嘘クサさの裏には何が!? なぜ押切もえは嫌われるのか?

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深爪

コラムを執筆するにあたり、citrusの担当Yさんに「押切もえが嫌われているのはなぜかについて考察して欲しい」と依頼を受けた。これまでの人生において押切もえとの接点はなく、押切もえのことなぞ考えたこともないし、こんなに「押切もえ」という字をタイプしたのも初めてなのだが、「押切もえ 嫌い」でググると「性格悪そう」「変顔が中途半端」「ババアのくせに必死」などと散々である。ここまでボロクソに言われる押切もえに俄然興味がわいてきたので、その理由を探るべく、押切が出演するバラエティ番組をチェックしてみることにした。

 

 

■エピソードもリアクションも、とにかく嘘クサい

 

2/28に放送された「今夜くらべてみました」に絵心があるゲストとして平野ノラ、押切もえ、ベックが出演していた。芸人、モデル、現役芸大生というラインナップである。「失恋のショックで引きこもり、やることがないので絵を描き始めた」というエピソードと共に完全に病み切ったイラストを見せたり、バブリーネタをフラれ「しもしも~?トランプマン?」などといつものヤツでひとしきり笑いを取る平野ノラの次に紹介されたのが押切もえだったのだが、これがとにかく嘘クサい。平野ノラのむやみに生々しい話のあとだったせいもあるが、作られたエピソード感がハンパないのである。

 

「二科展に二年連続入選」「文壇デビュー作が山本周五郎賞にノミネート」「『野球選手の栄養と食事』という本で勉強」「自宅でくつろぐ写真なのにいちいちオシャレ」など、すべてが事実であるにも関わらず、まるで現実感がない。マンガに登場するヒロインのプロフィールのようなのだ。

 

また、押切の場合はエピソードにとどまらず、リアクションまで嘘クサかった。怒涛のような“すごい話”に、会場からは「すごーい」と感嘆の声が上がったのだが、こともあろうに押切は顔の前で大きく手を横に振りながら「ぜんぜんすごくないですよー」と否定した。しまいには「不器用の集大成です」とまで言い切る始末。そういえば、二科展に入選したという絵が紹介されたときも「ぜんぜん上手じゃないですよー」と謙遜していたが、この絵は自分がプロデュースしたマンションのロビーに飾ってあるらしい。上手だと思ってんじゃん。自信満々じゃん。エピソードのみならず、謙遜までも嘘クサく見えるのは、もはや才能である。

 

 

■「本音」と対極にある押切もえ

 

人は本音が好きだ。たとえそれが真の本音でなくとも、本音っぽいものであれば好意的に受け止める。マツコ・デラックスや有吉弘行の好感度が高いのも「本音で話してそう」が理由だろう。そして、その対極にあるのが押切もえだ。

 

番組において、指原莉乃は「本音担当」である。歯に衣着せぬモノいいでトップモデルにだってガンガン突っ込む、という役回りを忠実にこなしていた。陰毛ひとつ落ちてなさそうな整った部屋でキメ顔でパソコンに向かう押切の写真を見て「この写真、ウソみたいじゃないですか?セットの部屋ですよね?」と任務を遂行。また、あまりの多才ぶりに「できないことはなにもないんじゃない?」と言われた押切に、芸人・平野ノラも「でも私の方が床上手!この人は絶対マグロ!」と純度100パーなシモネタで参戦していた。「えー!!??」と手で顔を隠しながら頭を左右に振る押切もえ。シモネタに動揺する姿までお手本通りである。

 

指原と平野は終始、視聴者の代弁者だった。いわゆる”女子女子した女”を毛嫌いする代表としての指原&平野と”ザ・女子”な押切という構図である。全編にわたって「こういう女、ハナにつくよね」と視聴者の共感を煽るような構成になっていたためか、放送後のツイッターはまんまと荒れた。この手の演出が功を奏すのはつまり、世の中全体が嘘クサさに辟易しているせいだろう。皆、キレイゴトが大嫌いなのだ。

 

 

■「嘘クサさ」に垣間見えるプロ魂

 

だが、私は押切もえを嫌いになれない。なぜなら、彼女には猛烈なプロ魂を感じるからだ。押切はモデルである。マルチな才能を持ち、生活感のない部屋でオシャレな部屋着をまといキメ顔で写真を撮るのは、美しさで商売をし、人々に夢を与えるモデルとして当然の行いである。首回りがダルダルになったスウェットでポテチを食うような親しみやすさはモデルには不要、とばかりにプロ魂を見せつける押切は立派だと思う。

 

押切を毛嫌いする人は、彼女の“素のトーク”や“素の振る舞い”を本当に“素”だと思っているのではないだろうか。押切もえは常に「モデル」を全力で演じている。そう思った瞬間、彼女に対する嫌悪感は尊敬の念に変わっていくはずである。

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深爪

深爪。1970年代生まれ。主婦。ツイッターで独特な視点から繰り出すツイートが共感を呼び、またたく間にフォロワーが増え、現在その数約13万人。著書「深爪式 声に出して読めない53の話」(KADOKAWA、紙・電子版あり...

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