だから、補助犬同伴の入店拒否はなくならない…!犬のプロが指摘する根深い問題

ライフスタイル

大塚良重

 

食事をしたいと思っても、入店を断られる。そんな経験をする補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬の総称)ユーザーは少なくありません。「公益財団法人アイメイト協会」のアンケート調査によると、「障害者差別解消法」の施行(2016.4.1)以降もそのような扱いを受けたと答えた盲導犬ユーザーは62.0%。なぜ補助犬同伴拒否はなくならないのでしょうか? 考えられるその理由とは?

 

 

■補助犬も家庭犬も「犬は犬」

 

アンケートの回答でも、盲導犬ユーザーは「盲導犬に触らないで欲しい(68.6%)」「食べ物を与えないで欲しい(56.2%)」などを周囲に望むこととして挙げていました。盲導犬にどう接したらいいか知らない人は多いようです。補助犬の名前は知っていても、肝心なことは知らない。補助犬に関する必要な情報が、社会の隅々にまではまだ届いていないのでしょう。

 

人々の抱く“意識や心理”も少なからず影響しているように思います。たとえば、犬に興味のない人は、特別なトレーニングを受けた補助犬も、一般の家庭犬も、“犬は犬”としかうつらないのかもしれません。また、動物愛護活動にも見られるように、地域間での温度差も考えられます。加えて、「他のお客様の迷惑になるので」という決まり文句は、多数派を“メイン”と見る日本人のマジョリティ意識、そんな深層心理を連想させます。

 

なお、アンケートの回答によると、拒否された場所は「レストランや喫茶店など(76%)」「スーパーやコンビニなど(13.3%)」「ホテルや旅館(12.0%)」「タクシー(12.0%)」で、食に関する場所が圧倒的に多いです。犬は外飼い、玄関で履物を脱ぐといった生活スタイルを長く続けてきた日本人からすると、やはりどうしても衛生面が気になるのでしょう。

 


■店舗従業員への教育が行き届いていない

 

受け入れ側にも立ってみましょう、施設やお店でユーザーと接触するのは、ほとんど現場の従業員です。ただ、昨今はアルバイトやパートも多く、その入れ替わりも激しければ、教育が行き届いていない可能性もあります。

 

そして、お店や施設の作り。補助犬の話から少し外れますが、筆者は以前、障害を持つ方がいらっしゃる、あるご家族を取材させてもらったことがあります。その時に、犬も飼っているそのご家族から、「大型犬が入れるように配慮されているお店は障害者も入りやすいし、その逆もある」という話がありました。実際、テーブルの間や通路のスペースなど、こと大型犬が入るには少々厳しい作りのお店があるのかもしれません。

 

法律の面で言うと、「身体障害者補助犬法」や「障害者差別解消法」の認知度がまだ低いということ。これらの法は、行政や公共交通事業者の管理する施設、不特定多数が利用する施設で、行政や事業者が障害者の補助犬同伴を拒否したり、障害者へのサービス提供を拒否したりできないよう定めています。しかし、「著しい損害のおそれがある、またはやむをえない場合は除く」の一文もあり、このあたりの解釈が曖昧になっていることも考えられます。

 

同じ場所を共有するのがどうしても難しい場合は、状況や条件に応じて住み分けるという考え方もあるでしょう。広い意味では、一般の飼い主さんのしつけやマナーに対する意識が向上すれば、犬のイメージもアップし、ひいてはそれが補助犬の活動を後押しすることにつながるのではないでしょうか。

 

人はとかく自分の立場や経験、感覚でしか物事を判断しないものです。「もし自分が逆の立場だったら…」と想像し、配慮し合えるだけの余裕をもてる社会であって欲しいと願います。いずれにせよ、今後、さらなる取組みが必要となるでしょう。

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大塚良重

ドッグライター。愛犬への感謝と犬達の素晴らしさを伝えるため、「犬達こそベストフレンド」を信条に情報を発信し続けている。犬専門の月刊誌や書籍、一般雑誌での連載、取材記事の執筆をこなしつつ、コーディネイト...

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