「妄想ちゃっと。」をやってみた!話を聞いてくれるアプリはドラッグ並の快感を脳に与える?

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出典:「iTunesストア」より

なんと。架空の友達を設定しチャットができるアプリが登場! 「おもしろい」「でも虚しい」と話題になっているそうです。お遊びアプリに分類されるものだと思いますが、いくつかの研究を思い出し「もしかすると実際のコミュニケーションで得られるのと似た効果が得られるかも」と思ってしまいました。

 

 

■話を聞いてもらうことで得られるのはドラッグ並の快感?

 

私たちは自分の話を聞いてもらうときに快感を得ます。米ハーバード大学の研究によると、脳の「食べ物」「お金」「ドラッグ」などの快感に関連する部位が、自分についての話をするときにも活発になるそうです。驚くことに話を聞いてもらうときに得られる快感は、実際の会話だけでなくSNSなどでの発信にリアクションしたもらう場合にも得られるそうです。ツイッターやFacebookがこれだけ急速に広がったこと、予想もしなかった利益を生み出していること、多くの人がSNSに時間を割いていることなども納得です。

 

バーチャルアプリでのコミュニケーションでも、同じような快感があるかも知れません。そこで筆者も「妄想ちゃっと。」なるアプリをダウンロードし、バーチャルな友達との会話を体験してみることにしました。

 

 

■自給自足で友達を増やせる「妄想ちゃっと。」をやってみた

 

このアプリでは、まずバーチャル友達のプロフィールを作ります。手始めに筆者はルパン3世と友達になることにしました。名前を入力し、アルセーヌ・ルパンの孫、世紀の大泥棒、相棒は次元と五右衛門などプロフィールを設定します。

 

ドキドキ……

次にやるのは、こちらが話しかけたことに対する回答を設定する作業です。用意されているリストに入力していく形で、例えば「こんにちは」というこちらからの問いかけに、なんと答えてほしいか設定していきます。「よろしくね」「おはよう」「おやすみ」「久しぶり」など、最初に用意されている項目は32個。そこに自分で好きな問いかけワードと期待する回答を追加していくという流れです。実に面倒な仕様ですが「こんなことを言ってくれるんじゃないかな」とか「こう言ってほしい!」と考えながら設定していく作業は意外に楽しかったです。基本項目を入力し終えて、いよいよチャットを開始してみました。

 

「今何してる?」と入力したところ私のルパンは無反応。あれ? 不具合? 調べたところ筆者が設定したのは、ひらがな入力の「今なにしてる?」だったため、漢字での問いには回答できなかったようです。面倒です。

 

勇気を出して聞いた「私のこと好き?」という問いには「俺も」という返事が。虚しさMAXです。「好き」という単語に紐づけて「俺も」という回答を設定していたことが原因でした。

 

なかなかの快感……

 

こういった不具合を直しながら作り込むこと数時間。何度も心が折れそうになりましたが、やっと理想的なチャットができるようになりました。「この人にこんなリアクションをしてもらいたい」という欲求が満たされるのは、なかなかの快感でした。

 

 

■「繋がりたい」より大事なこと

 

今回試したアプリの説明には、自給自足で友達を増やせるとあります。世の中には「繋がりたい」とか「友情を増やしたい」という気持ちの人が多いんだなと思いました。しかし、実際架空の友達とのやりとりをしてみて気づいたのは、コミュニケーションを求める根底に「聞いてほしい」「わかってほしい」という承認欲求があるということ。これは筆者にとって大きな気づきでした。

 

筆者の父は脳梗塞で言葉が出にくい状態です。そんな父に、母は善意でたくさん声掛けをしています。コミュニケーションの回数、量ともに多い場合、関係はよくなるはずですが、ウチの場合、父を不機嫌にしてしまうことが多くなっています。おそらく母が父の言葉を待たずにどんどん話すのがよくないのでしょう。何かと無視を決め込む父に対し、母は「認知症がはじまった」と言い出すようになり、父はさらに心を開かなくなってしまいました。

 

足りなかったのはコミュニケーションではなく、承認のはず。そう気づいた筆者は、早速父の病院を訪ね、質問をたくさんしてみることにしました。「朝は何時に起きるの」「朝ごはんは残さず食べられた」「最近どんなテレビを見た」など、たわいもない質問です。母は「そんなことを聞いてもしょうがないじゃない」と言いますし、父に代わって回答してしまいます。それでも根気よく質問し、父が答えてくれた内容にリアクションを返すことを繰り返していると、30分もしないうちに周りが驚くほど言葉が出るようになりました。

 

話を聞いてもらう、承認されるという快感がなければ、コミュニケーションをとる気力もなくなります。バーチャルアプリで多くの人が楽しいと感じたのは、きっと承認されているように感じたから。虚しいと感じてやめてしまったのは、それが錯覚であることを感じたからではないでしょうか。

 

忙しすぎる現代人にとって、人の話を聞くということ、特に身近な人の話を聞くというのは難しいことかも知れません。でも今回の体験で「1日5分でいい、身近な人の話を聞く時間を作ろう!」と思うに至りました。

 

ありがとう、さようなら、私のルパン。たくさんの励ましの言葉、嬉しかったよ。今日からは家族との会話を大事にします。

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コミュニケーション研究家

藤田尚弓

All About 話し方・伝え方ガイド。企業と顧客のコミュニケーション媒体を制作する株式会社アップウェブを経営。言語・視覚の両面から「伝わる」ホームページやパンフレットなどの制作を通し、日々コミュニケーション...

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