藤原竜也の魅力全開!映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』に酔う

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配給:ワーナー・ブラザース映画 (C)2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

その週末、私はニコタマのシネコンにいた。じつは邦画を映画館で観ることはほとんどない。が、どうしても早く体感したかったのだ……ドラマ『リバース』で「僕なんて山奥で羊飼いになった方がいいんだ!」とのび太モードの眼鏡姿で叫んでいた“深瀬くん”が、“究極のクズ”をどう演じるのか。

 

と、いうことで、“深瀬くん”こと藤原竜也が見せる“史上最悪のクズ”=曾根崎雅人…まずは映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』のあらすじをおさらいしておこう。

 

0時の時報とともに5件の連続殺人事件の時効が確定した。その瞬間を噛み締める刑事・牧村航(伊藤英明)。彼もこの事件で尊敬する上司を目の前で殺害された“被害者”の一人だったのだ。そして、時効成立を待っていたかのように現れた謎の男・曾根崎雅人(藤原竜也)。曾根崎は自分こそが22年前の連続殺人事件の犯人だと多数のメディアの前で告白し、犯行の詳細を書いた手記を発表する。美貌とカリスマ性とで一躍時の人となった曾根崎だが、被害者遺族たちからは命を狙われ、マスコミは必死に彼の正体を探ろうとする。そんな曾根崎フィーバーの中、ニュースキャスターの仙堂俊雄(仲村トオル)は牧村と曾根崎をスタジオに呼び、番組を生放送するのだが、そこに「自分こそが真犯人だ」と名乗る別の男が現れて――。

 

 

■ひとりの少年が俳優になるまで

 

藤原竜也という演技者を観るたびに、何とも言えない感覚に襲われる。藤原は1997年、15歳にして蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』でデビューし、2003年には蜷川演出『ハムレット』のタイトルロールを演じている。21歳にして大劇場でのハムレット…これは日本の演劇界でも稀なことだ。

 

が、彼は世に出る前に演劇教育を受けた俳優ではない。デビュー作となった舞台『身毒丸』はオーディションで勝ち取った役だが、きっかけは池袋で友人と遊んでいる時に事務所の人間から受けとった1枚のチラシ。審査が進むたびに不合格の箱に入れられた藤原の書類を、彼にチラシを渡したスタッフが秘かに合格の箱に忍び込ませ、なんとか最終審査まで持ちこませたとの逸話もある。

 

もちろん、本人の資質と努力もあったのだが、池袋の街で遊んでいた少年が演劇界のレジェンドの目に留まり育てられ、映像の世界でもめきめきと頭角を現していく……藤原の姿を舞台や映像で観るたびに私の頭には「演劇の神様に選ばれた人」という単語が渦巻くのだ。

 

 

■清らかと濁りの両極を見せる

 

藤原竜也の大きな魅力のひとつが清水と泥水の両方を表現できることだとも思う。前述のドラマ『リバース』では何をやっても上手くいかない気弱な青年、また三谷幸喜の大河ドラマ『新撰組!』では幼さの残る沖田総司を邪気のない笑顔で魅せ、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』や『藁の楯』では、赤い血が流れていないかのような極悪人を演じ切る。あの童顔とも言える幼さを残した顔が、役によって天使にも悪魔にも見えるのが演技者としての藤原の凄みなのだろう。さらに、ここまで家庭の匂いや生活感が前に出てこない俳優も今の時代には珍しい(酔っぱらって、深夜に後輩俳優にテレビ電話をつなぎ、ミュージカルナンバーを歌うという一面もあると聞くが)。

 

さて、話を『22年目の告白-私が殺人犯です-』に戻そう。結論から言うと、スクリーンの中に気弱で心優しい羊飼い“深瀬くん”の面影はビタ一文見えなかった。画面にいたのは自信家で冷徹、世の中を騒がせることで何よりの快感を得る最悪の“クズ”だ。

 

そして、本作のキャッチコピー「すべての国民が、この男に狂わされる」どおり、いろいろな意味で“狂わされる”本作。「やっぱ凄いわ……騙されたわ」と気持ち良くシネコンを後にしつつ、あらためて藤原竜也のあの目力に酔うニコタマの夜、なのであった。

 

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小姑系エンタメライター

上村由紀子

エンタメ系ライター(主にドラマ・演劇)&ラジオDJ、MC。横浜市出身。スタジオでマイクを操りつつ「ジャニーズから歌舞伎まで」をキャッチフレーズに、雑誌・Web媒体等で執筆中(桐朋学園大学演劇科卒)。巻き髪歴2...

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