アドバイスは喜ぶが、強制をすごく嫌がるという若い世代

人間関係

 

多くの会社に新入社員が入社し、ちょうど新人研修が始まった時期だと思います。企業の研修担当者は、毎年のカリキュラムに頭を悩ませ、いろいろ工夫していると思います。最近は新入社員のような若い世代の常識と、一般的なビジネス常識の間の溝が広がってきている様子があり、今までであれば教える必要がなかったことを、あえて取り上げて教えなければならなくなっているという話をいろいろな方から聞きますし、私自身が体験することもあります。

 

あるコラムに、若手営業マンが、営業上のクレーム対応を直接謝罪しに行かずにメールで済ませようとし、なおかつそのメールの中身で顔文字を使っていたそうで、それを見た先方の会社は激怒して、取引自体が停止になったとの話がありました。

 

取引停止までは、さすがに行き過ぎの感がありますが、この行動については「そんな非常識なことを…」と開いた口がふさがらないと思う社会人の先輩方が多数でしょう。ただ、実は私はそこまで悲観的には思っていません。

 

最近、特に若い世代の間では、どちらかといえば相手に直接電話をするということ自体が、相手のその時の状況に配慮せずに一方的に割り込んでいくということで、「相手の時間を奪うもの」というマイナスの捉え方をします。

 

直接電話する相手は、家族や彼氏彼女のような親しい間柄か、しいていえば宅配便の配達連絡くらいにしてほしいなどと言い、電話する前にLINEやメッセンジャーを使って、「今から電話していいか?」と尋ねたりします。


 

■若者はコミュニケーションを拒絶しているわけではない

私が悲観的に思わないという理由は、少なくともこうやって相手に迷惑が掛からないように、自分なりに相手に配慮しようという気持ちがあった結果としての行動であるからです。相手に配慮する感性自体を、他人が教えるのはかなり難しいことですが、感じ取っていた中での表現の仕方の問題であれば、その方法を教えればできるようになります。

 

もちろんそもそもの感性が違うことはありますが、これは単に気をつかっているツボが違うだけという捉え方もでき、それは教えていけば、時間がかかったとしても、いつかはできるようになることです。

 

また、この手のマナーに類することは、時代とともに徐々に変わっていきます。電話でもない、手紙でもない、メールでもない、その間を埋める様々なコミュニケーションツールがどんどん出てきていますし、あと10年もすれば、「電話は失礼」と考える世代がビジネスの中心になっていきますから、常識自体がどんどん変わっていくことでしょう。

 

そんな中で、最近聞いてなるほどと思ったことに、こんな話がありました。「今の若い世代は、年長者からアドバイスされることは喜んでいて、話も一生懸命聞こうとする」「ただし、“こうしなさい”などと強制めいたことを言った途端に、ものすごく拒否反応を示す」というものです。

 

右肩上がりを知らない世代ということで、これから何かしようとすることには慎重であり、どんなことでも事前によく調べるということ、情報はインターネットやSNSなどを通じてたくさん手に入るので、その中でいかに自分に合った情報かをよく選別しているということ、そこでは広告や既存メディアのような作り手の発想に偏った情報でなく、自分と似通った等身大、リアルで一般的な情報を求めているということ、人に見られたり構ってもらうことは、決して嫌がらないということでした。「聞く耳は持っているが、最後に決めるのは自分だ」ということなのだと思います。


こういうことがあるのだとすれば、やはり指導のしかたは考えなければなりません。昔ながらの体育会のように、上意下達で押し付けようとしていては、それこそ早期退職へまっしぐらです。そうは言っても、有無を言わさず教え込まなければならないことはたくさんあります。

 

基本的な姿勢は、本人に考えさせ、選択させた上で行動させるというプロセスを踏むということですが、実際の現場では、そんなきれいごとばかりでは済まないでしょう。ただ、「アドバイスは喜び、強制を嫌がる」という傾向が徐々に強まってきていることは、私自身も肌で感じることがあります。知っておけば対処することもできます。これから新入社員を指導する側の人たちは、こんなことも頭に入れておくことは必要だと思います。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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