菊川怜の「脱・独身」の何がいけない? 「結婚しなくても幸せになれるこの時代」にふたりで生きる意味を伝えたい

人間関係

 


近ごろ、タレントで女優の菊川怜が結婚を自身の番組内で発表し、それを祝う垂れ幕に「祝 脱・独身」なる文字が書かれていたことに対して、独身がいけないことなのか!とネット上でひと悶着があったそうです。結婚というと、わあ、よかったですねえって祝福が一般的ですが、テレビに出ている人や著名な皆さんはなかなかそうも世間が簡単にはすませてくれそうにないようです。

一方では、結婚情報誌のガリバー『ゼクシィ』のCMで「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです。」というキャッチコピーが、素晴らしい!とこれまたネット上で評判になりました。なにやら結婚したい人もしたくない人もどちらの生き方も否定していない、という点が評価されたようです。対極の反応を生んだふたつのニュース、世間の結婚観にいま何か変化が起きているのでしょうか。


■結婚しても、結婚して子どもがいなくても、幸せになれますよ

もちろんウエディングを生業とする筆者やその業界にとっては結婚大歓迎ですし、重婚騒ぎで大モメしたどこかの政治家の仮想ハワイウエディングのような事業プランを、数年前にシミュレーションしてみたぐらいです(その計画は、間違いなくオペレーションが混乱するという現場の強い意見で頓挫しましたが)。

身も蓋もないことを考えるなあって思う人もいるかもしれませんが、背景には過去10年で10%近い婚礼届出数の低下や、今後10年で同様もしくはそれ以上の数字が予想されているなかでの業界の切迫感と、ほんとうにこのまま人類が減っていっても良いのかという本能的な危機感があるのです。このままではほんの30年後ぐらいの2050年に日本の人口は1億人を割り、鉢だけ大きくなって元の大きさに戻っていく植物のような不自然な社会が到来してしまいます。

菊川怜の「祝 脱・独身」も『ゼクシィ』のキャッチコピーもまた、アウトプットの出来栄えは違えど、なんとか“結婚を選ぶ生き方”を肯定してもらえるよう考えて発信したものでしょう。世間の反応がどこか過敏に感じられるのは、本能的な危機感を誰しもが潜在的に抱えているからでしょう。

とはいえ、人があらゆる便利で楽しいモノやコトを創り出してきたが故に、「結婚しなくても楽しいこの時代」が出現したワケですから、生き物の正常進化の過程として、独身を否定しないことにも結婚にこだわることにも、それぞれの有り様として絶対的な価値はあります。

ただ、そもそもの進化の起源から連綿と続けてきた種の保存という行為は、環境に適応しながらも原始的なその部分は誰かが継続していかなければなりません。それ故の出会いであり恋であり、たとえそれが不倫であっても、惹かれ合えば互いの遺伝子を残したくなるのが人間の性なのではないでしょうか。

もちろん結婚をするうえでも様々な幸せの形があります。子どもがいてもいなくても素晴らしい人生があるはずです。あの頃こんな服着てあんな曲聞いてこうしてよく遊んだよねっていう想い出は、あらゆる世代に変わらず生まれ続ける流行廃りのない記憶です。それを創り続けていくことが人生のひとつだとしたら、ひとりよりもふたりで創っていくこと──そんなシンプルな生き方を結婚と呼ぶのかもしれません。

何かあったときに振り返ることができる情景を、ひとりではなく誰かと一緒に創ってみてはいかがでしょうか。ということで皆さん、シュリンクするウエディングマーケットに愛の手をさしのべて下さい。
 

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橋本明彦

橋本明彦

1963年東京生まれ。明治学院大学卒。外資ホテルやラグジュアリーブランドのウエディングコンサル会社運営とともに、恋愛や結婚にまつわるライフスタイルのコラムを執筆。All Aboutの恋愛・結婚ガイドを担当。著書に...

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