二村ヒトシ×下田美咲:出世って自己評価でどうにかなるものじゃないでしょ

ライフスタイル

For M

アダルトビデオ業界で絶大な知名度を誇るAV監督・二村ヒトシ。数多の女性たちと文字通り“裸の付き合い”をしてきた彼ほど、オンナの本音を知る者はいない。“男でありながら女性の代弁者”として、オトコとオンナ、それぞれの本音を覗いてきた二村がたどり着いたのは、「男も女も微塵も差がない」ということだった。

 

本連載では、AV監督という肩書きを持ちながら、ジェンダー論を展開する二村が各界のキーパーソンを訪ね、現代人の隠れた真のジェンダーの正体を探っていく。

 

今回の対談は下田美咲が登場。13歳の頃からモデルやタレントとして活躍し、「YouTube」にアップした飲み会のコール動画は1000万回の再生を記録し一躍有名となった。自身の恋愛観を語ったWEBマガジン『cakes』での連載は、「内面よりも、外見を好きだと言ってほしい」と言うような独自な視点で、たびたび世間の共感と反論を生んでいる。

 

ときに私たちは、仕事の評価の一環として、または自分の反省のために、何かしらの自己評価を下している。しかし、それは本当に正しい評価なのだろうか?

 

今回の対談で、二村ヒトシは「男は自分の“おちんちん”しか見えていない」と説き、下田は「女よりも男のほうが自己評価ができている」と語る。二村ヒトシと下田美咲、二人の男女が語る“オトコの話”は、果たしてどう転がっていくのか?

 

撮影:山田英博 文:富山英三郎

 

自己肯定力を高めるくらいなら、いっそ捨ててしまえ

 

 

⬛ 男はコンプレックスが強いほうが良い

 

二村:下田さんの新著『新型ぶりっ子のススメ』、あっというまに重版かかったとのことで、おめでとうございます。以前に書かれた『生きてるだけで死にたくなるような世の中で生きていてもいいような気がしてくる119の名案』もおもしろかったし、cakesの連載『下田美咲の口説き方』も毎回、楽しませてもらってます。

 

下田:『cakes』は好きなように書けるからラクなんですよ。ハードルを下げなくていいから。普通の人の感覚ってかなりハードルが低い。

 

二村:下田さんが明言してる「嫌なことをしないで生きていくために絶対に妥協をしない。そのためにはどんな努力も惜しまない」って生き方、すごいと思います。それをするためには、そもそも自分が何が嫌なのかが、分かってないといけない。

あと、キスするのが好きすぎて、顎の筋肉が異常に発達したっていう話には爆笑しました。

 

下田:キスはライフワークというか趣味ですね。

 

二村:『For M』は男性向けのメディアなので、下田さんの好きな男のタイプとか訊きたいんですけど。

 

下田:コンプレックスの強い男性のほうが、味がありますよね。

 

二村:ああ、「靴にインソール入れてる男にグッとくる」って書いてましたね。一般的に「ギャル男は、変な自信があって勘違いしているナルシスト」だと思われがちだけど、下田さんは「ありのままの自分のことが嫌いだから、少しでも良くなろうと努力している人種」だと分析している。言われてみれば多くのギャルはその通りです。だからギャル男もそうなのかもしれない。これは目からウロコでした。

 

「逆に、キモオタのほうが自分好きなのでは?」という話も納得しました。たしかに多くのオタクは自分が変わることに興味がなくて、変わろうという発想と意志がない。何がキモいのかというと、外見ではなく、そこがキモい。

 

下田:キモオタは何も飾らず、ありのままの姿で闊歩していますからね。

 

 

他己評価がなければ、出世も何も手に入らない

 

二村:下田さんは、人から「考え方が男性的だね」って言われます?

