「夏休み大幅短縮」は子どものためになる? 「子どもが世界一幸せな国」オランダから考えてみた

ライフスタイル

吉田和充

 

「ファインネ ファカンシー!」(良い休暇を!)という挨拶をして、子どもたちは友達や先生と学年末のお別れをする。これがオランダの夏休みの入り方です。

 

欧米では、夏休みは学年末のお休み。新学年が始まるのは9月となっているので、オランダの夏休みは、日本で言うところの3月の卒業式後の春休み的な切り替えのシーズンでもあり、暑い夏はゆっくり休み、家族で楽しむ期間、という意味がハッキリしています。また気候的にも、カラッとして過ごしやすく、日の入りも10時くらいでなので、オランダでは最高のシーズンです。

 

 

■オランダは夏休み以外にも休みがやたら多い

 

さて、『<静岡・吉田町>夏休み “最短16連休” で子どもたちは大激怒「町長の野郎〜!」』のニュースを目にして、わずか数日後、筆者の住むオランダでは子どもたちは例年通りの夏休みに入りました。

 

正確に言うと、オランダでは地域によって夏休みの時期がズレるので、すべての街が一斉に夏休みになるのは、もしかしたらもう少し先かもしれませんが、いずれにせよ筆者の住む街では、いたる所で子どもの姿を見かけるようになりました。

 

今年はタイミング良く、夏休みに入った週の週末は絶好の夏日和。街中にある公園は、小さな子ども向けプール……と言っても浅い噴水や小さな水遊び場ですが、下着のまま水遊びする子どもたちで溢れかえっていました。

 

実はオランダの子どもたちの夏休みは、そこまで長くはありません。時期はズレるものの、長さ的には、ほぼ平均的な日本の子どもの夏休みと変わらない6週間あまり。ただ夏休み以外の休みが多いこともあり、確かに子どもたちがのんびりしている感じはします。例えば、日本とほぼ同じ4月末から5月頭にかけて少し長い連休があるのですが、その連休以降は、イメージ的には毎週末が連休で、休みが多いなあと思っていると、いつの間にか夏休み、といった感じでもあります。

 

 

■子どもが社会の真ん中にいる国

 

そう、それと大きな違いは、普段から「宿題」が全くないのです。

 

「日本の小学校は宿題がある」と言うと、「どうして子どもたちの貴重な時間を、家族で楽しむ時間にしないで宿題なんかするの?」と、オランダ人に良く言われます(もっとも、中等教育に進むと一気にかなりの宿題が出るようになります)。

 

その背景には、オランダでは「子どもが社会の真ん中にいる」ことが挙げられるように思います。

 

子どもの休みに合わせて、大人も休みを取る。子どもが楽しめるように、いたるところに公園がある。よっぽどうるさければキチンと注意もされますが、公共の場であっても子どもがうるさいのは当たり前。むしろ、子どもは多くの失敗をして、迷惑をかけるからこそ成長過程で多くのことを学ぶもの。社会は、そうした子どもの成長を、時に注意し、時に危険から遠ざけながら見守るもの。オランダではこんな風に、子どもを見ている感じがします。

 

オランダでの子育ては非常に楽だなあと実感するとともに、「子どもが世界一幸せな国」と言われるのも納得出来る気がします。

 

 

■ワークシェアが発達していて残業はない

 

さて、冒頭の「夏休み大幅短縮ニュース」ですが、よく読むと、先生たちの残業問題が背景にあるようです。よく言われているように、確かに日本の先生たちは激務だと思います。オランダの先生たちと比べるとなおさらです。

 

オランダではワークシェアが徹底していて、残業はほとんどありません(働き方の話は、長くなるので別の機会に譲るとして……)。また、オランダの先生は「生徒に向き合うこと」が仕事であり、事務的な手続き、学校の運営にまつわる仕事は一切ありませんし、もちろん部活やクラブ活動もありません。学校の運営にまつわる一切のことは、それを専門にする別の機関がやっているのです。ワークシェアも含めて、学校の運営システムとして、残業はさせない、しないシステムが出来上がっているのです。

 

なので、逆に先生も全力で生徒と向き合うことができるのです。

 

ですから、オランダでは「先生の残業時間の多さ」が理由で、子どもの夏休みが削られることは、まずあり得ません。

 

オランダは、先述の通り「子どもが社会の真ん中」にいて、さらに「家族との時間を一番大切にする」という確固たる価値観があります。オランダの社会設計は、全てこの価値観に基づいていると言ってもいいと思います。

 

子どもを社会の真ん中に置くこと。家族との時間を何よりも大切にすること。非常にシンプルですが、こうしたことを徹底して行うために、1980年代以降、オランダ人は努力して、それができるシステムを少しずつ作ってきたのだと聞かされました。

 

さて、日本は何を大事にして、どこを目指したいのか? 本質的な問題は「夏休みを短くすれば解決する」ということではないような気もします。こうした時に、犠牲になるのが子ども……というのも、本当は避けたいことではありますよね。

 

一応、保育士でもある筆者の個人的な意見としては、やっぱり子どもたちには長〜い夏休みを思いっきり満喫して欲しいなあ、と思ったりもしますので……。

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クリエイティブコンサルタント 経営戦略、広報広告戦略の立案、実施、プロデュース、商品開発、新規事業立ち上げ、海外進出プロデュースなどのクリエイティブワークを行い、企業や店舗、個人の事業拡大のお手伝いを...

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