子どもの有無と女性の価値はリンクしない

ライフスタイル

清水なほみ

 

子どもを持ってみて初めて色々分かることがありますが、一番大きな気づき……と言うより確信は「子どもの有無と女性の価値はリンクしない」と言うことでしょうか。

 

もちろん、結婚願望が全くなかった頃から、「子どもがいる人生もいない人生も本人の好みの問題で周りがとやかく言うことではない」と思っていましたが、何となく、子どもを産んでいない立場で「女は子どもを産んで一人前だなんて古い価値観押しつけないでよ!」と言っても負け惜しみのような感じがしてしまって、はっきり言いにくかったんですよね。

 

でも、実際に子どもを産んでみて、はっきりと言えます。「産んで一人前」になるなんて嘘です。もちろん、子どもを持つことでしか得られない学びや発見もありますが、同じくらいの成長は子どもがいなくても得られます。子どもを産み育てるということは、未来を作り出すとても大切な仕事ですが、それを経験したかしないかで自分の価値が変わるわけではありません。

 

よく、「子どものいない人生なんて考えられない」といったお母さんの声を聞くことがありますが、私の場合は、子どものいない人生も全然ありです。子どもがいなければいないなりに、きっと自由な時間を勉強やダンスのレッスンや旅行に使って、執筆や講演活動も一時休止なんてしないでバンバンやっているだろうなと、容易に想像できます。

 

そもそも、子どもを持つことで一時的に生じるデメリットの方が、表面的なメリットよりはるかに大きいのです。少なくとも女性は、子どもを持つことによって、ある一定期間は自分の時間と健康の自由を大きく奪われます。実際、私の場合、長女の妊娠が判明してからの約4年半は3時間以上継続した睡眠をとれたためしがありません。妊娠前は週1~2回通えていたダンスのレッスンも、今は年間数回しか行けません。

 

それでも、子どもを「産まなければよかった」とは思いませんし、むしろ産んでよかったと思います。それは、それらのデメリットを上回る喜びが、ほんの一瞬でもあるからです。でも、そういった喜びは、子どもを産んでいなくても得られるレベルの喜びです。

 

子どもを産んでいないと得られない感覚を唯一あげるとしたら、子どもの中に自分の「遺伝子」を感じた時でしょうか。「あ、命ってつながっているんだ」と感じる瞬間が時々ありますが、こればかりは、他のことで得られない、何とも言えない不思議な感覚です。

 

子どもを産んでいても産んでいなくても、私は私の好きなように生きているのだと思います。ただ、子どもがいると物理的な拘束がどうしても大きいので、自由度が下がってしまいますが……。

 

最近は、30代でも「あえて子どもを作らない」というカップルも珍しくありません。意図的に子どものいない人生を選ぶのも、時間の流れに身を任せた結果子どもがいない人生になるのも、どれも「アリ」なんです。なぜなら、子どもがいるかどうかと女性としての価値は、全くリンクしないからです。

 

私自身も、自分の価値と子どもがリンクしていません。なので、子どもが「できのいい子」かどうかも気になりませんし、子どもが「唯一の生きがいになる」ということもないと思います。

 

婦人科の診療現場では、子どもの有無や子どもの「評価」と自分の価値をリンクさせてしまっているばかりに、様々な悩みを抱えてしまう患者様を拝見することも少なくありません。

 

それらの「付属品」に惑わされずに、もっと自分自身の価値に気づけるように、少しでもお手伝いができたらな~と思うのです。

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清水なほみ

女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性...

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