キンコン西野「てるみくらぶ」被害者救済に見るクラウドファンディングの未来とリスク

テクノロジー

 


格安旅行会社「てるみくらぶ」が3月末に破産しました。それによって、旅行代金を既に振り込んでいた多くのユーザーが旅行に行けなくなったり、現地で追加代金を二重に支払わねばならない羽目に陥りました。被害者数は最大で9万人規模に上ると言われています。

それに対して『えんとつ町のプペル』などの絵本作家として知られるキングコングの西野亮廣氏は、公式ブログでてるみくらぶの被害者にクラウドファンディング形式で支援を募り、行けるはずだった旅行をプレゼントしました。被害者は西野氏がSNSで募り、信頼できると思われる相手を選定。目標金額である30万円は30分で集まりました。ブログには被害者からの喜びの手紙も掲載されました。

クラウドファンディングを使ったこのようなボランティア活動は今後増えていく可能性があります。クラウドファンディングとその可能性について考えると共に、サービスを使う上での注意点をご紹介します。


■個人からの資金調達プラットフォーム

そもそもクラウドファンディングとは、インターネット経由で不特定の個人から資金調達が可能なオンラインプラットフォームのこと。元々、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた言葉です。資金調達側からは銀行やベンチャーキャピタルに頼らなくても調達可能な点、支援側からは少額でも支援可能ということで注目を集めています。

クラウドファンディングは2008年ころから登場してきました。「Kickstarter(キックスターター)」の他、国内では「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」、「Readyfor(レディフォー)」などが有名です。2014年度の世界のクラウドファンディングによる資金調達額は約1兆9440億円であり、矢野経済研究所調べによると、2015年度のクラウドファンディングの国内の市場規模(支援額ベース)は363億3400万円に上ります。クラウドファンディングが無視できないレベルで浸透・成長していることがよく分かる数字です。

クラウドファンディングには大きく3種類あります。活動報告などの無償の成果物が提供される「寄付型」、プロジェクトが提供するサービスや招待、商品自体などが提供される「購入型」、達成した場合に株や事業の利益分配など金銭的リターンがある「金融型」です。


■クラウドファンディングのリスクとは?

クラウドファンディングのリスクとは何でしょうか。今回の西野氏が行ったような寄付型の場合は、そもそも“寄付”なのでリスクはほとんどないものの、支援した相手や募集した個人・団体などが詐欺行為として集めていた場合は寄付したお金が意図したように使われない可能性があります。

被害に遭わないためには、支援する相手や募集している個人・団体などの信頼性から判断するしかありません。西野氏は著名人であり30万円のために詐欺を働くとは思えないので信頼できると考えられますが、同様の寄付を個人が募っている場合はしっかり相手を検討する必要がありそうです。

購入型の場合は、うまくいった場合は自分が共感する相手や成果物などを支援したり、成果物などを先行して入手できる可能性があります。一方、商品が完成しなかったり、期待したタイミングに提供されないリスクがあります。実際、そのような話はよく耳にします。しかし、リスクがあると知らずに確実に商品が入手できると誤解したまま参加する支援者も増えているようです。資金を集めるだけ集めて計画的に逃亡するなどの詐欺事件も多数起きています。

金融型の場合は、うまくいった場合は少額で高いリターンが期待できる可能性があります。一方、事業の不調や調達者の倒産などによる、貸し倒れや元本割れなどのリスクもあります。

以上のように、クラウドファンディングの支援には一定のリスクが伴います。しかし、共感する相手に支援ができたり、他では得られないリターンが得られる可能性もあり、クラウドファンディングがあるからこそ実現するものは多数あります。

詐欺に遭わないためには、支援するかどうかを決める前に、プラットフォーム自体や募集している人・団体について調べ、信頼性を確認しましょう。そして、支援する相手が信頼に足る相手かどうかをよく吟味して判断してください。クラウドファンディングは信頼をお金に変えて可能性やアイディアを実現する夢のあるサービスです。参加することには社会的に大きな意義があると考えますが、くれぐれも無理してまで支援しないように注意してください。
 

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高橋暁子

高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。 書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNS...

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