「頭にカップラーメン」「局部にドライヤー」東大ヤリサーの鬼畜行為の裏にあるもの

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三浦ゆえ

5人の男性が1人の女性をいたぶるという、いたましい事件。加害者が現役の「東大生/院生」であったことから、世間の関心度は一気に上がりました。

 

当初は加害者全員の氏名が明かされなかったこともあって憶測が憶測を呼び、やがて週刊誌によって参院議員の親戚が含まれることや、彼らのエリートコースまっしぐらな経歴などが明かされ、ますます加熱しました。一連の報道のなかで私が目を疑ったのは、その加害の内容でした。

 

加害男性のひとりが住むマンションで、自分たちが泥酔させた被害女性の衣服を脱がせて身体に触れ、殴る蹴るなどの暴行を加えた……それだけでもおぞましいのに、彼らは「カップラーメンの残り汁を女性の頭にかける」「ドライヤーで局部に熱風を浴びせる」など、人を人とも思っていない屈辱を女性の心身に与えたというのです。

 

■女性を「使う」のはセックスではない

男子学生らは「強制わいせつ容疑」で逮捕されました。強姦容疑でないのは、性器の挿入がなかったからです。性器の挿入はそれ自体が暴力であるうえに、妊娠や病気の感染の恐れがあるため心身に受けるダメージがより大きくはなるのは確かです。

 

だからといって、挿入がない=ダメージが小さいわけではありません。性犯罪は「魂の殺人」といわれます。殺され方に違いあっても、「魂が死んでしまう」ことに変わりはないのです。

 

5人がした信じがたい侮辱行為は、女性の心に致命傷を与えるに十分だったはず。しかし報道によると、彼らのうちのひとりは「計画性や悪意があったわけではないが罪になるなら仕方がない」といったそうですから、唖然とします。

 

「人を殺しても平気でいられますか?」と問われれば、彼らも即座に首を横に振るでしょう。それなのに、自分たちの悪ふざけで女性の心を殺したことに対しては、こんなにも鈍感です。

 

彼らは、おそらく「ドーテイ」です。性交経験のない男性を指す「童貞」ではありません。彼らは自分の男性器を女性器に挿入し、射精した経験はあるのでしょう。けれど、セックスはしたことがなさそうです。

 

ここでいうセックスとは、お互いに肉体的快感を与え合いながら、心も同時に通わせ合う人間的な行為。それがなく、ただ自分の射精という排泄のために女性を“使う”行為をいくら重ねたところで、その人は自己中心的な「ドーテイ」のままです。

 

■鬼畜系ポルノグラフィの宝庫

本来、性交経験の有無自体はその人の人格を判断する基準にはなりません。が、女性のみなさん、ドーテイにはくれぐれも気をつけてください。経験値のあがったドーテイ、つまり排泄だけをくり返していながら、自分では「セックス経験豊富」と思っているタイプはさらに厄介です。

 

好意や愛情、尊敬の念を抱いていない女性は、彼らにとってただの“道具”。この事件では、暴力をふるうことで興奮するドーテイ男たちのはけ口として、女性が使われました。でも、ドーテイは身近にもいます。「女性が妊娠や感染症を不安に感じているのに、コンドームを拒否する」も、典型的ドーテイ行為です。

 

そんなドーテイが生まれる背景に、一部のAVに代表される悪質なポルノグラフィがあることはいうまでもありません。無論、AVのすべてがそうではありません。良質なポルノグラフィも多く存在しています。

 

けれど、たとえばアダルト動画のダウンロード販売を行う大手サイト「DMM.R18動画」を見ても、「鬼畜」「残虐表現」「輪姦」などのジャンルが設けられ、2016年6月18日時点でそれぞれ727、280、2,442タイトルがラインナップされています。

 

■セックスは誰からも教わらない

試しに同サイトで、「ヤリサー」のワードで検索してみました。今回の事件の加害男性たちは、性交や乱痴気騒ぎをすることを目的としたサークル=ヤリサーの仲間だったといわれています。

 

引っかかったのは20タイトルと少なめですが、媚薬系ドラッグを仕込まれた酒を飲んだ女性たちが複数人の男性に襲われるなど、過激な内容のものばかりです。しかもサンプル動画を視聴すると、襲われたはずの女性たちが次第にアンアン喘ぎだす……という内容がほとんどです。ドーテイ男性に道具として使われた女性が彼らを受け入れ、気持ちよくなるという超展開に、目眩がしました。

 

これを観た男性らが同様の事件を起こすとはかぎりません。第一、5人の男子学生がこうしたAVを見ていたかどうかはわかりません。でも、映像というメディアには圧倒的なリアリティがあり、その説得力は小さくないのです。結果、観る側のリテラシーが問われます。

 

そして、そのリテラシーが身につくには「セックスとは、相手の身体を大切にして、お互いに尊重しあうこと」「性暴力とは暴力であって、セックスではない」と知っていることが前提となりますが、残念ながら現在の日本ではこれを学ぶ機会がほとんどありません。学校教育では初潮からはじまる妊娠の仕組み、避妊、感染症予防は教えても、肝心のセックスが抜け落ちています。

 

もし教えられていたとしても受験とは関係がないため、彼らのようなエリートからはきっと軽視されるでしょう。そんなこと、誰かに教わらなきゃわからないのか、という声もあるかもしれません。ええ、わからない人が多いから、こんな事件が起きるのです。性の基礎の基礎から学ぶことが社会にとってマイナスになることは、絶対にないはずです。

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~...

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