「男性に嫌われないための生理用品選び」っておかしいでしょ!

ヘルス&ビューティ

三浦ゆえ

 


ネットメディアの普及によって、生理や女性の体に関する情報がより気軽に発信、受信されるようになりました。紙媒体ではセックス特集はあっても生理特集はほとんど組まれなかったと認識しています。女性誌ですらそうなのですから、男性が男性誌や総合誌を通じてそれについて知る機会はほぼ皆無だったといっていいでしょう。

しかしオンライン上ではたびたび女性向けサイトを中心に生理やPMS(月経前症候群)についての記事を見かけます。共感度がより高いメディアだからなのか、ライフハック的な記事がよく読まれるからなのか、背景は定かではありませんが、この流れ自体は歓迎すべきものです。


■ネットにあふれる“トンデモ生理記事”

さらに最近では、ハフィントンポストが“女性のカラダについてもっとオープンで話しやすい社会を実現するために”と銘打ち、生理や女性の体に関する「Ladies Be Open」を展開しています。バズフィードの記事「【クイズ】生理についてどれだけ知っているかな?」はSNSで大いに拡散されました。女性向け以外のメディアも生理にフォーカスしはじめています。

女性にとっては基本的には毎月訪れる身近な生理現象。しかし痛みの有無や経血量など個人差が大きいこともあり、女性同士でもなかなか共有・共感し合えないことがあります。その隙を突いてか、ネット上には生理に関する間違った情報やトンデモな情報がゴロゴロしているのもまた事実。先日も驚くべきものを見つけてしまいました。


■男性が「彼女の生理」で困ることとは?

料理やヘアメイク、ネイルなど女性が知りたい情報を動画配信する某メディアに掲載されたタイアップ記事で、タイトルは「知らなかった!生理中の彼女について彼の本音を大調査!」。

女性の生理に対する男性の本音を羅列し、生理用品の広告に落とし込むといった内容です。同メディアの調査によれば、「彼女の生理中に困ったことがある?」にYESと答えた男性は約65%、その理由として、

  • 隣に座ろうとすると距離をとられる…
  • 旅行の予約がキャンセルになった…
  • やたらとトイレに行くから待ってる間が寂しい!
  • ベットを汚したと朝から落ち込み気味…


といったものが挙げられています。


■そんな男性たち、本当に存在するの?

ときに痛みや苦痛もともなう生理現象がその身に起きている女性自身のほうが大変なのは言うまでもありません。人によっては精神面でも不調をきたし、イライラしたりふさぎ込んだり周囲に八つ当たりしてしまうこともあるでしょう。あまりに程度がひどいなら病院で相談しピルなどを処方してもらうべきですが、「カレシに嫌われないために、タンポンを使って生理中も常にご機嫌に」といった提案は非常に大きなズレを感じます。

そもそもこうした“男性”が存在するのかどうか自体が疑問です。女性がトイレに行くたった数分間で寂しくなってしまう男性って、いろいろと大丈夫でしょうか? 実在が不明な“匿名男性”たちに「こうしないと、俺たちに嫌われちゃうぞ」と脅しをかけさせるのは、かねてから女性誌では常套手段でした。ファッションやメイクについても同様の企画は枚挙に暇がないほどですが、ここではもっと身体的な内容についてお話ししさせてください。


■“彼に嫌われないために”という呪い

たとえば某有名誌のセックス特集では、男性が不快に思うからアンダーヘアを処理し、ニオイで男性に幻滅されないようデリケートゾーンを洗えと呼びかける記事が定番となっています。昨年は「セックスできれいになるために、腸内環境を整えよう」という記事までありました。隣に男性がいるにも関わらず寝ながらオナラをしてしまい、そのにおいでガッカリされてはいけないから……というわけですが、斬新すぎますよね。「自分の健康のために腸内環境を整えよう」じゃダメなんですかね。

一方で男性誌では女性が男性のアンダーヘアやデリケートゾーンに不満を示して「きれいにしてくれないと、私たちから嫌われるぞ」という提案はほとんど見ません。あまりに非対称的なのです。


■“自分が快適でいられるために”が大事

自身の体のことなのに自分のためではなく、男性のためにこうしようというのは「女性の体が女性のものでなく、男性のものである」といっているも同然です。問題の“生理中の彼女について彼の本音を大調査”した記事では、生理までもが「男性のためのもの」となってしまいました。「男性に嫌われる」という呪いをかけ、自分の身体性を見失わせたうえで商品を売りつける手法は、リテラシーに欠けているといわざるをえません。

ちなみに筆者自身もタンポン推奨派ですが、使用にあたって「自分が快適だから」以上の理由は不要だと感じています。生理用品は最もパーソナルな衛生用品、それぐらい好きに選ばせてくださいよ。
 

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三浦ゆえ

三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~...

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