「たべるマスク」大ヒット! なぜいま乳酸菌食品がブームなのか
森永製菓が昨年投入したタブレット型キャンディ「たべるマスク」が、じわじわ人気を集めている。ドラッグストアの店頭で目にしたことのある読者も多いだろう。
斬新なネーミングと、赤を基調にした目立つパッケージ。ツイッターにも写真が投稿され、「すごい字面」「どんどん食べてしまう」「ハマってる」との声が相次いでいる。
たべるマスクは現在、全国のドラッグストアやコンビニに並んでいる。森永乳業が「免疫力」に着目して開発した乳酸菌「シールド乳酸菌」を加えた商品で、「1日3粒で100億個の乳酸菌」(2016年発表の森永製菓プレスリリースより)を取れるのがウリだ。
味は明治のロングセラー商品「ヨーグレット」にも似た、さわやかなヨーグルト風味。シュワシュワとした発泡性がクセになる。
誰しも気になるネーミングの由来については、森永製菓が
「『「シールド乳酸菌」が、盾になってあなたを守る。』というイメージが、わかりやすく伝わるようなものを開発チームで考えました」
とプレスリリースで明かしている。
■カルピス…ヤクルト…乳酸菌食品の現代史
実は近年、たべるマスク以外にも乳酸菌の機能をうたう食品が続々登場している。ほんの一例を挙げると、「シールド乳酸菌M-1みそ汁」(永谷園、16年2月発売)、「フルッタアサイーグラノーラ」(フルッタフルッタ、16年3月発売)、「新とん汁・けんちん汁」(吉野家、17年1月発売)など。ジャンルも、お菓子からとん汁までと幅広い。
なぜ今、乳酸菌食品がブームなのか。オールアバウトの食と健康ガイド、南恵子さんはこう分析する。
「機能性表示食品制度が始まり、健康は自分で守るもの、という考え方を国が示しました。そのため、機能性をうたう製品は今後も増えると思います。とりわけ乳酸菌食品は大手食品メーカーの取り扱いも多く、信頼できる研究過程を経て製品化されています。国民医療費が増大している現代、バランスのとれた食事で予防のため乳酸菌食品を利用するのは、良いことだと思います」
そのうえで、日本における乳酸菌食品の歴史を
「1900年代始めに発売された日本初の乳酸菌飲料、カルピスに始まるかと思います。その後、35年にヤクルトが販売され、50年頃から明治乳業の瓶入り加糖ヨーグルトなどが家庭に普及していきました。家庭でプレーンヨーグルトが普及したのは、この40年くらいのことではないかと記憶しています」
と説明した。ちなみに、最近の乳酸菌食品は
「プレーンヨーグルトの中でも、種から自分で増やすブームがあったり、植物性乳酸菌のブームがあったり、各菌の機能性を明確に打ち出した乳酸菌食品が増えている感じ」
だという。食品業界から熱い視線が注がれている乳酸菌だが、そもそも体内でどう働くのか。南さんによると、免疫細胞が集中する腸内で悪玉菌の増殖をおさえ、腸内環境を整える。
また、種類によって機能性は異なるものの、
「コレステロールや血糖値低下作用や抗腫瘍効果、免疫活性、アトピー抑制、ピロリ菌抑制など、さまざまな働きが研究で確認されています」
という。30代~50代のcitrus読者は、日々の生活に乳酸菌食品をどう取り入れるといいのか。
「乳酸菌は食品の中でも科学的な研究の積み重ねも多く、腸内環境を整えるサポートになると思います。また乳酸菌は摂取しても体内にとどまるわけでなく、体外に排出されるので、食事や間食などのタイミングで継続的に摂取するとよいでしょう」
と南さんは語る。気軽に取り入れられる乳酸菌食品は、中高年の健康管理の第一歩として適しているのかもしれない。