アノ起業家が語る!「現状維持が妥当」というバイアスを克服する方法

ビジネス

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■学生時代に企画・実施したイベントでビジネスイメージを掴む

 

富山市と高岡市のベッドタウン、射水市小杉町で生まれる。松本恭攝曰く、「普通で特徴のない、とは言え真面目一本やりでもない」高校時代を過ごして、18歳で上京。慶應義塾大学に通う傍ら、ビジネスコンテストを開催するサークル「学生のための国際ビジネスコンテストOVAL」に入る。

 

サークル活動を通して、2005年反日感情が吹き荒れていた中国・北京の清華大学でビジネスコンテストの開催に携わり、イベントを成功へ導く。その際「日本で多くの人から『無理』『難しい』と言われたが、成功を想像できない人には実現できないと気づいた。学生でもイメージを持って挑戦すれば、社会的にインパクトのあることができるし、世の中を変えることができる」と実感。その経験が現在のビジネスにも繋がっている。

 

大学4年時、外資系コンサルティングファーム「A.T.カーニー」からの内定を受けると、卒業までカナダのバンクーバーに語学留学。その際に自身の英語教材として選んだのが、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチ「Stay hungry, stay foolish」だったそうだ。今やトップビジネスマンとして活躍する松本の核となる金言とは?

 

 

 

 

ラクスル株式会社

松本恭攝(まつもと・やすかね)

1984年生まれ。富山県出身。慶應義塾大学卒業後、外資系コンサルティング会社の「A.T.カーニー」に入社。2009年9月に「ラクスル株式会社」を設立。クラウド型ネット印刷サービスを展開する。雑誌『Forbes JAPAN』の「日本の起業家ランキング」では、2016年に2位、2017年には3位と、2年連続で選出された。


 

 
 

心の底から世界を変えられると信じる者が世界を変えられる

 

過去の栄光にしがみつくな。世界は変わっていくものだ

 

「いま社会のあちらこちらでシステムの変換が求められています。変化していかないと企業どころか国家も持ちこたえられなくなっている。では現在と前時代との最大の違いは何か。それがテクノロジーなんです」

 

物流を例に取れば、現在の宅配便のシステムが誕生したころ、eコマースもアマゾンも存在していなかった。eコマースは年10%の成長率を維持し、EC事業がさらに成長すれば物流に加えて金銭授受システムの大変換も近い将来、起こりうる。

 

「緊迫した状態であるのに、なぜ変わらないのか。その理由のひとつが人はいまあるルールが正しいと思い込みがちだということ。そしてもうひとつが、日本社会の高齢化です。高度成長期の成功体験があるがゆえに、いまのルールで良しとしている人が多い。

 

国家は崩壊しないと思っていますが、日本が崩壊する可能性は客観的に見て極めて高い。ただそのなかにいると見えなくなる。それが『現状維持が適当である』というバイアスです」

 

そんな世の中にある「当たり前」を疑問視するべしと松本。そこには変化の余地があり、必然性があり、必要性があるとする。

 

「印刷業界における1件の取引の平均単価は約20万円でしたが、弊社ではユーザーが直接インターネットから注文できるようにし、また印刷工場の非稼働時間を使い、圧倒的な効率化を図ることで約1万円にした。これにより“これまで印刷という仕組みを使えなかった人が、プロによる印刷物を使うことができる”ようになったのです。つまり新規市場の開拓です」

 

松本は印刷業界にある古い体質の裏側に潜む、未開発のビジネスを見極めたのである。

 

 

 

できない理由を探すよりも心の底から信じろ

 

いまでは成功を収めている「ラクスル」だが、当然ながら当初は古い業態に飛び込もうとする松本を多くの人が止めた。

 

「それは彼らが自分は仕組みを変えられる人間だと思っていないからです。新しいことをしようとすると、多くの人ができない理由を探して、批判します」

 

しかし自分は否定する側より、否定される側でいたいと話す。そんな気持ちを後押しするのは「マッキントッシュ」の過去のCMだ。

 

「学生のときに聞いたスティーブ・ジョブズのスピーチは、僕のなかにあった漠然とした生き方のイメージを言葉にしてくれて、すごく腑に落ちました。また『アップル』の1997年のCM『think different.』には影響を受けているし、強く納得するところがありますね」

 

これは、ジョブズが『アップル』に返り咲いた年に製作されたもので、これまで世界を変えてきた多くの偉人が登場する。

 

「僕には学生時代、多くの大人たち、しかも官僚までもが失敗をほのめかしたイベントを成功させたという体験があります。CMには『自分が世界を変えられると 本気で信じる人たちこそが 本当に世界を変えているのだから』という一文がありますが、その通りなんだと知っているのです」

 

そしてもうひとつ、経営者としての行動指針となる言葉に「eBay」の創業者ピエール・オミダイアの「make the world better place」を挙げた。松本自身も世界を良くしていきたいという気持ちがあるからだ。

 

「大企業の優位性は小さくなりつつある。今後は大企業ゆえにスピードの低下を招き、顧客にとっても不便なサービスになっていくかもしれません。大企業が不利だという価値観の変化が起こる可能性もあります。

 

世の中は変わり続けます。ただ自分も変わろう、変えようとするのは結構大変なこと。白髪も増えるし、心も折れます(笑)。 ですから、ただ『世界は変わっていくものだ』という気持ちを持っていればいい。それだけで、もっと生きやすくなる、そう思います」

 

イラスト:森 宏    文:小泉庸子

 

 

DATA

ラクスル株式会社

設立:2009年9月

本部:東京都品川区上大崎2-24-9 アイケイビル1F

事業内容:クラウド型ネット印刷事業

サービス内容:ラクスルハコベル

URL:https://corp.raksul.com/

 

この情報は2017年4月2日現在のものです。

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