無関係な“二世タレントの不祥事”で仕事がキャンセル!? 悲痛すぎる二世タレントの本音

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高畑裕太さん、清水良太郎さん、京本大我さんなど、いわゆる二世タレントの不祥事が相次ぐ今日このごろ。二世タレントと聞くと「たいした努力もせずにコネでデビューして調子に乗ってる奴ら」みたいに思っている方は多いのではないだろうか?

 

犯罪や不祥事を犯した当人が責められるのはもっともだ。しかし、上に挙げた二世タレント達にしても抱える問題のテーマや程度、家庭環境は異なるし、なにより“二世タレントだから”そんな事件を起こしたわけではない。世間の無責任な偏見を当の二世タレントたちはどのように受け止めているのだろうか? ふたりの方にお話をうかがった。

 

 

■「お前は大丈夫だろうな?」

 

一人目は1970年代に矢沢永吉さんとロックバンド『キャロル』を結成し、歌手、俳優として活躍したジョニー大倉さんの次男、大倉弘也さん。

 

ジョニー大倉さんの次男で、俳優として活躍する大倉弘也さん。2016年12月にはシングル『ミッドナイトハリケーン』でCDデビューした

──最近は良いことよりも悪いことで注目されがちな“二世タレント”というくくりですが、弘也さんはこれまで偏見を感じたことはありますか?

 

大倉弘也(以下「弘也」):「親のコネで楽してデビューして……」という雰囲気はありますよね。確かにデビューしやすい利点はあるかもしれないですけど、大事なのはそれからじゃないですか。努力しない人は沈んでいくし、ダメなら「親はあんなにすごかったのに」と言われてしまう。芸能人、業界人にも二世タレント嫌いの人は一定数いるし、得ばかりでは絶対ないですよね。個人的には、なにか二世タレントの悪いニュースがあるたびに身内や友達から「お前は大丈夫だろうな?」って言われるわずらわしさが大きいです(笑)

 

──いま芸能界で活躍している顔ぶれを見ても二世ばかりじゃないし、結果は平等ですよね。それに「あいつ〇〇の子供だろ」ってわかってしまうのはいいことばかりじゃないと思います。

 

子供時代の弘也さん。若き日のジョニー大倉さんと

 

弘也:そうですね。僕は子供時代、野球少年で芸能界には興味なかったから、父親の破天荒なイメージで見られるのが嫌でした。ひたすら「普通に暮らしたい」って思ってましたよ。兄(歌手、俳優のケンイチ大倉)も小さいときに週刊誌で「ジョニー大倉の隠し子発覚」とか騒がれたらしいんですけど、別にわざわざ公表してなかっただけで家族からしたら「はぁ?」って感じですよね。事情をよく知りもしない人たちから心を傷つけられることは多かった気がします。

 

──メディアが伝える芸能ニュースや作られたキャラ設定って、実像とはかなりかけ離れてることが多いですよね。それを観た一般の人は信じちゃうみたいだけど。

 

弘也:仕方ない部分もありますけどね。たとえば平尾勇気(平尾昌晃さんの息子で歌手)さんはめちゃくちゃチャラいキャラクターとして取り上げられることが多いけど、実際にはノリがよくて周りへの気配りもできるしっかりした人ですよ。親の名前を伏せても成功する人、親をリスペクトして何か継いでく人、親のスネをかじるだけの人……。二世タレントにもいろんなパターンがあります。犯罪や不祥事を起こす人なんてほんの一握りだし、大半はコツコツと頑張ってると思うんですけどね。

 

 

■どれだけ頑張っても“七光り”

 

二人目は桑名正博さん、アン・ルイスさんというロックなビッグカップルの間に生まれた美勇士さん。

 

桑名正博さんとアン・ルイスさんを親にもつミュージシャンの美勇士(みゅうじ)さん

 

──去年から“二世タレント”の不祥事が相次いでいますが、美勇士さんに具体的な影響はありましたか?

 

美勇士:もちろんありました。昨年の高畑くんのときも、今回の清水良太郎くんのことでも、ニュースになった翌日にはいくつもの仕事のキャンセルの連絡がきます。やはり二世というくくりだけで「どうせみんな同じようなことしてるんだろ」みたいな感じに捉えられるのか、切ないですね。

 

──仕事のキャンセルにまでつながるとキツいですよね……家族でも同じグループのメンバーでもないのに。かつて美勇士さんの生誕はメディアにも大きく取り上げられ生まれた瞬間から有名だったわけですが、それによって良かったと思うこと、嫌だったことはありますか?

 

美勇士:生まれたときからのことだし、それが当たり前という感覚で育ちましたから、特別に思ったことはないですね。「美勇士という名前を付けられたからには音楽をやらなきゃな」という、他の職業につきにくい、という点では少し不満があった時期もありましたが(笑)。

 

──成長するなかで、お父さんやお母さんへの印象の変化はありましたか?

 

美勇士:小さい頃から当たり前のように、でっかいホールや満員の会場を出入りしてたくさんの著名なアーティストが周りにいる環境で育ちましたが、いざ自分がデビューしたらそれがまったく当たり前ではないんだなということを思い知らされました。ひとつのヒット曲を出すのも大変なことなのに、いくつもヒット曲がある父と母はやはりすごいんだな、と。

 

──お父さんやお母さんのイメージを重ねられることについてはどう感じていますか?

 

母のアン・ルイスさん、娘の音衣(ねい)ちゃんと美勇士さん

 

美勇士:僕は歌声がアン・ルイスに似てると言われるんです。歌声が素敵な親のもとに生まれて、その親に歌声が似てるのであれば、それは光栄なことですし、逆にイメージが重なるのであれば、親に代わって歌で感動を提供したいですね。

 

──親をリスペクトできるのはいいことですよね。それも、親子で同じ仕事についているが故の素直なリスペクトだと感じます。境遇の近い二世タレントに親近感や共感をおぼえることはありますか?

 

美勇士:もちろんありますし、二世の方と出会うと、やはり境遇が似てるからかすぐ仲良くなります(笑)。相手がミュージシャンだった場合はすぐコラボでライブなんかも演りますし。

 

──世間の“二世タレント”観についてどう思いますか?

 

美勇士:いつの時代も二世というのは何をやってもどれだけ頑張っても“七光り” “どうせ親のおかげだ”と言う声が絶えないので、そこは不満に思います。売れてないだけで「親よりも才能があるんじゃないか?」って思うような二世もたくさんいるんですよ。先入観など取っ払って、ひとりのタレントとして観て、聴いて欲しいですね。

 

***

 

おふたりの話を総合するに、有名人の親を持つことは必ずしもいいことばかりではないようだ。芸能人に限らず、成功者の子供は世間の好奇や犯罪の対象になりやすいし、成人しても「二世だから」という声がいつまでも付きまとう。その重圧は、平凡な家庭に生まれ育った人には想像しがたいものだろう。

 

メディアの取り上げ方のせいで、やもすると不届きで軽薄なイメージを抱いてしまいがちだが、筆者にとって“二世タレント”は親をリスペクトしながらも、追いつき、追い越そうと精進しているコツコツ型の人が多い印象だ。世間にも、あたたかい目……とまではいかなくとも、フラットな視点で個人の人柄をとらえようとする感覚が必要な時期ではないかと思う。

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中将タカノリ

中将タカノリ

シンガーソングライター、音楽評論家。2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。深い文学性と、歌謡曲、アメリカンポップスをフィーチャーした音楽性で独自の世界観を構築している...

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