スマホを"使えなくする"スマホケース!? こどもとスマホの幸せな関係を考える

テクノロジー

 

あなたが、朝起きて真っ先にすることは、なんだろうか。私のすることは、ここ7~8年、毎日変わらない。まず、iPhoneをさわる。そして、Facebookを見る。LINEを確認し、寝ている間に届いたメッセージに返信する。ベッドを出るより先に、ニュースサイトで朝の出来事を確認する。乗換案内で電車を確認し、地図を開く。シャワーを浴びながら訪問先の場所を確認し、バスに飛び乗る。移動中はInstagramで友人の写真をチェックし、メッセンジャーで仕事のやりとりをする。AppleMusicで音楽を聴き、時間ができればNetflixでダウンロードした映画を見る。

大げさかもしれないけれど「スマホがなかったら生きていけない」生活だ。なかったら、まったく仕事にならない(実を言うと、今この原稿を書いているのも、iPhoneなのだ)。スマホは魔法の小箱である。我々に、知識とエンターテイメントを与え、新しい形のコミュニケーションとを生み出してくれた。けれど、人は、スマホに使われているのではない。スマホを使っている側なのだ。道具なのだから、どう使うかは自分次第。この素晴らしいツールが、巨大な外の世界に繋がっていることを知っているし、使い方次第で、自分の能力を何倍にも高めてくれることも知っている。

けれど、もし、この魔法の小箱を手にしたのが、こどもの頃だったら?と思うと、正直不安になる。スマホに使われる側の人間になっていたかもしれない。自制が効かず、オンラインの世界から抜け出せなくなっているかもしれない。


■スマホの利用を制限するスマホケース

先日、クラウドファンディングサイト・Makuakeに、OTOMOS(オトモス) という名の商品が登場した。株式会社Momoが開発した、こどもとスマホの関係を健全化するためのスマートフォンケースだ。現在のところ、iPhoneのみに対応している。ケースの内側にあるライトニングコネクタに本体を差し込み、アプリをインストールすれば、準備は完了。親のスマホから、管理アプリを経由して「OTOMOSを装着したスマホの利用制限」が出来るようになる。1日に使用できる合計時間を決めたり、使える時間帯の指定と制限もできる。

 


大人と違って、極端に熱中しやすく、終わりの時間を決められないこどもは「友達からLINEが来たから」「もう少し遊びたいから」と、つい、スマホとの関係を優先してしまいがちだ。結果、宿題に手がつかなくなったり、睡眠不足になったり、食事や、家族との会話をおろそかにしてしまうこともあるだろう。とはいえ、何かに夢中になっているこどもから、対象物を引き離すのは難しい。親子間で「ゲームは1日2時間まで」と決めても、目の前のスマホが動き続けていたら、どうしても触ってしまう。ルールを決めたでしょ、と毎夜言い合うのも、双方にストレスが溜まるだろう。

だからこそ「この時間は使えない」と、明確に時間指定ができるOTOMOSのコンセプトは素晴らしい。親子間のルール以外に、物理的な制限がかけられるのだ。大人だって、ダイエットをがんばろう!と思いながら、目の前にスイーツがあれば、つい手が伸びてしまう。けれど、そのスイーツの箱に鍵がかかっていたら、ぐっと我慢も出来るというものだ。こうして自然と、ルールを守ること、自分を律することを覚えられるのが良い。


■こどもとスマホの幸せな関係をつくるために

こどもにスマホを使わせることについて、私は概ね、肯定派だ。今は、私の時代には考えられなかった、インタラクティブで効果的な学びのアプリが、たくさんリリースされている。論理的思考の手助けをする、素晴らしいゲームもある。語学を修得できるもの、アートに触れられるもの、こどもでも始められる楽曲制作アプリも豊富にある。未開拓なこどもの才能を伸ばすために、それらを使わない手はない。もし、視力の低下が心配ならブルーライトカットの保護ガラスシートを装着するとか、方法は色々ある。

学びを目的とするならば、最初は、自宅のWi-Fiだけで使える、親のおさがりのスマホがあれば充分。1人で移動する機会が多く、辞書や資料を使うことが増える中学生頃から、自分専用のスマホを持てば良いと思う。OTOMOSには、歩行時や、自転車の運転中に使用できないよう制限をかける機能もある。万が一、事故や異変があった際には、登録しておいた連絡先に、通知を一斉送信する。その場合は、こどもの位置情報と共に、状況が通知される仕組みになっている。見守りツールとしても優秀なのだ。

これまで、国内外の展示会で、こどもを見守るためのグッズを色々と見てきたが、全て、スマホとは別の、装置やアクセサリーとして存在していた。つまり、そのアクセサリーを忘れてしまうと意味がないのである。だから、ケースにしてしまおう!というアイデアは、かなり画期的と言える。さらに評価したいのは、デザインを諦めていないということ。機能重視の無骨な商品や、こどもにフォーカスしたあまり、ファンシーになりすぎた商品も見てきたから、「iPhoneケース」としてデザインが成立しているこの商品には、とても好感が持てた。

中学生ともなれば、自分の持ち物やファッションに、ある程度のこだわりが出てくる。「見た目がこどもっぽいツール」を持たされるなんて恥ずかしい!という子も多いだろう。私はスマホケースのコレクターで、500を超えるケースを所持しているが、いくら機能性が高くても、デザインの悪いケースをつけるのは、やっぱり嫌だ。

OTOMOSの色は(現在対応しているiPhoneのカラーに合わせた)3色展開。さらに、カバーシートで背面の着せ替えも可能。着せ替え機能を付けなくたって売れただろうに、そこまでこだわる姿勢に惚れた。ケースは「相棒に着せる洋服」のようなものだから、お気に入りの存在にならなければ、ずっと付けていたいとは思えない。このケースなら、着せ替えを楽しんだりしながら、毎日付けていられる。しかも、本体カラーに対応する4種類のカバーシートがついてくるというのだから、自然とテンションも高まろうというものだ(さらに言えば、スマホのケースは、着替えるものだという発想が素晴らしい。この開発元の方はわかっている!!私はずっと、ファッションやTPOに合わせてケース変えようと、提唱しているるのだけれど、なかなか受け入れられない……)。

さて、ここまで書いてきて、ふと思った。このケースが必要なのは、こどもだけではないのだろうと。思えば、翌日、早朝に出発しなければならないのをわかっていて、原稿依頼の連絡を受けて企画を考えだしてしまったり、読みかけの漫画を読んでしまうのは、この私だ。深夜のクリエイティブな行為を私は愛しているし、お風呂の中で映画を見るのも好きだ。でも、自分の健康の為にも、翌日の仕事のためにも、自分の"あとちょっと遊びたい、皆と話したい”という欲を律する必要があるんじゃないか……。

手に入れたら、SNSで「OTOMOSはじめました」と宣言してみるのも、悪くないのかも。
 

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弓月ひろみ

弓月ひろみ

デジタル文筆家。20代でアイドルデビューした後、ラジオパーソナリティやリポーターの傍ら、ライターとして雑誌・Webでのコラムや記事を執筆。テクノロジー分野では、海外の展示会などを取材したビデオジャーナルを...

弓月ひろみのプロフィール
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