「住みたい街」の正体をあばく! 『首都圏「街」格差』【連載】第1話「古着ブームで人気下落!? 下北沢」

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毎年注目される、不動産情報サイトや雑誌の特集で発表される「住みたい街ランキング」。そこに登場する「街」は本当に住み良いところなのか? 人気はずっと続くのか? これからランクアップする「穴場」はどこか? そんな「住みたい街」の正体をあばく文庫本『首都圏「街」格差』が好評発売中! いま首都圏で話題となっている様々な「街」をテーマ別に選定し、現地での観測調査と統計資料を使いながら実態をあぶり出していきます。



■ランキング大変動! 「住みたい街」には賞味期限があった
 

不動産会社や新聞、雑誌が発表する首都圏の「住みたい街」ランキング。いまや紅白歌合戦や流行語大賞のように、毎年の恒例行事として定着している。このようなランキングが始まったのは十数年前。当時は吉祥寺、自由が丘、下北沢の3つの街が、圧倒的な支持を集めて上位を独占していた。

しかし、永遠に「住みたい街」でありつづけることは難しい。昨年、常に「住みたい街」のナンバー1に君臨していた吉祥寺が2位に落ちたというニュースは世間の注目を浴びた。つまり「住みたい街」には賞味期限があったのだ。なかでも「住みたい街」から「フツーの街」に転落してしまった代表例・下北沢について紹介しよう。

 

 
■「古着ブーム」で「住みたい街」から転落した下北沢
 

かつて下北沢は吉祥寺、自由が丘と並んで「住みたい街」トップ3の常連だったが、近年のランキングでは30位近くまで順位を下げてしまっている。そんな下北沢の変化を起こしたのは、90年代の「古着ブーム」だろう。バブル景気が去り、若者の間では高級ブランドの服よりも、古着をコーディネート、工夫して個性をつくり出そうという風潮が広がる。そんななか下北沢の古着店が、雑誌などで紹介されて脚光を浴びた。

人が街に集まるようになれば、それに比例して家賃相場も上昇する。すると、経済的事情から「シモキタ」を去る者たちが出てくる。バブル期を経て老朽アパートが取り壊されてからは、この傾向がさらに顕著になってきたという。「住んでみたい!」と思っても、住むのに手頃なアパートがないのだ。




■「住みたい街」から「観光地」へ
 

下北沢近辺の家賃相場は、ワンルームで7万~8万円といったところ。同じ小田急線でも多摩川を越えれば1万~2万円は安く部屋を借りることができる。

また、結婚して家族ができれば、いつまでもワンルームというわけにはいかない。しかし、この界隈では昔から2DK、2LDKといった家族向け物件が不足気味。需要と供給が折り合わず、家賃はさらに割高となる。下北沢は「住みたい街」から、買い物や観光を楽しむための「観光地」へと変貌していった。代沢三差路を過ぎ茶沢通りに入れば、南口の商店街も尽きて住宅地になる……はずだったが、最近はその茶沢通りにもアクセサリー店、雑貨店、ファミリーレストランなどが立ち並び、住宅地がしだいに侵食されている。これが現状をよく物語っている。

 

 

〈プロフィール〉
首都圏「街」格差研究会●首都圏で「住みたい街」として人気の各街の実態を、フィールドワークや収集したデータをもとにして研究している集団。
青山誠●大阪芸術大学卒業。ウェブサイト「BizAiA!」で『カフェから見るアジア』を連載中。著書に『江戸三〇〇藩 城下町をゆく』(双葉新書)などがある。

 




 

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