうまくマネジメントしていくために、そもそもの考え方として頭に入れておいてほしいことがあります(特に肥満傾向を改めたい方)。それは「今のあなたは、今の体重を維持するだけの量を食べている」という事実です。体重は、「摂る」カロリーと「出す」カロリーのバランスで決まるので、今の体重は、その体重を維持するだけのカロリーを摂取していることにほかなりません。痩せない人は、なによりも「今の体重を維持するだけ食べている」という、変えられない事実を認めることから始めていきましょう。

 

【関連書籍】

成功の食事法: 脳神経外科医の自分を劇的に変える食欲マネジメント』(ポプラ社)

 

 

 

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菅原 道仁

菅原 道仁

All About「家庭の医学」ガイド。現役脳神経外科医。脳血管障害を中心に、救急医療からリハビリテーション、予防医療までの現場経験を元に、くも膜下出血・脳梗塞・認知症などに代表される脳・神経の病気について、...

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