「ビジネスは発明ではない」新しいビジネスモデルは誰でも生み出せる!

ビジネス

酒井威津善

 

ビジネスの世界を一言で表すなら、「コロンブスの卵」だろう。先に思いつき、実現した人が勝つ。これに異を唱える人は少ないはずだ。

 

言い換えると、一部の世紀の発明を除いて、万人にチャンスがあるということだ。が、一方で「じゃあ、何か新しいビジネスを考えてみろ!」と言われてもそう簡単に思い浮かばないのが普通だ。人間はそれほど器用ではない。ただ、幸いにして、ビジネスは発明ではない。0から1を考える必要は小さく、1を1.5や1.7にするだけで成果を出しているケースがいくらでも存在するからだ。

 

では、どうすれば、1→1.5に変える発想ができるのか。実は、とても簡単な方法がある。3つの事例を交えながら、その発想法について紹介したい。

 

 

■必要なものを一箇所に集める

 

ママスクエア

 

株式会社ママスクエアが展開する、職場と保育スペースが同じ場所にあるという、新しい「保育」サービスだ。保育ビジネスには、待機児童が社会問題になる一方で、鉄道会社を始め、多くの企業が参入している。従来のスタイルで今から参入しても大資本には勝てない。一方、この事例では、必要なものを一箇所に集めるという新しい切り口で、創業からわずか3年ほどで20店舗近い展開をし、成果を出している。まさに、1→1.5である。もしかすると、ここでお気づきの方もいるかもしれない。そう、これは「コンビニエンスストア」と同じ発想なのだ。

 

公共料金の支払いや住民票の取得、ATM、郵便ポストから薬まで生活に必要なものの殆どが揃い、我々の生活から切り離せない存在となったコンビニの成功スタイルと似ているのだ。もちろんコンビニだけではない。古い事例になるが、関西最大手私鉄「阪急電鉄」なども同じ手法を用いて成功している。鉄道路線に沿って、住宅街や宝塚劇場、百貨店など必要なものをすべて集め、大成功し、一大企業グループになったケースもある。

 

 

■シームレスにする

 

日頃、Suicaを使うだろうか。首都圏でなくともICOCAなど同様の電子マネーが日本全国にあり、大多数の人が同様のサービスをほぼ毎日使っているはずだ。シームレスとは、「隔たりをなくす」ことだ。Suicaを始めとした電子マネーの多くは、鉄道やバスなどの交通機関を始め、コンビニエンスストアやタクシー、百貨店、空港などさまざまな場所で使うことができる。まさに、「使える場所」の制限を失くしたのだ。この方法を転用して成果を出している事例がある。

 

baspo

 

なんと、月額980円からの定額で日本全国にある温泉施設を利用し放題というサービスだ。温泉施設にかぎらず、そうした場所を利用する際は、それぞれで決済をするのが普通である。スマホ利用が当たり前の今、事前にネットで済ませておくのが今どきかもしれない。温泉施設ごとに隔たりを失くし、シームレスにしたのがこのビジネスである。

 

シームレスにして1→1.5にしたビジネスは他にもある。例えば、百貨店などの共通商品券だ。共通化することで、利用頻度を上げてもらうだけでなく、金券としてギフト利用可能な価値も持ち、社会的に不可欠な存在にまでなっている。

 

 

■定額化する

 

3つめの事例は、「定額化」だ。

 

ジェロンタクシー

 

旅行最大手のJTBが福岡市内で展開する、「定額版タクシー」である。自宅と指定目的地までの運賃でA〜Eの5つのゾーンに分かれ、最も安いもので670円。一番高額なもので1270円。これら2ヶ所の組み合わせによって、22,000円から44,000円までの定期代が確定する仕組みだ。70歳以上限定で、自宅と買い物先、病院などいつも利用する2ヶ所の間を1ヶ月間乗り放題になる定期券を購入することができるというまさにタクシーサービスの「1.5」バージョンである。

 

定額化は先の2つの事例以上に、多くの分野で転用されている。ネットフリックスが展開する映画見放題サービスから、エアークローゼットが展開する「服の定額レンタル」などまで、あらゆるビジネス分野で見つけることができる。

 

 

■ビジネスには「公式」が存在する

 

「一箇所に集める」「シームレスにする」「定額化する」と、1→1.5にした3つの事例を紹介した。お気づきの通り、いずれも別のビジネスへ転用が可能であり、それはまさしく、中学や高校で習った数学の公式のように簡単に答えを導き出すことができる。事例のような「公式」を予め幾つか見つけておき、それを他の、もしくは自社の業界に当てはめてみる。たったこれだけのことで、いくらでも1→1.5を見つけることができるのだ。

 

ぜひ、思いつく限りで構わないので、既に成功を収めているビジネスを1つか2つ思い浮かべて見て欲しい。きっと、別のビジネスで動いている「仕組み」とどこか似ていることに気づき、新たな「利益の源泉」を見つけることができるはずだ。

 

【関連書籍】

儲けのしくみ』(自由国民社)

 

 

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

酒井威津善

さかい・いつよし。1968年大阪生まれ。フィナンシャル・ノート代表。財務コンサルタント、ビジネスモデルアナリスト。 大学卒業後、会計事務所での監査業務を経て、TIS株式会社(旧東洋情報システム 現ITホー...

酒井威津善のプロフィール&記事一覧
ページトップ