ディズニー非正規従業員の労働組合加入で考える、雇用側の本音と建て前

ビジネス

 


東京ディズニーランドの運営会社である「オリエンタルランド」が、約2万人いる非正規従業員を労働組合に加入させるという話題がありました。

ディズニーランドでは、アルバイトやショーの出演者、嘱託社員などの非正規従業員が全従業員の8割を占めているそうで、これによって労働組合への加入者数は、現在の約2900人から2万2000人程度までに増えるということです。テーマパークで働く従業員の賃金や働き方の待遇改善を進めて、人手不足に対応するということです。
 

■減り続ける労働組合

ご存知の方もいると思いますが、労働組合の組織率は、1975年の約34%をピークとして一貫として下がり続け、この10年では17~18%程度で推移しています。

厚生労働省の資料では、1985年に4000万人程度だった雇用者数は、2015年では5000万人超と増えていますが、労組の組合員数は1000万人前後で大きくは変わっていません。その一方、非正規労働者の組合員は増えており、2015年では前年に比べて5万5000人(5.7%)の増加で、全労働組合員数に占める割合も10.4%となっています。


■非正規従業員の組合加入が増える理由

実はここ最近、外食や自動車など、非正規従業員やパート従業員が多い業種では、ディズニーランドと同じように、非正規従業員を組合加入させる動きがあります。
 
会社と労働者は、建前としては対等な関係にあるとされていますが、実際に従業員が単独で会社と交渉するのは圧倒的に不利であり、そこに介在する連帯組織が労働組合です。しかし、最近は「労使関係は安定的」とする労働組合が約9割と、会社相手に強い交渉をするような組合は少ないようです。

ただ、これが正社員よりもさらに不利な扱いが多い非正規労働者となると、労働組合などに加入した方が問題発生時に協力が得られやすいと考え、結果として加入者が増えているのかもしれません。

 
■「優しさ」とは違う? 雇用側の建て前と本音

このような動きを、「会社も非正規従業員の地位向上に取り組み始めた」とか、「従業員を大切にしようという企業側の機運が高まってきた」などと好意的にとらえる向きもあるようですが、私は実際にはそれほどの善意、優しさに基づく動きではないと考えています。

結局は「人材不足」という課題があり、「人を集めるためには労働条件を良くしなければならない」「良い職場だと思われなければ人が集まらない」という、ごく普通の資本主義的な競争原理の発想のもとに行われていることではないでしょうか。

同じようなことで言えば、例えばヤマト運輸が従業員の未払い残業代を調査して支払う旨を表明していますが、これも従業員に申し訳なくて悔い改めたというよりは、あくまで今後の経営リスクを回避するための動きだと思います。残業代には2年の時効がありますし、よほど何かの記録でもない限り、個々の社員の実働時間をさかのぼって確認するのは難しいところがありますから、どのくらいの補てんがされるのかは不透明です。

 
■働き方改革も、やむなき取り組み?

「働き方改革」の流れもあり、労働環境向上の取り組みが各社でおこなわれていますが、会社としての本音では、環境変化に迫られて、やむなく嫌々取り組んでいるように見えてしまうことが多々あります。

残業時間の上限規制も、結局月100時間の過労死ラインを超えたところで決着することになりましたし、一部専門職を労働時間規制から外す“ホワイトカラーエグゼンプション”も、導入の機会が探られています。そこには会社側の一方的な都合が見え隠れします。労働環境向上の取り組みが「本音」ではなかったとすれば、今とは逆の環境変化が起こったときには、すぐまた元に戻ってしまうでしょう。

 
■労働組合のあり方

私は、会社と従業員が本当の意味でWin-Winの関係になることができれば、それが理想だと思っています。その方が確実に業績も上がります。ただ、世間の様子を見ていると、それはごく一部の企業でしか実現しない、なかなか難しいことなのかもしれません。

お互いの本音が折り合う日は来るのかどうか、こればかりは何とも言えませんが、労働組合が本来の役割を担ってくれたとすれば、少しは良い方向に進むような気もしています。
 

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ユニティ・サポート小笠原隆夫

ユニティ・サポート小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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