「異常な部活」の生みだす顧問の教師の人間性

人間関係

後藤 高浩

 

来年度から中学生の部活のあり方が変わるかもしれません。

 

6月3日、文科省が検討している案が公表され、部活の休養日を設定するよう求める方向性が明示されました。休養日をどのくらい設定するか等の詳細は、今後検討するとのことで公表されませんでしたが、今年度中にはガイドラインを作成して現場に通達したい意向です。

 

文科省は「生徒の健康を保つためという」理由を掲げていますが、これは取って付けたお題目のようなもので、実はまったく異なる視点に基づいたものです。

 

この一連の動きは、自民党の国会議員からなる議員連盟がまとめて文科省(馳大臣)に提出した答申が基になっています。その議員連盟は、「教員の長時間労働の是正に関する議員連盟」という組織です。このことからも、議論の実態がご理解いただけると思います。学校の週休2日制の話もそうなのですが、教員の完全週休2日制を確保することが大前提となって話が進んでいるものなのです。

 

議員連盟の案では、「土曜日・日曜日は公式戦以外の活動を禁止する」「教員も(ということは当然生徒も)6時までに下校する」という(過激な!?)内容になっています。さすがにいきなりそこまでの徹底は難しいと思いますが、今の異常な状態に何らかの形でメスが入るのはとてもよいことだと感じています。

 

■「異常な部活」はメジャースポーツに多い

どの地域でもそうだと思いますが、八王子の中学校でも「異常な部活」はたくさん存在します。平日はほとんど毎日6時半くらいまで、土日もほとんど休みなし、夏休み等の長期休みもほぼ毎日活動があるというレベルの部活が少なくないのです。特にこの時期は、中3生最後の大会(公式戦)の直前なので、定期テストがあろうが、運動会があろうがお構いなしで休みなく練習をしているところもあります。以前、修学旅行中にも朝集められて練習をさせられていた生徒もいました。これを異常と言わざるして何を異常と言うのでしょうか?

 

これは八王子特有の現象なのかもしれませんが、毎回ブロック予選の1~2回戦で負けてしまうような決して強くない部活でも、そういう異常な活動を強いているところもあります。都大会常連というような強豪校であればまだ理解はできるのですが、「出ると負け」のチームでそこまでやる意味がまったく分かりません。教師の自己満足以外の何物でもありません。私の言い方で言えば、「それだけやるんだったら、せめて都大会ぐらい狙えるように鍛えろよ!」ということになります。

 

「異常な部活」は、やはり野球・サッカー・バスケ・テニス等のメジャーな運動部に多いのですが、陸上部や吹奏楽(いわゆるブラバン)にも注意が必要です。卓球部や囲碁将棋部がハードで大変だという話はほとんど聞いたことがありません(すみません、他意はありません……)。その中学校の伝統と言うよりも、顧問の教師の属性によるところが大きいと思います。顧問が変わるとまったく方針や活動頻度が変わってしまうケースが多いからです。

 

■部活のために将来や精神を犠牲する子供たち

はっきり書いてしまいますが、中学生の中には、部活のために進路を犠牲にしている生徒が少なからず存在します。平日に毎日3時間、土日や長期休みも休みなしで朝から夕方まで……というレベルで拘束されていたら、時間的にも体力的にも厳しくなるのは目に見えています。現状の学力・成績で確実に行ける高校を目指すのであればそれでもいいのでしょうが、難関校を目指していたり、今の成績を上げて少しでも上のレベルの高校に進学したいと考えている生徒にとっては、やはり無理があります。

 

「中3の夏に部活を引退してから頑張るから……」と言っている生徒は、だいたい引退してからも成績は沈んだままで終わってしまうか、ようやくエンジンがかかって来ても、志望校にもう一歩で間に合わないというケースが多いです。1つには、都立難関校の入試問題の質の変化が大きいと思います。一昔前、難関校も共通問題を使用していた時代は、中3の夏からスパートしても間に合ってしまった生徒は結構いたのです。しかし、入試問題が自校(グループ)作成になって難しくなってからは、(残り半年では)時間的に間に合わないケースが増えています。

 

こういう書き方をすると、誤解をされてしまうことが多いのですが、私は部活反対論者ではありません。自分自身も小学校の高学年頃から、中学→高校→大学と「部活命!」で歩んで来ましたし、今の生徒たちのことを考えても、勉強だけの学校生活ではつまらないので、部活で好きなことがあるのならとことん打ち込むのがいいと思います。しかし、特に中学生は部活のために成績や進路を犠牲にしてはならないと思いますし、ましてや体を壊してしまったり、追い込まれて精神面がやられてしまったりするのは言語道断です(過去にそういう生徒を何人か見て来ました……)。こんな状況になってしまったら、親が体を張ってでも止めないとダメだと思います。

 

この部分については、顧問の教師の「人間性」の部分も大きいと思います。依然として体罰を繰り返している教師もいますし(このご時世、なぜ問題にならないのか不思議だ……)、定期テストの前に練習漬けにしておいて、「高校なんて部活をやりながら行けるところに行けばいいんだ……」と嘯く教師もいます。これらの教師は、生徒や保護者が真摯に相談してもまったく取り合わないのが特徴です。生徒たちの将来のことなど、まったく考えておらず、単なる(支配欲や名誉と言った)自己満足を満たすために部活や生徒を利用しているのでしょう……。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

後藤 高浩

株式会社ジー・エス代表取締役 GS進学教室代表 東京都八王子市で進学塾を運営する傍ら、学校や塾の先生対象の講演・研修に携わる。最近は、就職活動で苦しんでいる大学生の支援にも注力している。

後藤 高浩のプロフィール&記事一覧
ページトップ