週休3日制で得するのは会社? それとも社員?

ビジネス

 

ここ最近、「週休3日制」に関する話題をよく目にするようになりました。昨年ヤフージャパンが導入を進める意向を明らかにしたことがきっかけのようです。

 


■週休3日制で総労働時間は「減る」のか?

 

また、これに先駆けて「ケンタッキーフライドチキン」を運営する日本KFCホールディングスや、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどでは、すでに「週休3日制」が導入されています。ただし、それぞれ時間限定社員として勤務する人に限られていたり、一日の労働時間を伸ばして週単位では今までの労働時間と変わらない形をとっていたりしますので、純粋に労働時間が減って休みが増えたということとは少し異なっているようです。

 

昨今すすめられている「働き方改革」の中で、「週休3日制」の話はまだあまり前面に出されていない印象がありますが、実はこれが最もわかりやすく効果的な施策ではないかという声もあり、今後注目度が増していくことは間違いないでしょう。

 

「週休3日制」については、それが果たして定着するのか、実現の可否やそもそもの賛否など、いろいろな立場から多くの意見が出されています。これに関して現在の「週休2日制」が定着していくプロセスを振り返るような記事をいくつか目にする機会があり、その内容にずいぶん参考になることがあるように思います。

 


■日本の週休2日制は松下電器産業が最初

 

今は当たり前になった週休2日制ですが、最初に導入したのはアメリカの自動車メーカーのフォードだといわれています。創設者のヘンリー・フォードによって、1926年5月から週5日の40時間労働制が導入され、その前におこなった賃金引き上げと労働環境改善が相まって、熟練工たちの定着率が高まり、そこから訓練コストの低減、生産性の向上という効果を産みました。

 

日本では、松下電器産業(現パナソニック)が約50年前の1965年に導入したのが最初で、そのきっかけは創業者の松下幸之助がアメリカを視察した際に、週休2日で日本より高い給料を払いながら収益を上げている企業の様子をみて、「海外企業との競争に勝つためには能率向上が必須で、そのためには十分な休養での疲労回復と、文化生活を楽しむことが必要だ」として、週休2日制の導入を宣言したそうです。

 

ここでどちらにも共通するのは、その目的が決して社員の休息が第一ではなく、あくまで経営的な側面から会社の利益に基づいたものであり、「ヒト」という経営資源を強化して、生産性向上を図ろうという経営施策の一環だったということです。また、創業経営者が強いリーダーシップで引っ張ったものだったということもあります。

 


■法制化まで30年以上の時間がかかった?

 

もう一つ、これは特に日本において、実際に週休2日制が定着したのは1980年代後半からのことで、全面的に法制化されるまでには、移行措置も含めて30年以上の時間がかかっています。

 

これは、週休2日制が必ずしも会社の利益にならないと考える経営者が多かったという証明ですが、自分たちだけが休日数で突出できないという、取引先など周りをうかがう様子もあったと思われます。有給休暇の消化率がなかなか上がらないからもわかるように、「自分だけ休む」ということに引け目を感じる雰囲気は、どこの会社でもいまだに存在しています。

 

週休2日制が定着した大きな要因には、金融機関、公務員、学校といった公共性の高い組織への導入が進み、社会全体が「土日は休み」の雰囲気になったことがあるでしょう。

 


■週休3日は会社の利益に結びつくか?

 

こうやってみていくと、「週休3日制」についても、それが定着するか否かは、やはりまず会社の利益に結びつくかどうかにかかっています。昨今の人材不足の状況からすれば、労働環境を整えなければ人が集まらなくなることは目に見えていますし、ITを中心とした技術の進歩で、生産性向上の余地はまだまだあります。「週休3日制が普通のこと」と思えるような、社会的な雰囲気作りも重要でしょう。

 

これからの社会環境を考えると、私はこの「週休3日制」も、時間はかかっても徐々に浸透していくものだと思っています。そして、どうせそうなるならば、早いうちに身近にできることから準備を始めるに越したことはありません。今から準備を始めれば、意外にすんなり「時代の先駆者」になってしまうのではないかという気がしています。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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