なぜドライブレコーダーの売り上げは3年で3倍にも伸びたのか?

車・交通

 

先週起こった交通関連の事件でもっとも理解できなかったのは、大阪府門真市内の通学路を乗用車がクラクションを鳴らしながら猛スピードで走る様子を映した動画が、わざわざインターネットに投稿されたことだ。

 

最近はインターネットに動画や写真を投稿することで自己アピールする人が多い。その中には善悪の判断より目立つことを優先する輩もいる。数年前にはレストランの冷凍庫に入った様子を映した動画を投稿した結果、そのレストランは閉店し、本人は多額の損害賠償を背負うという一件もあった。

 

今回の暴走事件も、自ら現行犯の様子を公開したので即大炎上。ここで当人たちは事の重大さに気づいたのだろう。数日後に運転していた19歳と撮影していた20歳の2人が出頭し、殺人未遂の疑いで逮捕された。暴走したのは5月19日だったというから、10日以内のスピード逮捕になった。

 

この動画を見て、ドライブレコーダー(ドラレコ)の必要性を改めて痛感した人が多いのではないだろうか。同種の犯罪を遂行するためにドラレコが役立つというという意味ではない。今回の事件も既存の録画機材を使っていたようだし。

 

ドライブレコーダーについては知っている人も多いだろうが、走行中の画像を記憶容量の範囲内で上書きしていく一方、車両が大きな衝撃を受けたり急ブレーキや急ハンドルなどの操作があったりした際には「事故」と判断して、自動的に上書き禁止となってその瞬間の映像を保存してくれるものだ。

 

最近はGPSを使って事故がどこで起きたかを特定するドラレコや、駐車中でも車体が揺れたりすると録画を始めるドラレコも登場している。性能も向上していて、以前は読み取れなかった高速走行中のナンバープレートの数字も、最新型では多くの機種が判別できるようになった。

 

調査会社GfKジャパンが今年発表したデータによると、日本での販売台数は2013年から2016年までの3年間で実に3倍にも伸びているという。最新型では前面衝突や車線逸脱を警報する機能を装備した製品が伸びているそうだ。なぜドラレコの売り上げがここまで急激に伸びているのか。最初に挙げた事件は極端だけれど、予測不能な事態に路上で遭遇する率が多くなったからではないだろうか。

 

道路を暴走しているのは乗用車やモーターサイクルだけではない。最近は自転車も目立つようになった。右側走行や信号無視など、やりたい放題という車両にも遭遇する。相変わらず東京で目にする外国人観光客が運転するカートも、認識しにくいうえに運転が不慣れだったりして油断ならない。タクシーにおいては乗客の暴走も起こる。

 

一方ではバスやトラックのドライバーが過労が原因で居眠り運転をしたり、突然意識を失ったりという事例も多く報じられるようになってきた。先日も最初の事故と同じ大阪府の八尾市で、幼稚園の送迎バスの運転手の体調が急変し、同乗していた女性従業員がハンドルを操作して反対車線への飛び出しを防ぎ、歩道側の樹木や標識に衝突して止まったという事故があった。

 

高齢者が関係する事故も相変わらず多い。その中には高速道路の逆走や真夜中の徘徊による道路横断など、通常の運転では衝突を避けるのが難しいような状況も報告されるようになってきた。

 

多くのドライバーは任意保険に入っているから、事故が起こった際の示談交渉は保険会社に一任する場合が多い。しかし保険会社は現場を見ているわけではない。当事者である自分がどれだけ状況を説明できるかも大事だ。でも事故の瞬間は舞い上がってしまって冷静な判断ができないことが多い。加えて最近は上記のように想定外の事例が増えつつある。

 

すべての道で完全自動運転が実用化するのは、まだ先になるだろう。もうしばらくはドラレコにアシストしてもらう日々が続きそうだ。

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モビリティジャーナリスト

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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