 

下田:はい。

 

二村:経営者とか起業家タイプの、独自の論理・倫理において合理的な脳(考えかた)の持ち主ですよね。そういう女性って意外といて。いや、日本の女性の中では割合は少ないのかもしれないけど、だからこそ目立つ。活躍もする。

 

ところが、そういう女傑みたいな皆さんは大抵「女も自立しましょう!」って語るわけ。

 

でも、下田さんは、抽象的な理念としての“女の自立”を促さないですよね。むしろ「ヤリたいと思った男には、ちゃんと媚びろ! そのほうがモテる」って真逆なことを言う。合理的な脳を、男社会に寄り添いながら「女として生きることの快楽」に使う。快楽主義者なのかな。

 

下田:モテるって、「男の人が良い顔をしてくれる状態」だと思っていて。自分のダメな面を出すと嫌われるから、男性はそれを見せない。モテているときって相手の良いところだけが見えるから、結局は得だと思うんです。

 

二村:自分に良い顔を見せてくれる人と一緒にいるとストレスがないですよね。だから、自分も良いところを見せられる。

 

下田:「可愛がってもらう→可愛い状態でいられる→パフォーマンスが高い」ってことですから。

 

二村:ところで「多くの女性は、自分を愛してくれない人が好き」なんじゃないかって僕は思うんですが、そういう人の感情について、どう思う?

 

下田:全然分からない。あと、「狙った人に愛されない」のも分からない。ありのままでいこうとするからですかね?

 

二村:自己肯定力が低いからというのが大きいんですよ。自分を好きになってくれる異性のことを「私なんかを好きになってくれて申し訳ない」と思うか、もしくは、どこか下に見て物足りなく思ってしまう。

 

その両者は、じつは同じことなんです。でも下田さんは自分を圧倒的に肯定してるから、そこに陥らないのでは

 

下田:そうですか? もしかしたら、自己肯定力みたいなものを捨てているのかも。私が私を認めても誰もハンコ(承認)を押してくれないし。

 

二村:他人の評価がすべてってことですか?

 

下田:そう。そうじゃないと、出世も何も手に入らないですよ。出世やお給料って他己評価の結果じゃないですか。他己評価があれば、自信があるように見える。

 

男は他人から評価される機会が女よりも圧倒的に多い

 

 

⬛イチモツへの自己評価が低い人が好き

 

二村:下田さんは、自分自身のことがそんなに好きじゃないってことですか?

 

下田:「好き・嫌い」というよりも「快・不快」が大事。「好き・嫌い」で測って、自分のことが嫌いだと分かっても、どうしようもないじゃないですか。

 

二村:あー、そうか。そこも快楽原則なんだ。なるほど、「自分を好きか嫌いか」っていうのは形容詞的っていうか、動きがないですよね。だからどうしても自罰っぽくなる。「自分の状態が快か不快か」を感じるようにしていると、“快”のほうにスルッと動くことができる。

 

下田:他人なら距離を置くことができますけど、鏡に写る自分を見続けて、ヘンなところ見つけても仕方がないし。

 

二村:いちいち見つけて直そうと自罰的に努力しちゃうのが、たとえば整形ですよね。

 

下田:直せればまだいいですけど、直せない欠点はどうするんですか?

 

二村:心の傷を忘れるために買い物依存になるとか、ホストにお金を使っちゃったりって結果になりがち。

 

下田:私の場合は、たとえ自分のことを好きでいても、それを不快に感じるようだったらイヤですね。快適か否か、つまり生きやすいかどうかを重視してきたから。

 

二村:男性の感覚については、どうですか? 女性は割りと客観的にモノをとらえることができて、男は主観的だと、偉そうに威張ってたり女性に対して支配的になる男には自分についての客観性がないんじゃないかと、僕は思っているんですけど。

 

下田:私は男性が客観視できていないと思ったことはないですね。男の人は女の人に比べて、他人から評価される機会が圧倒的に多いから。自分を客観視しなくても他人がしてくれる。つまり、自分を客体化する必要がないんです。

 

モテる男はモテている事実ですでに評価されているし、給料なんてもっと分かりやすい。評価されていないことも「全然ダメ」っていうことの評価の結果だし、客観視しなくても結論は出ている。

