盆栽+フィギュアで無限に広がる大宇宙! ノンビリ嗜む「マン盆栽」の意外な効果とは?

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『マン盆栽の超情景・ミニチュアと樹木のテーブルガーデニング』(パラダイス山元/誠文堂新光社)

小生が「マン盆栽」を知ったのは2000年代初頭の頃だろうか。それまで盆栽にさして興味はなかったが、そこへフィギュアを組み合わせるという大胆な発想に「伝統文化にケンカを売るつもりか?!」と驚きつつも、ついつい魅入られた。フィギュアならそれなりの数を持っていたので自身でもと思ったが、盆栽自体がそれなりの値段ゆえ手が出ず、いつしか小生の関心も薄れていった。

 

やがて話題も聞かなくなり、マン盆栽書籍も2004年を最後に途絶えていた。「マン盆栽」自体を知らない人も多いはず。ファンは今でもSNS上で互いに披露しあっているようだが、コミュニティは限られる。そこでさらに多くの人々に魅力を知ってもらうため、ついに13年ぶりの新刊『マン盆栽の超情景・ミニチュアと樹木のテーブルガーデニング』(パラダイス山元/誠文堂新光社)が出版された。

 

著者のパラダイス山元氏といえば、今でこそマンボミュージシャンとして活躍しているが、元はカーデザイナーだった。実は、その当時にマン盆栽の原型が生まれたのだ。

 

自動車会社に就職して働き始めた頃、自宅すぐ前の道路脇で「こんもりとしたベルベットのような苔」を発見。なぜかそれに大興奮してしまい、持ち帰って鉢にそのまま載せてみると興奮は頂点に達する。それまで花や植物には無関心だったという著者がなぜ苔に惹かれたのだろうか。普段は無機物の自動車を扱っていたせいなのかとも振り返っているが、ともかく毎日自室で眺めていたという。

 

そんなある日、気まぐれに机にあった1/87サイズの鉄道模型用フィギュアを置いてみると、「手のひらに乗った盆栽鉢が、いきなり北海道の大地に見えだした」という。本書の作例にもあるが、苔の鮮やかな緑は確かに草原を想起させる。そこへフィギュアを置くことで、より鮮明な景色が鉢の上に広がったのだろう。「マン盆栽」誕生の瞬間だ!

 

以降、自由な発想で幾多の「マン盆栽」を世に送り続けてきた著者。掲載された「マン盆栽」で小生が一番驚いたのは枯れ木までも作品としてしまうこと。「与作」と名付けられたそれは、鉢に苔を植えて真ん中に1本、枝もない枯れ木が立っており、その下に1人の木こりが斧を構えている作品。構図自体はシンプルなのに、かえって物語を感じさせる。そして頭の中には北島三郎の往年の名曲「与作」が流れてくるから不思議だ。

 

しかし、古参の盆栽愛好家からすれば枯れ木を見せるのは禁忌らしく、相当な非難を浴びたという。従来の観点からは邪道だが、そもそも著者は「盆栽」ではなく「マン盆栽」を嗜んでいるだけ。枯れ木を飾るにしても、枯らしてしまったからといって捨てるなどできない、作品として再生できないかという「エコな心から生まれた創作物の1つ」と捉えている。あくまで自由に楽しむのが「マン盆栽」なのだ。1輪のバラやキノコすらも題材にしている自由さが、小生は大好きだ。

 

こうなると、やはり自分でも試したくなる。そこで、手持ちの鉢に百円ショップで調達したアイテムを組み合わせてみたら、思った以上に可愛らしくできた。

 

 

我ながら、ウサギのおしゃべりが聞こえてきそうだ。プミラという観葉植物を中心にウサギのフィギュアを置き、真ん中のキノコは箸置きを利用した。フィギュアを置くスペースを考えて、植物より大きめの鉢を使うと良いだろう。

 

「マン盆栽」は箱庭の派生ともいえる。心療内科医からも「箱庭療法」の発展形として注目されているほどだ。実際、著者の父は91歳の高齢ゆえに認知症を患い、行動や言動が荒れがちになっていた。そこで著者が一緒に「マン盆栽」を手入れさせると、穏やかに親子の思い出を話すようになり、それ以来は落ち着いているという。もし、読者諸氏も不安定な気持ちに苛まれたら、試してみても良いのでは。ただし、凝り過ぎるとかえって疲れるのでほどほどに。

 

文=犬山しんのすけ

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