「具体的にいうと?」「実例を挙げると?」会話上手のビジネスマンはここが違った…

ビジネス

 

■できる人は「聞く力」を磨いてる?

 

私は「人材育成コンサルタント」として30年以上のキャリアがあります。その経験の中で確信していることは、「聞く力」なくして人間関係はうまくいかない、仕事はうまくいかない、ということです。


よく人間関係の黄金律は「相手の立場に立つこと」だといいます。これは、あらゆる職種に共通しているでしょう。ところが、相手が何を求めているのか、どんな課題を抱えているのか、何を悩んでいるのか――これらは、ただこちらが「話す」だけではわからないのです。絶対に。そして、評価が高い人、人望が厚い人、問題を解決できる人、成果を上げている人――すなわち仕事ができる人は、例外なく「聞く力」を磨き、「質問力」を駆使しています。

 

社内では上司・部下・同僚、社外では取引先、あるいは友人・知人などすべての人間関係をよくする基本、それは、相手の話をよく聞く、つまりは傾聴することなのです。そして、「聞く力」は、実際には、「質問力」というスキルを活用することで身につきます。的確な質問をすることで、相手の本音を引き出したり、相手から正確な情報を得たり、相手の話を掘り下げたりすることができます。

 

 

■話のわかりやすさは「聞き手」次第

 

私はコンサルタントになったばかりの頃、先輩からこんなアドバイスをもらいました。「相手からわかりにくい話をされても、絶対に『よく意味がわかりません』などと返してはいけない。たしかに、クライアントの中には『この人、いったい何が言いたいんだろう?』という人はいる。しかし、そこでコンサルタントの力量が試される。なぜなら、『話をわかりやすくする』というのは、聞き手であるプロのコンサルタントの重要な任務だからだ」

 

だからコンサルタントは、相手の話がわかりにくいと感じたら、「もう一度お願いできますか?」「○○○でよろしいですか?」「ご質問の意味は、こういうことですね?」と、確認をしながら、相手の質問の意図を探っていきます。

 


■「質問の仕方」がカギになる

 

言っていることがわかりにくい人の話には、「だいたい」「ほぼ」「ほとんど」「おおむね」「おおよそ」「かなり」「そうとう」「けっこう」「むちゃくちゃ」といった曖昧な表現が頻発するものです。そんなときはすかさず、「具体的にいうと?」「実例を挙げると?」「数字に置き換えると?」というように、話をクリアにしていきます。

 

私のコンサルタント仲間のK氏は、この質問がとてもうまいのです。実例をみてみましょう。

 

K氏 「ところで、松本先生。最近のクライアントの話で何かおもしろい話、ある?」

私 「そうですね、皆さん、一見真面目なのですが、実は、あまり私の話をよく聞いていないという傾向がありますね」

K氏 「へえ! たとえば、どんなことか?」

私 「私が質問しても上の空だったり、曖昧な答えしか返ってこなかったり……」

K氏 「他には、どんなことがあったの?」

私 「ひどいときには、研修中に指名して質問したら、『えっ、何ですか?』なんって聞き返してきた人がいましたよ、さすがに驚きましたね」

K氏「へえ、そうなんだ。そうなったのはなぜだろう?」

 「そうですね……」

 

このように質問をされると、私もその問いに答えるために、新たに考えをまとめようとします。K氏の質問から、話が「深化」していくのです。

 

 

■聞く時に注意すべき点も…


聞き下手な人ほど、相手が一つ答えるたびに、「ところで話は変わるけど」「別の話なんだけど」と、テーマを変えてしまいがちです。あるいは、「へえ、そうですか」という程度の軽い反応で、話をまとめてしまったりします。これでは話した人も「せっかく答えたのに……」と、肩透かしを食らったような気分になりますし、会話も深まらないでしょう。

 

 

■いい質問が「会話の質」をあげる


私は、スピーチの練習をしていたころ、師匠からよくこう指摘されていました。「あなたの話は、わかりにくい!」では、どうしたらいいのかと師匠に問うと、こう教えられました。「昔から、『一理三例』といわれる。理屈をわかりやすく伝えるためには、一つの理屈に対して、三つは具体例を上げることだ」そして、具体例の中でも、自分のエピソードや体験談が最も説得力をもつのだとも、教えられました。


私は、これに独自のメソッドを混ぜて、「身近な体験談のほか、有名人のエピソードや社会論など、大きな例も交えて話すとよい」と考えています。この人の話は、わかりにくいなと思ったときは、「○○さんご自身の体験談はありますか?」「ご家族や友人の体験談はありますか?」と質問するようにしています。


聞き役の大きな役割の一つは、相手の話をわかりやすくすることです。相手の話をわかりやすくするための質問をしていくことを心がけてください。

 

 

【関連書籍】

『人を動かす聞く力&質問力』 (三笠書房)

 

 

 

 

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人材育成コンサルタント

松本幸夫

1958年東京生まれ。能力開発、目標管理、時間術、スピーチ、プレゼンテーション、交渉などをテーマに年間200回以上の研修・講演を行ない、リピート率は92%を超える。指導する業界は、マスコミ、流通、通信...

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