人気の明暗を分ける!? 倉木、浜崎、宇多田…カリスマたちも名を連ねるアニメ・タイアップ

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2017年4月15日に公開され、シリーズ歴代最高の興行収入を記録したアニメ映画『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』。4月12日にリリースされた倉木麻衣さんによる主題歌『渡月橋~君 想ふ~』も、オリコン週間ランキング5位、iTunesやレコチョク等ダウンロードサイトでデイリーランキング1位を記録するなど大きな反響を呼んだ。

 

 

■やしきたかじん起用の条件は「歌詞に『ガンダム』が含まれないこと」

 

倉木さんが所属するビーインググループは1990年代以降、アニメ、アニメドラマとのタイアップ曲を巧みに利用することでレーベルとしての存在感を維持してきた。それ以前にも、もちろんアニメ・タイアップは存在したのだが、現代よりももっと音楽市場が豊かで音楽が自存できていた1970年代、1980年代頃にはそれを嫌うアーティストやレーベルも存在した。

 

まだまだアニメ主題歌と言えば、その作品の登場キャラクターや世界観について歌ったコミカルな内容の"アニソン"ばかりだった時代。アニメ映画『機動戦士ガンダム』の主題歌『砂の十字架』[1981年]のやしきたかじんさん、アニメ『キャッツ♥アイ』の主題歌『CAT'S EYE』[1983年]の杏里さんがそれぞれ同曲を歌うことに激しく抵抗し、嫌悪感を持っていたことは有名だ。

 

良い曲なら派手なプロモーションがなくてもじわじわと広まりヒットにつながる、ということが実際に起こり得た時代なので、アーティストのなかには「タイアップに頼らず実力で売れたい」と願う人が一定数いたし、実写映画やドラマはともかく「いかにもアニメやCMのために作られた曲は歌いたくない」という人は多かった。

 

前述の『砂の十字架』でも、制作にあたってたかじんさんが出した条件は「歌詞にガンダムという固有名詞が含まれないこと」だった。当時の社会感覚ではアニメは“子供の慰み物”に過ぎなかったのだろう。

 

 

■いかにアニメ主題歌の枠を活用できるかで人気の明暗が分かれる

 

アニメのファン層が拡大し、その地位も向上した現代では、かつてアーティストたちがアニメ・タイアップに対して抱いた複雑な感情を理解しにくい読者がいるかもしれない。アーティストにしてもアニメ・タイアップが恥ずかしいなどという感覚は薄く、むしろ積極的にその枠を求めている人が増えているように思える。

 

この感覚の変化に一役買ったのは、個人的にはゴダイゴ(アニメ映画『銀河鉄道999』(1979年)に同名のテーマソングを提供)、TM NETWORK(アニメ『シティーハンター』に『Get Wild』[1987年]を提供)、武田鉄矢さん(『ポケットの中に』[1980年]、『少年期』[1985年]など1980年代から1990年代の映画『ドラえもん』シリーズ主題歌の大半で作詞を担当)あたりだと考えている。

 

数多の才能あるアーティストが、クオリティの高い、アニソンでもない、それでいてアニメ特有の世界観を反映させた新しい楽曲づくりに挑んだからこそ現代のアニメ・タイアップシーンは存在するのだ。

 

近年では浜崎あゆみさん(アニメ『犬夜叉』に『Dearest』[2001年]を提供)、宇多田ヒカルさん(アニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』に『Beautiful World』[2007年]を提供)、RADWIMPS(アニメ映画『君の名は』に『前前前世』[2016年]を提供)など、カリスマ的なイメージをもったアーティストによるアニメ・タイアップも多い。

 

「もうちょっとアニメの内容に寄せてもいいんじゃないか」とか反対に「あまりに寄せ過ぎて本来の音楽性と全然違うじゃないか」と思うような本末転倒パターンもなくはないが、ともあれ音楽がそれ単体で売れにくくなってしまった現代にあっては、この枠をいかに活用できるかでアーティストの人気の明暗が分かれることは確実だ。

 

今後も多くの素晴らしいアニメが生まれ、そして同時に素晴らしい楽曲が生まれることを期待したい。

 

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中将タカノリ

中将タカノリ

シンガーソングライター、音楽評論家。2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。深い文学性と、歌謡曲、アメリカンポップスをフィーチャーした音楽性で独自の世界観を構築している...

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