車のヘッドライト問題。欧州が編み出した「デイタイムランニングライト(DRL)」で解決するか?

テクノロジー

 

先月、あるインターネットメディアで自動車のヘッドライトについての記事を書いた。そこではLEDをはじめとする最近の技術的なトピックとともに、日本のドライバーはヘッドライトの点灯タイミングが欧米に比べて遅いのではないかという個人的な思いも付け加えた。するとこのマナー面について、いくつかコメントが寄せられた。多くは「昼夜を問わずヘッドライトを点けています」「日本も常時ヘッドライト点灯とするルールにすべき」というものだった。

 

しかし世界を見渡すと、欧米のすべての国が常時点灯を義務づけているわけではない。カナダやスウェーデンなど北極圏に近い国は、冬は日が短いうえに、太陽が低いので影が長くなることから、早くから常時点灯としていた。一方で高速道路や郊外の道だけだったり、冬限定だったり、奨励に留めていたりしている国もあった。さらにオーストリアでは、一度は常時点灯を義務づけたものの、その結果以前よりも事故が増加したために、奨励レベルに戻している。英国のDaDRLという、ヘッドライトの常時点灯に反対するウェブサイトでは、オーストリア以外にも常時点灯により事故が増加した国を紹介している。

 

ヘッドライトの常時点灯を主張する人は、昼間でも点けていたほうが他車のドライバーからの視認性が高まり、事故防止に役立つことを理由としている。しかしながら、こうした主張とは逆の結果が出ている例もあるわけだ。

 

筆者も高速道路や郊外の道でのヘッドライト点灯には賛同する。しかしその考えを生活道路にまで持ち込んで良いのだろうかという気持ちはある。光には注意や警告などの意味もある。サイレンやパッシングライトといった例を出せば理解してもらえるだろう。そして生活道路は歩行者優先。クルマは常に道を譲る側である。そこにヘッドライトを点灯して進入するという行為は、歩行者に対する威嚇にならないだろうかという懸念がある。とくに子供にとってはたとえロービームでも眩しく感じるかもしれない。だから一部の国で高速道路や及び郊外の道のみ常時点灯としていた措置には納得する。

 

 

■昨年10月から輸入車のDRLもOKに

 

このようにさまざまな意見がある中で、欧州では乗用車や小型商用車については2011年から、大型トラックやバスについては2012年からデイタイムランニングライト(DRL)の装備を義務づけることになった。このDRL、簡単に言えばヘッドライトを2段階としたものだ。

 

最近の一部の輸入車には装備されているので知っている人もいるだろう。白色LEDを使った帯状のライトを、従来のヘッドライトとは別に用意したものだ。 欧州の資料によれば、LEDを使っているので消費電力従来のヘッドライトの25〜30%で済んでいるという。

 

日本では、2輪車については視認性を高めることが事故防止につながるという理由から、約20年前から常時点灯が義務付けられている。しかし4輪車については、常時点灯によって2輪車が目立たなくなってしまうなどの理由で導入が見送られてきた。

 

同じ理由からなのか、DRLについても最近まで、欧州のような明るさは認めなかった。そのため輸入車は照度を落としたり、DRLの回路を切ったりして対処していた。しかし昨年10月に、国土交通省が道路運送車両の保安基準等を改定。DRLについては国際基準が導入されることになった。よって輸入車のDRLはそのまま日本で点灯できるようになったのだ。ちなみにこの改定では、周囲の明るさによって自動的にヘッドライトが点灯する、いわゆるオートライトの装着も義務付けた。乗用車の新車については3年後から適用されるという。

 

欧州が編み出したこのDRL、生活道路で歩行者への威嚇を弱めつつ、高速道路や郊外の道では自車の存在を周囲に知らせる手段として、歓迎すべきソリューションだと思っている。

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森口将之

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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