“専門業者”を騙る会社に依頼してはダメ! ネットで誹謗中傷を受けたときの対処法

ライフスタイル

 

ネット上で誹謗中傷を受けた場合、そのページが多くの人の目につくようなものであれば、なるべく早く削除を依頼したいはずです。SNSなど、ユーザに開かれたウェブのプラットフォームであれば、被害を受けた人が自分で削除依頼を請求することもできます。それでも、忙しくて対応する時間がない場合や、相手が応じなかった場合などは、どうすればよいのでしょうか。弁護士法人ベリーベスト法律事務所の弁護士と、一緒に考えていきましょう。

 

 

■削除請求代行会社の業務は法的に認められていない「非弁行為」

 

インターネットの検索エンジン上で「誹謗中傷削除」といったキーワードで検索すると、削除請求代行サービスを提供している会社のページが複数ヒットします。専門の業者が存在するのであれば、削除を委託するのが安全のような気がするかもしれませんが、こちらはお薦めしません。先日、削除請求代行会社に依頼した人が代金の返還を求めた裁判で、返金を認める判決が下りました。なぜ裁判所はこのような判決を下したのでしょうか。

 

実は、弁護士以外の人は報酬を得る目的で「法律事件」に関して「法律事務」を取り扱うことができないと法律で定められているのです。これに違反した行為を「非弁行為」といいますが、非弁行為をおこなうことを約束する契約は無効であるとして、既に支払った代金の返還を求めることができると考えられています。

 

本件の削除請求代行会社は、誹謗中傷が掲載されたサイト上に設置された削除依頼フォームに入力するということをおこなったのですが、裁判所はこれが非弁行為に当たるとして、この会社に代金の全額返還を命じました。(ただし、この判決は東京地方裁判所で下されたものであり、上級の裁判所で判断が覆ることもあります。)

 

削除請求代行会社では削除に成功できなかったり、時間がかかってしまうことがあります。実際に、本件の削除請求代行会社も削除対象サイトが13あったのに対し、そのうち3つは削除請求に応じてもらえず失敗しています。さらに削除の依頼行為自体が非弁行為であるとの上記判決が下されたことにより、今後はサイト管理者が削除代行業者からの削除依頼を受け付けなくなり、削除代行業者に頼むこと自体が無意味となる可能性が十分考えられるようになりました。

 

 

■弁護士に頼んだ場合どのような手法を取り誹謗中傷を削除してくれるの?

 

それでは、弁護士に誹謗中傷の削除を依頼した場合、どのような手続きがおこなわれるのか、ご説明します。まず、誹謗中傷が掲載されているサイトの管理者に、誹謗中傷の削除を求めます。削除の請求手段としては、サイトの利用規約等に定めがある場合は、その定めに従って請求します。その際に、サイト管理者に当該誹謗中傷の削除義務があることの法的根拠を示して請求をおこないます。

 

それでも削除に応じない場合は、プロバイダ責任制限法ガイドラインという実務上の運用に則って請求するか、あるいは内容証明郵便を用いて請求します。この際にも、侵害されたとする権利、権利が侵害されたとする理由を記載し、適切な法的根拠を示す必要があります。

 

サイト管理者の住所が不明な場合は、インターネットドメイン(ドメインとは「example.com」のようなもの)を管理する団体にドメイン登録者情報の開示を請求します。また、誹謗中傷がサイトの管理者ではなく、サイトの利用者によって書き込まれた場合は、そのサイトの管理者やインターネットサービスプロバイダ(個人がインターネットに接続するための通信手段を提供する業者)に対して誹謗中傷を書き込んだ人の情報の開示を請求します。

 

以上の削除の請求や個人情報の開示請求をしても、サイト管理者やインターネットサービスプロバイダが開示に応じない場合は、民事訴訟の提起や民事保全法の仮処分手続によって誹謗中傷の削除と個人情報開示を請求することになります。特にサイト利用者の個人情報については、多くの会社で3ヶ月から6か月の保存期間しかないため、早期に仮処分という法的処置をとらなければ、発信者の特定が不可能になる恐れがあります。

 

 

■削除した後のことも考えて…

 

削除代行業者に依頼したとしても、業者が削除依頼フォームから定型の依頼文を送信するだけでは、最終的に削除に応じてもらえるとは限らず、時間を浪費した結果、取り返しのつかない事態にもなりかねません。削除依頼をされる側に与えるプレッシャーという点でも弁護士が法的根拠を基に請求をおこなうのとでは雲泥の差があり、相手が任意に応じることによる早期解決が期待できます。また仮処分という手続きに進んだとしても、1か月以内に決定が出されることもあり、判決を求めるのに比べると迅速に削除ができる上、確実な解決が望めます。

 

弁護士は被害者のオーダーに応えるために様々な手法を駆使します。削除が成功した後も、慰謝料の請求や名誉棄損で刑事告訴をする等、最終的な被害回復のためには弁護士が関わる必要も出てきます。ウェブ上の誹謗中傷を目の前に、自分で解決できない場合や、誰かの手を借りなければいけないような事態に陥った場合は、ぜひ弁護士に相談しましょう。

 

監修:リーガルモール by 弁護士法人ベリーベスト法律事務所

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

上田芙祐美

上田芙祐美

弁護士。法科大学院卒業後、弁護士法人ベリーベスト法律事務所に入所。「正義の実現のため戦う弁護士に」を職務信条とし、自身が依頼者側の立場に立った経験から、依頼者の心に寄り添いながら、迅速かつ丁寧な問題解...

上田芙祐美のプロフィール
ページトップ