 

二村:僕が「男って客観視できてない」と思うのは、これはいつも展開する持論なんだけど、男って結局“おちんちん”にしか興味ないし、そこでしか感じないんですよ。

 

男が好きな、自動車とか腕時計とか、権力を持ちたいとか、国家とか会社への帰属意識とか、みんな“おちんちん”のメタファーだと。仕事で予算をとって高いビルを建てるプロジェクトに参加すると自分も偉くなったような気分になるなんて、まさに男同士の“おちんちん”の大きさ比べ。

 

しかも、女の人は皆おちんちんが好きだと思い込んでいる。セックスのときはそこを褒められたいし、ハイスペ男性は学歴や会社名を褒めてあげると喜びませんか?

 

下田:でも、私はイチモツへの自己評価が低い人が好きですね。「よくそれを口にした、偉い!」って。男の人って勃起した状態で比べてないから、本当は大きさの違いを知らないはずなのに。

 

二村:ちんこに自信ないがゆえに謙虚で、それで“いい仕事”ができればナイスですよね。自信のなさから、ひがみっぽくなる人もいるけれど……

 

下田:女性である私の方がいろんな人のイチモツを見ているし、比較対象を知っているはず。それなのに、自分から「小さい」って言う人は性格が良いなって思う。逆に、比較対象もないのになぜ大きいと自信を持てるんですか?

 

二村:自分はデカいって思い込んでいる男の図々しさには、根拠ないんですよ。本当に大きいか小さいかじゃなくて、なんとなく大きさに自信がない男のほうが、代償行為として頑張る。

 

下田:代償行為だったとしても、自分の全体的な評価をあげようとするのは偉いし、かわいいじゃないですか。

 

二村:心のちんこのデカさのほうは下田さんが担当するから大丈夫、ってことなのかな。

 

下田:付加価値をつけようとする発想が、女の人にはあまりないんですよ。すぐに、「ありのままの私」でいようとする。しかも、自己評価がズレまくっているので、すごくモヤモヤするんです。大概が自分を高く見積もりすぎ。

 

それでいて、毎日同じ愚痴を永遠に言い続けるので、それが生理的に無理な私は女友達ができない。「ヤセたい」って言うなら、運動でも食事制限でもすれば良いのに。男の人のほうが、お金を稼ごうとか、何かしら変わろうと頑張っていますよ。

 

 

他人からの評価を自分の評価として、素直に受け止める

 

二村:これは仮説ですけど、女性はわざわざ股を開いて鏡に映さないと自分の性器を見ることができないし、パッと握りしめることもできない。だから、つい世の中という鏡を通して自分を見てしまって、他人の目も気にしすぎるようになるし、その代わり自分を客観視することもできる。

 

多くの女性は下田さんの言う「自分を好きか嫌いか」と「自分の状態の快・不快」がごっちゃになってしまう。一般的な女性は、鏡に映った自分を他の女性と比べて点数をつけます。

 

下田:う~ん、私はそこで評価を下そうとはしないから。

 

二村:人の目を通して自分を見ることが必要だと思います?

 

下田:もちろん。自分のことを評価するのは難しいので、他人に差し出すしかない。文章を書いても自分ではおもしろいか判断できないので、まずは出すしかない。当たらなかった、反応がなかったら、つまらないということ。

 

二村:本当はおもしろいんだけれど世の中のニーズと合わなかった、とは考えない?

 

下田:それもありえますけど、箸にも棒にもかからないのは、誰から見てもおもしろくないということだと思う。

 

二村:他人からの評価を自分の評価として、素直に受け止めることができるんですね。

 

下田:そうです。自分で評価しても分からないからオーディションを受けるとか、審査にかけるとか、なるべく早く査定してもらうんです。客観視をしたいのならどんどん人前に出す。

 

二村:完成度よりも、まずさらけ出す?

