篠田桃紅さんとイチロー選手が異口同音に語っていた「無駄は必要」という話

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多くの人は、ビジネスの場での「無駄」は大敵と考えていると思います。できるだけ無駄なく、効率的に物事を進めることが最も良いことで、みんながそのことに向けて工夫や努力をしていると思います。タイムイズマネーなどとも言われます。

 

ただ、最近目にしたまったく別の二つの記事に、奇しくも同じ「無駄」について書かれたものがありました。一つは著名な女流画家の篠田桃紅さんが、「103歳になってわかったこと」という著書の中で書かれていることが紹介された記事です。

 

要約して紹介させて頂くと、「人は、用だけを済ませて生きていくと、真実を見落としてしまう」「雑談や衝動買いなど、無駄なことを無駄だと思わない方がよく、無駄にこそ、次の何かが兆している」「人は、寄り道をしたり、道草をくったり、どん底を味わったり、失敗や嫌な目に遭うという、人生の無駄を経験するからこそ、人としての味や深みが出る」「もし、やることなすことすべてうまくいき、効率的で全く無駄のなかった人生を過ごした人がいたとすれば、およそつまらない人間が存在していることになる」などとありました。

 

「無用の用」という老子の言葉があり、一見すると役に立たないようなことが、実は大きな役割を果たしている。無駄のある人生も、時にいいものだとされていました。

 

もう一つは、大リーグのイチロー選手とオリックスグループの元CEOである宮内義彦氏の対談記事です。

 

ビジネスパーソンとして無駄な時間が嫌いという宮内氏に対して、イチロー選手は「自分はいかにムダな時間を過ごすかということを大事にしているところがある」「最初からあるべき姿に到達するのは不可能で、まずはムダな時間を経験して、そこから削ぎ落としていくことによって、ようやく自分の行きたいところに近づけるのではないかと思う」「合理的に考えすぎてムダの生じないような進み方をしようとすると、結局近づくことすらできない」という話をしています。

 

宮内氏も「何がムダなのかは結局、やってみないとわからない」と同意していました。

 

私自身も、もともとは「無駄なことは極力したくない」と考えていた方ですが、特に独立して自分で仕事をするようになってから、「何が無駄で何が無駄でないかは、長い時間が経ってみないとわからない」と強く思うようになりました。多少年令を重ねて経験が増えたとか、独立して自分のことを人任せにできなくなったからとか、そう思うようになった理由はいくつかあるかもしれません。

 

特にここ数年は、計算ずくのつもりでやったことが、思いのほかうまく行かないことが何度もある一方、まったく意識せずにたまたま参加していたことが、かなり後になってから思いがけず役に立ったり、たまたま出会った人たちから思いがけない話をもらったり、急激に親密な関係になったりすることがあります。

 

そんな経験を通じて、好ましい場や付き合うと良い人といった感度は、少しずつ上がっていると思いますが、それでも相変わらず無駄と思うことはあります。ただ、そんな無駄も今後永久に無駄であり続けるかどうかはわかりません。ある日突然役に立つときが来るかもしれません。

 

皆さんもそんな経験の一つや二つはあると思いますが、私がこのお二人の話から学んだことは、「無駄とか言って理由をつけずにとりあえずやってみれば、どこかで役に立つことがある」「やってみなければ、それが無駄かどうかはわからない」ということです。

 

私は「どんなことでも好奇心旺盛に」とはなかなかいきませんが、人との出会いやお付き合いだけは、無駄などと言わずに極力取り組むように心がけています。そのおかげで確かにいいことはたくさんありましたし、それがずいぶんな時間が経ってからということもありました。未だに芽が出ないものも多々ありますが、それが無駄かどうかは、今の段階ではやっぱりわかりません。

 

「とりあえずやってみれば、どこかで役に立つことがある」「やってみなければ、それが無駄かどうかはわからない」という言葉は、常に心に留めておきたいと思います。
 

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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