のべ5000人以上参加の「寺社コン」も! 最近人気が高まっている“お寺で婚活”の魅力とは?

人間関係

 

昨今、一度も結婚しないまま一生を終える男女が増加しているそうです。結婚ほどコストパフォーマンスが悪いものはないと考える男性や、誰の面倒も見ず、かつ誰にも面倒を見てもらわない自由な人生を望む女性など、積極的に生涯独身を貫く人もいると思いますが、大多数は、「いつかは結婚したいと思っているけれど、どうやって適切な相手を見つければいいのかわからない」という消極的な独身の人なのではないでしょうか。

 

そういう人のために、昔は、「近所や親せきのお見合いおばさん」という便利なシステムがありましたが、女性の地位向上とともに見合い結婚は不人気となり、恋愛結婚が主流に。待っているだけでは幸せはやってこないので、婚活に励む人も増えてきました。しかしながら、結婚相談所で高いお金を払っても必ず理想的な相手と出会えるわけではないし、そこらへんの婚活パーティは、相手の素性もよくわからずリスクが大きい。そこで、近年人気なのが「寺婚活」です。

 

 

■寺社に興味がある男女が出会える場

 

寺婚活とは、読んで字のごとく、お寺でする婚活のこと。こちらの記事には、臨済宗の1000カ寺が共同で企画した婚活支援の『吉婚会』というイベントが大人気で、定員100名のところに、最大1200名もの応募があったと書かれています。僧侶がボランティアで世話役をし、精進料理をいただきながら、気になる相手との会話を楽しむ。参加費は実費のみ、参加者は事前に僧侶の面接を受けているので安心感もあります。なるほど、それなら人気が出るわけだ。

 

こうした内容の企画はこの例だけでなくあちこちで行われていますが、わたしが知る限り、その中でももっとも古くから活発に行われているのは、ほーりーさんこと堀内克彦さんが主宰する「寺社コン」です。今から18年ほど前のこと、まだ学生だった堀内さんは「宿坊研究会」という素晴らしいサイトをはじめられました。そのサイトの熱心な読者だったわたしは、ひょんなことから寺旅をテーマとした本を書くようになり、実際に堀内さんと知り合うことに。堀内さんはその後の宿坊ブームの火付け役というだけでなく、そのころから増え始めていた、寺社好き、仏像好きの若い人々のリーダー的な存在でした。わたしもご一緒に韓国の宿坊を視察する旅行などに出かけ、いろいろと学ばせていただいたものです。

 

その堀内さんが、「寺社コン」を始められたのは2009年。なるほど、これだけ寺社に興味を持つ若い世代の人が増えたのなら、趣味を同じくする男女が出会う場としても有効です。すべてがそうとは言いませんが、寺社が好きな人は一般的に誠実で、結婚を前提とした真面目なお付き合いもできそう。前述の「吉婚会」はお寺の中で行われますが、「寺社コン」の場合は、お寺には限らず神社にも行きますし、お祭りや秘仏公開、仏像展など、その時々に話題になっているところに皆で出かけて楽しめるという利点もあります。なるほど堀内さんは、いつも先見の明があるなと感心したものです。

 

寺社コンは今も連綿と続き、参加者人数はのべ5000人以上(2017年7月11日現在)。そのうち実際に結婚に至ったカップルは200組(400人)以上もいます。そして、何より素晴らしいのは、堀内さんご自身が、寺社コンで知り合った女性と結婚なさったこと。結婚式は、もちろんお寺で行われ、わたしも参列させていただきました。通常挙式は神式か教会が一般的ですが、仏前結婚式というものもあるのですね。何人もの僧侶によってお経が詠まれ、おごそかでありながら晴れがましい部分もあり、お寺=お葬式というイメージが大きく覆されました。なるほど、仏前結婚式の普及という点も、堀内さんの狙いのひとつだったんだなと、そこではじめてわかりました。

 

 

■結婚したら、次はお墓のことも気になるよね…

 

堀内さんは、その後、寺の運営のコンサルタント業にも活動の場を広げられました。伝統的な檀家制度が崩れつつある今、存続に苦慮する寺が増えてきたため、寺についての知識が深く、かつ第三者としての視点を持つ堀内さんのアドバイスは極めて有効。個別相談や講演活動でも引っ張りだこのご様子です。さすが先見の明がある人は違うなと、ここでもわたしは感嘆するのでした。

 

その堀内さんが、先日、ブログに、お墓に関するコラムを投稿されていました。もともとは新婚夫婦向けのメルマガに掲載された文章とのことですが、なぜ新婚夫婦にお墓なの? 読み進むとともに、その意味がわかってきます。恋人同士のうちはいいけれど、結婚して家族になったら、確かに、お墓の問題はいつかはやってくるのです。わが国では先祖代々のお墓に入るのが一般的でしたが、近年では、夫や夫の家族と同じお墓に入りたくないと考える女性も増えてきました。また、樹木葬や散骨など、埋葬の形も多様化しています。したがって、結婚したら、一度はお墓についてどう考えるかをお互いに話し合っておくべきだと堀内さんは書いておられます。これも納得ですね。さすがは先見の明がある人だと、またしても感心してしまいました。

 

寺や仏教は、これまでは、日本人の人生(特に死)に深くかかわって存続してきましたが、今後はますます複雑化するニーズに柔軟に対応していかないと、次世代に継承していくことは難しい。寺を愛する堀内さんはそのように考え、さまざまな活動を通して、若い世代の人々にアピールする寺作りの方法を模索しておられるのでしょう。その中でも、もっとも大きな成果を上げてきたのは、やはり寺社コン。未婚男女が増え、ますます少子化が進むことが懸念されるわが国において、誰もが少ない費用で参加できるこのイベントはたいへん貴重。そして檀家制度とは違う、寺と人との新たな関係を築くためにも、きわめて有益です。ぜひ、いつまでも続けていただけますように。

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寺と神社の旅研究家

吉田さらさ

岐阜県生まれ、早稲田大学第一文学部美術史学科卒。長年の出版社勤務後、寺と神社の旅研究家として独立。独自の視点で神社仏閣詣でをより楽しむ方法を考察し、雑誌記事、単行本などを数々執筆。各種講座、講演会、ツ...

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