 

下田:まず出しちゃう。どんなふうに世間が受け止めるのか、反応を見ないと。

 

二村:他人に評価されることが恐いから、いつまで経っても自分をさらさない、さらせない人って多いと思うんです。

 

下田:たしかに、いきなり人に作品を見せるのは恥ずかしいですよね。私の場合は、昔からお母さんには見せやすかったんで。「YouTube」に動画をアップするときも、まずはお母さんに見せていました。そこで笑わなかったらお蔵入り。その理由のひとつに、お母さん=中年女性というのがあって。中年女性にウケないものは、世間でウケないですから。

 

二村:ああ、なるほど。

 

下田:中年の女性=お茶の間だから。お母さんがくすりともしなかったらテロップを増やしたりします。同世代は感覚を共有しやすいので、雰囲気だけでおもしろく感じちゃうんですよ。

 

二村:すごい“母親の活用法”だな……。男性も、世代によって感覚が違うなと思うことがありますか?

 

下田:基本は同じですね。でも、女性を口説こうとするとき、30代の男性は10代の女性に、40代は20代の女性に対してと、年齢によって異性を口説くハードルを上げている感じはします。もう30歳だから、40歳だから……って勝手に引け目を感じている。とはいえそういう「俺はもうオジサンだし」っていう感覚こそ、男性が自分を客観視できている証拠だと思うんですよね。

 

二村:男たちは、わざわざ自分を客観視しようとしなくても、肩書きや給料の額なんかで、いやおうなく客観的に自分のことを把握できているはずだと……。

 

下田:そういうことですね。

 

≫≫第2回目は5月13日に公開予定!

 

 

■抽選でAmazonギフト券が5名様に! 男の生きづらさを教えてください

 

アンケートに回答すると抽選でamazonギフト券を抽選で5名様にプレゼント。あなたの気になるトピックを、二村さんと豪華ゲストが対談してくれるかもしれない!

※ 締め切りは2017年5月20日(土)まで

【回答はコチラから】

 

 

 

◆プロポーズされ率100% プロが手引する実践型恋愛本

 

付き合った人からプロポーズは必ずされるという下田美咲。「狙った人に愛されないのが分からない」……恋愛は計算づくであるべきと語る。

 

そんな下田が渾身の恋愛テクニックを書き下ろした本『新型ぶりっ子のススメ』は、発売以来重版3刷が決定した人気作品だ。恋愛テクニックなんて縁のない話、なんて嫌煙するのはもったいない。下田のワザは、恋愛というよりも大人が大事にするべきコミュニケーションを今一度教えてくれる教科書でもあるのだ。

 

『新型ぶりっ子のススメ 彼に恋させる、計算ずくの恋愛戦略』
値段:1404円(税込)
出版:KADOKAWA アスキー・メディアワークス
URL:http://amwbooks.asciimw.jp/978-4-04-892449-8/

 

 

 

◆二村ヒトシ、渾身の力作が絶賛発売中

 

男性でありながら、女性への理解が深い二村ヒトシ。これまでに、恋愛問題、性問題などに関して多数著書を発表している。女性へ、男性へ、人間そのものへの温かくときに鋭いまなざしによって書かれた著書は、今をせわしなく活きる我々に心の余裕を与えてくれるだろう。

 

『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(イースト・プレス)

『すべてはモテるためである』(イースト・プレス)

『モテと非モテの境界線』(共著/講談社)

『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(共著/幻冬舎)

『オトコのカラダはキモチいい』(共著/KADOKAWA)

『男ノ作法 人生と肉体を変革させる性交法則』(共著/徳間書店)

 

 

>> この連載のトップに戻る

 

この情報は2017年4月22日現在のものです。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

For Mの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

For M

For M

現代の男たちに足りないもの、それは「熱」。 仕事・遊び・趣味・恋愛に、何事も全力投球でまっすぐな熱さを持って打ち込む。そんな“熱男”こそ、我々が目指す“現代の伊達男”だ。 For Mでは...

For Mのプロフィール&記事一覧
ページトップ