コンサートでの“オタ芸損害賠償”、どう受け止める? アイドルたちが本音を語る

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『オタ芸』(ヲタ芸とも)──アイドルファンによる、曲にあわせた一連のポージングや振り付け、かけ声を指す用語で、アイドルブームの象徴のひとつとも言えるものだが、人によってはいろんな受け止め方があるもの。

 

2014年には“ライブ鑑賞のベテラン”だという男性が「演奏が聴こえない」とコンサートのやり直しと約100万円の損害賠償を求めて主催者のラジオ関西や神戸のご当地アイドル『コウベリーズ』らを訴えるという“事件”があった。

 

思えば音楽ジャンルやアーティストによってお客のノリ方は千差万別だ。ハードロック、ヘビーメタルでは頭を激しく上下に振る「ヘッドバンギング」。パンク、ハードコアのライブでは周囲と押し競まんじゅうしたり殴り合うという「モッシュ」や「パンチ合戦」まである。第三者から見たらまったく理解できない異常行動なのだが、その道の同好者のあいだでは“これがなければ物足りない”ライブの醍醐味と言えるだろう。

 

前述した“事件”について。数百人、数千人、場合によってはそれ以上の人が集まるコンサート会場ですべての人が思い通りに楽しめる環境を作ることは不可能。楽しみ方の許容範囲は主催側に一任されるべきもので、各々が勝手にマイルールを持ちこむなど無粋の極み。主催側がオタ芸を許しているならば、とがめる権利は誰にもない。

 

僕がお話を聞いた限り、ステージからフロアを見つめる当のアイドルたちもオタ芸を好意的に受け止めている人が多いようだ。まず一人目はクリエイティブアイドルとして活躍する“れなち”こと秋葉令奈さん

 

 

 

──ステージからファンの方のオタ芸を見てどう思いますか?

 

れなち:応援の仕方は人それぞれですので、お客様それぞれの楽しみ方でライブを楽しんでいただけたら良いと思います。アイドル本人はステージでは孤独ですので、そういう意味ではお客様と空間を作っているという一体感を感じられて私は嬉しいです。

 

──オタ芸をアイドルブームの象徴とする意見があります。アイドルとオタ芸の関係性について思うことはありますか?

 

れなち:私はアイドルのステージパフォーマンスを観るときは、「アイドル」と「オタ芸」をセットで観ています。そこで作り上げられる世界観もひとつの芸術作品ではないかと思っています。

 

──アイドル、アーティストとしてオタ芸を推奨しますか?

 

れなち:ライブの楽しみ方は人それぞれですので、周囲のお客様に迷惑が掛からない程度にオタ芸をするのは良いと思います。

 

続いて二人目はアイドルグループ『つぼみ』元メンバーの“りななん”こと歌手/女優の栗本莉奈さん

 

 

 

──アイドル時代、オタ芸についてどんな感想を持っていましたか?

 

りななん:つぼみはアイドルグループとしては一風変わった方針だったせいか、オタ芸をするファンの方はほとんどいなかったように思います。でも他のアイドルグループと共演したときに熱狂的にオタ芸するファンがいるのを見て「いいなぁ、自分たちもされたいな」と思ったのを覚えています。

 

──オタ芸は一般の人からは笑いの対象にされがちですが、りななんさんはどう思いますか?

 

りななん:ライブの現場を知らない方からどう映っているかはわかりませんが、アイドルとファンの関係には特別のものがあると思います。あえて言えば戦友みたいな。真剣にファンと向き合ってるアイドルならオタ芸されて嬉しくない人はいないんじゃないでしょうか。

 

***

 

アイドルのコンサートは歌舞伎やオペラの興行とは違う。誰にも邪魔されない環境で音楽だけを楽しみたいなら、家でCDを聴いたりDVDを観たりしていればいいのだ。「郷に入れば郷に従え」ではないが、せめてコンサートのときくらいはコアなファンたちの楽しみ方を認められる人が今後も大多数であってくれることを願うばかりだ。

 

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シンガーソングライター/音楽評論家

中将タカノリ

シンガーソングライター、音楽評論家。2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。深い文学性と、歌謡曲、アメリカンポップスをフィーチャーした音楽性で独自の世界観を構築している...

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