衝撃! 血液中に腸内細菌があふれ出す「腸もれ」の恐ろしさ

ヘルス&ビューティ

 

2014年、衝撃的な研究報告が発表されました。

 

「50人中、2人の血液中に生きた腸内細菌がいた!」

 

というものです。腸内にいるからこそ「腸内細菌」のはずですが、それがなぜか、私たちの血液のなかに漏れ出して、ぐるぐる体内を回っているというのです。これは、「乳酸菌」でおなじみのヤクルトの中央研究所と、順天堂大学の共同研究チームによるものですが、健康な人でも50人に2人の割合で、血液中に生きた腸内細菌が見つかりました。糖尿病患者の場合は50人中14人という高確率でした。

 

 

■腸内には1~2kgの細菌が住んでいる!?

 

これが何を示しているのかというと、腸から腸内細菌が漏れ出しているということです。私たちの腸内には約200種、100兆個の細菌が住んでいて、「腸内フローラ」とよばれる巨大な生態系を築いているわけですが、重さにすれば約1~2kg。500mlのペットボトル2~4本分です。 この細菌たちは、私たちが食べたものをエサにして生きていますが、私たちの心身の健康に必要なものを作ってくれる非常に大切な存在。つまり「持ちつ持たれつ」の共生関係です。

 

しかし、その「いい関係」は、彼ら細菌が腸内にだけとどまっていてくれることが前提です。細菌たちは、腸内にいてこそ私たちの役に立ってくれますが、ひとたび腸を出て、血管に入りこんでしまうと正常に働かないどころか体内のいたるところで炎症を引き起こす原因となります。

 

なぜ腸内にいるはずの細菌が血液のなかで見つかったのかというと、その原因は「腸もれ症候群」によるものです。英語ではリーキーガット・シンドローム=Leaky Gut Syndrome(LGS)と言います。現代社会で急増しており、その原因は偏った食生活、ストレスなど、そしてもうひとつは過度な清潔志向だと考えられます。カンタンにいうと、現代人の腸は昔より非常に弱く、腸粘膜細胞の連結もゆるくなっているということです。

 

 

■未消化の食べ物、細菌がそのまま体内に漏れ出す恐ろしさ

 

腸から漏れ出すのは、細菌だけではなく、摂取した栄養素、あるいは本来腸から体外排泄されるべき異物も含まれます。腸は口から摂り入れたものを「選別」し、たとえばタンパク質はアミノ酸に、炭水化物はブドウ糖に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解して、体内に取り込みます。こうしなければ、人間の体はタンパク質や炭水化物を「単なる異物」とみなし、拒否反応を起こすのです。拒否反応の結果が「炎症」で、アレルギーもまた炎症のひとつです。

 

腸は巨大な免疫器官です。なかでも腸内細菌は、外敵が入ってくると一斉にこれを攻撃して人体を守り、敵を排除しようと働きます。「腸もれ症候群」は腸に小さい穴、すき間ができてしまうわけですから、たとえばタンパク質の一部がアミノ酸に消化される前に血管内に漏れ出したり、本来、体外に排出されるべきものがそのまま血液に入ってしまったり、腸内細菌も腸から出ていってしまう、ということになります。

 

漏れ出た異物や腸内細菌は、全身の炎症の原因となり、まさに万病のもとになっていると考えられています。代表的なのが食物アレルギー、そして糖尿病などですが、はっきりした病名がなくても、肝機能低下による疲労感、肌荒れ、口内炎、気管支炎など、さまざまな不調を引き起こします。うつ病や認知症の発症にも、炎症は深く関わり、腸もれによる体内の炎症はその原因のひとつと考えられます。

 

 

■腸もれの可能性は健康診断でもわかる!

 

健康診断の検査結果の数値で「CRP」(C-リアクティブプロテイン)の数値が基準値(0.31mg/dl)以上に高い場合、それは体内で炎症が起きていることを示し、その原因が腸もれにあることが考えられます。この数値は、たとえば感染症にかかっている場合にも急上昇しますが、そうではないのに慢性的に高い場合は、腸もれの可能性があります。0.31mg/dl以下でもわずかな炎症があることは考えられるので完全に大丈夫、と言い切れませんが、0.11mg/dl 以下なら、腸もれの心配はまず心配ありません。

 

腸もれを防ぐには、まず食生活の改善が最も大切です。

 

  • 水溶性食物繊維を多く摂る
  • 納豆、おくら、めかぶ、とろろなどの「ねばねば食品」を摂る
  • 味噌などの発酵食品を摂る
  • 酢で善玉菌を増やす
  • 低脂肪・低糖質の食事でいわゆる「デブ菌」を減らす
  • ポリフェノール、リコピンを含む食品を摂る
  • 亜麻仁油、エゴマ油などを取り入れる(非加熱で)

 

などなどはいずれも腸の健康に効果的です。

 

 

■「潔癖症」はかえって病気の元になる!

 

もうひとつ、ぜひ注意していただきたいのは、「過度な清潔生活」です。除菌スプレー、除菌せっけん、除菌ウェットシートなどを使いまくり、ちょっと外遊びをしたあとの子どもに「せっけんで5分は手を洗え」としつけるのは、やりすぎだと考えています。いきすぎた清潔生活は、かえって体がもつ免疫力を低下させ、弱い腸を作る原因となります。それが「腸もれ」にもつながっていくのです。

 

【関連書籍】

隠れ病は「腸もれ」を疑え』(ワニブックス「PLUS」新書)

 

 

 

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藤田紘一郎

藤田紘一郎

1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学医学系大学院修了、医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授。専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免...

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