「リスク細分型保険」が若者のクルマ離れの原因?

マネー

 

少し前、なじみのクルマ屋さんのご主人と話していたときのこと。話題がいつしか若者のクルマ離れになり、「車両は中古車なら10万円以下から探せるけれど、任意保険がそれ以上掛かるから難しいよね」という話を聞いて、昔とは自動車保険の状況がまるで違っていることに愕然とした覚えがある。

 

リスク細分型と呼ばれる、年齢や車種、走行距離などによって保険料が細かく上下する方式が主流になった結果、筆者のようなオジサンは保険料がお得になった。特に自分の場合は年齢制限を上げており、取材でさまざまな車両に乗るので自家用車の走行距離は少なめ。幸いにして長年無事故ということも手伝って、昔よりはるかに安く済んでいる。でもそのままでは保険会社はやっていけない。どこかにしわ寄せが来ているはずだ。それが若者である。

 

近年は高齢者の交通事故が多く報じられている。警察庁が発表した2016年の統計で交通事故死者数を年齢別に見ると、たしかに80歳以上がもっとも多く、次いで70~79歳、60~69歳となっている。

 

しかし原付以上の運転者が第一当事者だった交通事故件数で見ると、もっとも多いのは20~29歳であり、免許保有者10万人あたりでは16~19歳がダントツになる。若者が事故を起こす確率は依然として多い。それに合わせて保険料金を決めていった結果、高くなってしまったのだ。

 

こうした傾向は車両保険には昔からあった。車両保険には事故率をもとにしたクラス分けがあり、スポーツカーはおしなべて高めだった。車両価格が同じ300万円でも大人しいセダンの倍以上ということもあった。これが理由で米国での販売が激減し、生産中止に追い込まれた国産スポーツカーもあった。

 

なのでリスクに応じて保険料を上下するのは理にかなっていると思う。しかしそれが若者のクルマ離れの原因のひとつというのなら気持ちは複雑だ。

 

 

■自動車保険料が高すぎて払えない若者は…

 

ところがそんな悩みを解消してくれそうな制度が、最近注目を浴びている。1日自動車保険だ。たとえば夏休みに故郷に帰省して親のクルマを運転しようとして、自動車保険に年齢制限が付いていて自分は適用外というときに、運転者として保険に加入するというものだ。同様の保険として、ドライバー保険というものが昔からあった。しかしこちらは通常の自動車保険のような1年契約が一般的。1日自動車保険がそれと違うのは、その名のとおり1日だけ入れることだ。レンタカーではおなじみだけれど、5年ほど前から個人所有の自動車向けにも商品が出てきている。

 

たとえば東京海上日動では「ちょいのり保険」というネーミングでこの種の保険を用意している。1日限定というわけではなく、最長で7日まで延長可能。驚くべきは料金で、車両補償なしなら500円、車両補償付きでも1500円となっている。一見すると激安に思える。でも毎日この保険を使うとなると365倍になるから、車両保険なしでも18万2500円になってしまう。

 

使い方はウェブサイトのQRコードを自分のスマートフォンで読み込んで事前登録を行ったあと、専用予約サイトで予約。支払いは携帯電話の利用料金といっしょに引き落としとなる。今の情報機器をうまく取り込んだ、若者のライフスタイルに合ったスタイルだ。これ以外に三井住友海上の1DAY保険、あいおいニッセイ同和損保のワンデーサポーターなど、いくつか商品が出ている。多くは500円というワンコイン料金となっているようだ。

 

ここまでクルマを持たない人向けというストーリーで1日自動車保険を紹介したけれど、数人で1台をシェアするような場合にもこの保険は良いかもしれない。そして保険料が負担にならない年齢になったら自家用車を買う。そんなカーライフもアリじゃないかと思う。

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森口将之

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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