「時間内配達サービス」は“らしく”ない? ドン・キホーテが本来歩むべき「独自路線」とは?

ビジネス

小寺 良二

 

■時間内配送サービスへの参入は本当に「ドンキらしい」のか?

 

最近競争が激化している「時間内配達サービス」だが、先日アマゾンの「60分以内」に対抗する形であのドン・キホーテが「58分以内」を掲げて参入を表明した

 

 

家に居ながらにしてネットでショッピングが楽しめる、かつ購入した製品が短時間で手元に届くのは利用者からすると便利で有難い限りだが、あのドン・キホーテが「時間内配送サービスを始める」と聞くと、なぜか不思議と両手を挙げて喜ぶ気になれない。キャリアコンサルタントという仕事柄なのか「○○らしさ」というのをつい考えてしまう。ただ他の人の真似をしたり他者と同じ道を歩もうとするよりも、自分らしい独自の道を歩む方が強みを発揮できるし、結果的にうまくいくことが多いからだ。

 

では一体何が「ドンキらしさ」なのか。それはやはりあの曲を大音量で聴かされながら、商品がごちゃごちゃしている店舗をぶらぶら歩きながら楽しむ「リアルショッピング」ではないだろうか? 時代の波に乗って「ネットショッピング」や「時間内配送サービス」を始めるのも経営戦略としては間違っていないかもしれないが、ドンキファンとしては「リアルショッピング」という強みを活かしたドンキならではの「独自路線」を歩んで欲しいと願ってしまう。

 

 

■近代デジタル技術が実現する「どこでもリアルショッピング」

 

もしもドン・キホーテが「リアルショッピング」の独自路線を突き進むのであれば、可能となる施策はいくつかあるはずだ。「58分以内配達サービス」の送料は、店舗から3キロ以内が条件で税込750円のようだが、最近東京都のタクシーが初乗りを410円に値下げしたように時間内かつ低料金で「店舗送迎サービス」を行うのも悪くない。家に商品が配送されるよりも自ら店舗に出かける方が健康には圧倒的に良い。高齢者向けのデイサービスなどの介護ニーズも年々増加しているが、送迎さえ可能になればドンキでの買い物も1つの「介護サービス」になり得るかもしれない。もちろん車内では常にあの曲が流れているので、店舗到着前から気持ちを高めることができる。

 

また昨今急速な技術の進化を遂げているVR(バーチャルリアリティ)技術を活用すれば、家に居ながらにして「リアルショッピング」を楽しめる日も遠くないだろう。会員にはVR端末を無料で貸し出し、それを装着すれば最寄りのドン・キホーテの店舗がバーチャル上で完全再現され、実際にあのごちゃごちゃ感を体感しながらショッピングを楽しむことができる。店舗同様「商品の検索」は出来ないので店内を歩きながら探すか店員に質問することになるが、店員もお店のシフトに合わせて当日出勤しているスタッフが画面上に登場するので顧客とのCR(カスタマーリレイション)にもつながる。もちろん付属のヘッドホンから常に高音質で流れているのはあの曲だ。

 

ネットショッピングと時間内配送サービスに力を入れれば、確かに便利さを求める顧客は一定数獲得できるかもしれない。しかしドン・キホーテの本当のファンを継続的に増やしていくには時代の流れに多少逆らったとしても「ドンキらしさ」を大事にしてほしい。

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小寺 良二

若者の就職支援を専門とするキャリアインストラクター。アメリカの大学卒業後、アクセンチュア(株)を経て(株)リクルートに入社し企業の採用支援を経験した後に独立。官公庁や自治体、企業が実施する数多くの若者...

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