「マリカー」問題、「大都市の道を外国人観光客がカートで走る」こと自体はOKなのか?

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スーパーマリオなどのコスプレをして東京や大阪の公道をカートで走る観光サービス、通称「マリカー」が、ここへきてニュースをにぎわせている。

 

まず先月、スーパーマリオの生みの親である任天堂が、人気キャラクターのコスプレを無断で行っているとして損害賠償の訴えを裁判所に起こした。続いて今月、マリカーに乗る韓国人観光客が交差点を曲がりきれず、交番の外壁に接触するという事故が発生した。幸いにして怪我人は出なかったそうだが、この2件のニュースが相次いだことで、大都市の道を観光目的の外国人がカートで走るのはどうなのよ?という疑問を多くの人が抱くようになった。

 

まず著作権の問題。筆者はその部門の専門家ではないので断定は避けるけれど、任天堂の許可なしでここまで大々的にキャラクターを使っていたならアウトだろう。社名までマリカーと、マリオカートを連想させるネーミングだったわけだし。中国では昨年、スーパー銭湯の大江戸温泉物語をそっくり真似た温泉施設が作られ、中にはくまモンまでいたことが問題になった。それと同じようなことが日本国内で堂々と行われていたことに驚かされた。

 

次に公道をカートで走行することについてだが、マリカーの写真を見ると、車体後部にブルーの小さなナンバープレートが取り付けられている。これは原動機付3/4輪自転車(道路交通法ではミニカーと称しているが紛らわしいので原付3/4輪とする)であることを示すものだ。原付3/4輪は2輪の原付1種と同じように、エンジンの場合は排気量50cc以下、モーターの場合は定格出力0.6kW以下となっている。しかし3/4輪は原付免許では運転できず、普通自動車免許が必要になる。ヘルメットの装着は義務付けられておらず、最高速度は2輪の30km/hから60km/hに引き上げられている。

 

このカテゴリーに属する車両はすでにある。超小型モビリティのトヨタi-ROAD、トヨタ車体コムスなどだ。筆者は一昨年の夏、i-ROADを1カ月間試乗したことがある。環境に優しく、駐車スペースが小さくてすむなど、都市内の短距離移動にぴったりのモビリティだった。つまり原付3/4輪のカテゴリー自体に問題があるとは思っていない。ただしi-ROADにしてもコムスにしても、セダンやハッチバックより背が高い。しかも2輪の原付と同じようにヘッドライトは常時点灯だ。長さは短く幅は細いけれど、背が高いのでそれなりに目立つ。

 

 

■法律違反ではないが…

 

カートを原付4輪で登録すること自体はルール違反ではない。走行中の写真を見ると、昼間でもヘッドライトは点灯している。しかし車高はかなり低い。同じように低い姿勢で乗る自転車リカンベントは、車両の後方に識別のための旗を立てて乗っている人が多い。それと同じように、せめて自分の存在を示すための目印を掲げることが必要だったのではないだろうか。

 

外国人観光客がレンタカーで公道を走ることもまた合法だ。筆者もヨーロッパやアメリカで同じことをしているわけだし。問題はカートでそれを行っていることだ。カートは普通の乗用車と比べると、身のこなしがクイックであるなど、操縦感覚はかなり異なる。同じ免許で乗れるからといって、いきなり他車から見えにくく動きも違う乗り物を運転させるのはちょっと無謀だ。

 

カートを公道で走らせることや、外国人観光客が日本でクルマを運転することなど、個々の事象は悪くないが、これらの要素を組み合わせることで顕在化する危険性には配慮が及ばなかった。以前取り上げたヘッドライトと同じように、モビリティにはルールでジャッジしきれない部分もある。だからこそ、ひとりひとりが安全を意識して移動することが大事だと思う。

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森口将之

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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