ウンコが変えた、私の子育て観

ライフスタイル

平田志帆

ウンコが変えた、私の子育て観

先日、お風呂で衝撃的な事件が起きました。

 

1歳9か月の息子を湯船で待たせ、手桶ですくったお湯で髪や体を洗っていたときのことです。仕上げに湯船のお湯を頭から浴び、さあ入ろうと思ったら、なんか息子の様子がおかしい。いつもはお湯でバシャバシャ遊んでいるのに、若干うつむきかげんでじっとしている。次の瞬間、そこにあってはならないものが目に入りました。

 

ウンコ! それもでかい! 視力0.1を切って20年経つド近眼の私でもはっきりその存在を確認できるほどでかい! 10センチ超の大物と、残党とおぼしき3センチ程の小物が、プカプカと湯船を漂っていたのです。

 

想像してみてください。リラックスとか癒しとかの文脈で語られるバスルームに、ウンコが突如出現した衝撃を。

 

理想のママなら「あら、ウンチしちゃったのね。もういちどキレイキレイしようね」とでも言うかもしれません。でもそんな人、東京23区に生息しているイリオモテヤマネコより少ないんじゃないかと思う。

 

しかもこの日は金曜日。一週間の疲労が蓄積していた普通のママの私は、思わず「うぉおおおおお!! 何やってんの!」と叫んでしまいました。だって、だって、ウンコのエキスが入ったお湯を頭から浴び、もしかしたら口にも入ったかもしれないんです。清潔な文明社会で育った私が、正常な神経を保つなんて絶対無理!

 

お風呂場に叫び声が反響し、ボリュームは通常の1.2倍。ただでさえ“やっちまった感”でいっぱいだった息子は大泣き! 私もつられてパニックになり、バスルームはカオス空間に。引きちぎるようにお風呂の栓を抜いて息子を引き上げ、シャワーでウンコエキスを洗い流す。私も頭からシャワーをぶっかけ身を清める。逃げるようにお風呂場から出て、荒っぽい手つきで息子と自分の体を拭きました。

 

全裸で逃走した息子をリビングで捕獲し、なんとかパジャマを着せることに成功。ぐったりしてお風呂場にバスタオルを置きに戻ると、湯船には排水溝に流れなかったウンコの親子が。それを見た瞬間、「もう、イヤーッ!!」とバスタオルを床に叩き付けてしまいました。

 

 

その後なんとか冷静さを取り戻して息子を寝かしつけ、リビングで一人、色々考えました。今まで息子を感情的に叱り、自己嫌悪に陥ったことは数知れません。お茶をわざとこぼしたとか、おもちゃを投げつけたとか、そんな些細なことで。でも今回ばかりは、さすがに些細とは思えませんでした。むしろ、「あれは感情的になっても仕方ないでしょ。ウンコ浴びたんだから」と半ば開き直れるレベル。じゃあ今回の件で息子が嫌いになったかといえば、答えは全力でNo。いつもと変わらず、かわいくて仕方ないです。

 

このウンコ騒動で、ひとつの気づきがありました。それは、“息子の行動が嫌い”と“息子が嫌い”は全くの別問題であること。今まで自己嫌悪に陥っていたのは、「感情的に怒鳴るのは、私が息子を愛していないせいだ」と誤解していたからだと思うのです。世の中には、「母親は、子どものすべてを受け入れて丸ごと愛するべきだ」みたいな風潮があります。こんな考えが心のどこかに刷り込まれているから、理想と現実のギャップに悩むのかもしれません。

 

冷静に考えてみたら、他人の一挙一動すべてを好きになるなんて無理な話。好きで一緒になった旦那だって、嫌いなところはあります。居間にパジャマを脱ぎ捨てたり、朝全然起きなかったり。それを注意して不愉快になったりイライラしたりもする。でもトータルで見れば好きな気持ちのほうが遥かに大きいから、一緒に暮らしている。「パジャマを脱ぎ捨てたくらいで怒るなんて、私は旦那を愛していないの?」なんて悩みません。

 

子どもだってそんなもんだと思います。自分とは別の一個人。嫌いな側面があるのは普通です。今は「ママ、パパ」と全力で親を求めてくる息子だって、あと10年もすれば「おふくろはいちいちうるせえ。おやじは理屈っぽくてうっとおしい」とか思うようになります。

 

だからもう、100%息子を好きになろうとか、いつも笑顔なお母さんでいようなんて、思いません。ウンコのカスを浴びて「ああ、息子の一部を浴びられて幸せ」なんて思える人は、聖母マリア様の生まれ変わりかそういう性癖のある人です。私はどちらにも当てはまらない、普通の母親。「イラついたり怒ったりするけど、息子が好きだもーん」くらいのノリでいこうかと思います。

 

ちなみに浴槽に残留していたウンコは、帰宅した旦那が処理してくれました。その日はもう、お風呂場に近づく気力さえありませんでした……。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

平田志帆

1978年生まれ。一児の母。正社員、派遣社員、契約社員、パート、日雇いアルバイト、フリーランス、独身貴族、専業主婦、DINKs、産休・育休、ワーキングマザーと、あらゆる働き方と生き方を経験。 33歳の時、勤めてい...

平田志帆のプロフィール&記事一覧
ページトップ