背脂にチョコ味も…ペヤングのおもしろ商品企画にはネット時代ならではの理由があった

テクノロジー

出典:「まるか食品株式会社」公式サイトより

■インパクトある商品は何のため?

 

カップ焼きそばブランドであるまるか食品の「ペヤング」で、昨年末から面白い商品が次々と発売されて話題となっています。甘いチョコソースをかける焼きそば「チョコレートやきそばギリ」など、SNSの投稿で見かけた人も多いのではないでしょうか。その他、「背脂MAXやきそば」「ソースやきそばプラス納豆」「ペペロンチーノ風やきそば」など、インパクトの強い商品が続け様に発売されています。

 

これには、ライバルの明星食品のカップ焼きそば「一平ちゃん夜店の焼きそば」で、先んじて「ショートケーキ味」「チョコソース」「カラムーチョホットチリ味」「すっぱムーチョさっぱり梅味」など、アグレッシブな商品を出していたことも大きく影響しているでしょう。しかし、それだけではない可能性も考えられるかもしれません。

 

なぜペヤングは次々とユニークな味の商品を発売し続けているのでしょうか。インパクトのある新商品が与える影響についても考えていきましょう。

 

 

■侮れないネタ消費の市場規模

 

「ネタ消費」という言葉をご存知でしょうか。ソーシャルメディアに投稿するために商品の購入などの消費をすることです。ネタ消費と名付けた野村総研によると、2011年に試算した時点でネタ消費による経済効果は3400億円に上りました。当時よりもユーザーのSNSの利用率が上がっている現在、経済効果がさらに上がっていることは間違いありません。

 

ネタ消費の代表的なものに、赤城乳業のガリガリ君があります。これまでに、コーンポタージュ味、ナポリタン味、桜もち味など、様々なユニークな味の商品を発売しています。その度に、TwitterやFacebookなどのSNS内に写真と食べた感想が投稿されていました。「SNSに投稿するために食べてみた」「みんなの投稿を見ていて興味がわいたので買ってみた」など、ネタ消費が侮れないことを実感できました。

 

コンビニなどで安価・手軽に入手でき、SNSに投稿すると盛り上がることが期待できる商品は、消費促進が期待できます。以前はユーザー発でSNS内ヒットにつながる商品がたくさんありましたが、その効果を受けて、最近は最初からネタ消費を狙った商品が少なくありません。

 

なお、「楽天市場」における購買データを元にした「楽天市場2016年ヒット商品番付」によると、東の横綱は「#インスタ映え消費」でした。Instagramで投稿するために写真映えする商品を買い求めるユーザーが多く、ラウンドビーチマットが前年比60倍以上の売れ行きを示すなど、Instagramへの投稿がモチベーションとなり消費を促進したのです。その他、メイソンジャーやスキレットなど、Instagram発のヒット商品は後を絶ちません。

 

Twitter・Facebookなどにおけるネタ消費と違うのは、前者がネタにしやすいかどうかが選択基準なのに対して、後者はお洒落でビジュアル的かどうかが選ばれる基準となっている点です。しかしいずれにしろ、「SNSで受けるかどうか」は、特に若い世代においては外食先や外出先を決める基準となっています。

 

 

■悪いうわさを打ち消す逆SEO対策に?

 

SNSは敵にすると手強いけれど、味方にすると限りなく心強いものです。その事実に気づいている企業は多数います。

 

企業がSNSやインターネットで一番恐れているものは「炎上」です。ペヤングは、2014年末に「ペヤングからゴキブリが出てきた」というTwitterへの投稿をきっかけに、半年間の休業に追い込まれました。その結果、GoogleやYahoo!などの検索サービスでは、「ペヤング」と検索すると関連する検索キーワードとして「ゴキブリ」が上位に表示されてしまっていました。

 

ところが現在は、「新作」「チョコ」「納豆」など、新しいインパクトのある味に関するキーワードが大半を占めています。炎上事件を考える時、インターネット上から情報を完全に消し去ることはできないものの、新しい情報を投稿することで結果的に炎上事件の検索順位を下げるというテクニックがあります。

 

ペヤングの場合、意図的か否かは不明ですが、新しいインパクトのある味の商品を販売することが、過去の事件に関する情報の検索順位低下につながりました。まさに“逆SEO対策”となったのです。インターネット上から起きたことを完全に消し去ることは難しいものですが、ユーザーに面白がられたり受け入れられる新情報を発信することで、不都合な情報の露出は減らせます。ペヤングの事例は、SNS時代を生きる我々の参考になるのではないでしょうか。

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高橋暁子

高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。 書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNS...

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