【今週のカレイライフ】言うことをきかない“先輩部下”はどう扱えば良いのか?

人間関係

 

誰しも、年をとっていくもの。では、年をとるとどうなるのか? 加齢にまつわる話題をピックアップ。華麗に加齢と向き合うヒントを探っていきましょう。

 

第3回:「元上司・先輩」が部下になったときにやるべきこと

 

上司の悩みというと「新人がなかなか育たない」「中堅社員が頼りにならない」など「若手部下」に対するものというイメージがあります。しかし、『先輩が部下になったら』(門脇竜一著/日経新聞社)によると、深刻さを増しているのはむしろ「年上の部下との関わり合い」だそう。

 

しかもただの年上ではなく、「昔の上司」や「新人時代に先輩として仕事を教えてくれた人」という要素が加わるのがほとんどだとか。2013年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、希望者は65歳まで働けるようになりました。実態はどうなのかという話はさておき、“30歳の上司が、65歳の部下を持ってもおかしくない時代”がやってきました。

 

ところが、上司の側は対応する準備ができていない。「表向きは同意を装い、実行動では動かない」「他の部下がいる前で上司に質問を浴びせ、右往左往させて喜ぶ」「報告・連絡・相談はせず、自分のやり方で押し切る」「見た目は順調を装うが、じつはすべてごまかし」といった“言うことを聞かない先輩部下”に振り回され、疲労困憊していると言うのです。

 

 

■「年下上司」が心がけるべき“上司らしい振る舞い”

 

なぜ、先輩部下は言うことを聞かないのか。その答えはごくシンプルで「上司だと思ってないから」です。何なら「自分のほうがリーダーにふさわしい」と思っている節もあるとか。そのため、“年下上司”としては「上司らしい振る舞い」で接する必要があります。

 

では、困った先輩部下に会議の出席をお願いする場合、以下の2つのうち、どちらが望ましいでしょうか?

 

A)「では、調整会議の件、よろしくお願いします」

B)「明日、調整会議に行ってきてもらいますが、まずは、業務部からの提案内容をよく聴いた上で、うちの重点プランと関係するところを細かく調整してもらえませんか。判断を求められるとか、ややこしい話は、課長と相談してからと、逃げておいてもらって結構ですから」

 

Aは部下を信頼し、任せる上司のふところの深さを感じさせますが、「困った先輩部下」に対するコミュニケーションとしては危険です。どういう役割を果たしてほしいのか、どこまでをお願いしたいのか、Bのように具体的に説明する必要があります。

 

伝えるべきは役柄(役割)の説明と演出、振り付け。言わなくても分かるとは思わず、詳細な演出をしようと、本書の著者は提案します。ちなみに、これらの演出や振り付けの伝え方は「~してください」より「~してくださったらうれしい」など感情にフォーカスした言い回しが望ましいと言います。この言い方であれば、指図しているという印象を薄められるため、感じ良く聞こえるとか。上司・部下のやりとりに限らず、重宝しそうです。

 

 

■「年齢の呪縛」から離れるには?

 

本書に繰り返し登場するのは「年齢を引きずるな」というアドバイス。しかし、言うは易し。《長いこと、しかも同じ会社で勤めを続けていると、年齢の呪縛からの解放は至難の業》というのが実情です。

 

では、どうすればいいのでしょうか。著者は「今の役割」に徹することを提案します。もし、かつての上司や先輩が部下になったとしても、「部下Aの役を先輩俳優が演じる」と考えればOK。そして、自分も上司にキャスティングされたのであれば、“チームリーダーたる上司役”を演じきることに全力を尽くすべきだと言います。

 

一方、部下の立場になった場合も傷ついたり、自虐的になったりする必要はありません。部下役として快く上司を支えれば支えるほど、周囲には“器の大きさ”が印象づけられ、組織人としての値打ちはうなぎ登り。おいしい役回りだとも言えるのです。

 

 

■役割を変えながら、普通のおじさん、おばさんになっていく

 

しかも、この上司・役割分担はずっと未来永劫変わらないわけではありません。むしろ、この局面での役割が「上司役」と「部下役」になっただけ。今は年下上司の立場の人も、年月とともに、誰かの部下になる日がやってくるかもしれません。さらに、会社をリタイアした後は誰もが、普通のおじさんであり、おばさんになります。

 

「いやいや、最初から普通のおじさん、おばさんでしょ?」と怪訝に思われるかもしれません。その通りです。でも、その現実が受け入れられずにもがいている人が大勢いるのもまた事実です。

 

リタイアした後、自治会やボランティア、サークル活動などに参加してみたものの、偉そうな物言いが原因で人間関係がうまくいかなくなるのも、“定年後あるある”のひとつ。しかも、本人は態度が悪いという自覚がないこともしばしば。原因がわからないまま、嫌われ、なじめず、不満と孤独を募らせていくことになりかねません。昔のポジションを引きずらず、「今の役割」を演じきる。その経験とスキルは会社員生活のみならず、定年後の生活をも左右するのです。

 

参考書籍

先輩が部下になったら』(門脇竜一著/日経新聞社)

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老年学研究者

島影真奈美

「定年後の備えラボ」主宰/編集&ライター 年金から保険、住まい、健康など“定年後”にまつわる不安や悩みを幅広く蒐集。快適なシニア生活と世代間コミュニケーションにまつわる研究・考察を行う。『定...

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