【インタビュー】寛一郎 映画の世界へ踏み出す覚悟  “佐藤浩市の息子”と言われ続けることは「慣れている」

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『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

「いい俳優…いい俳優になりたいです」――。己の覚悟を噛みしめるように二度、口にした。映画『心が叫びたがってるんだ。』で出演作が初めて公開を迎える寛一郎、二十歳。

 

デビュー前から“佐藤浩市の息子”という言葉がニュースの見出しを飾った。今後もその枕詞は付いて回るだろう。そんなことは百も承知で、それでも父と同じ世界に飛び込んだ。強い覚悟と少しの不安を抱えて踏み入れた現場で、彼の心を解き放ったのは、同世代の仲間たちだった。

 

大ヒットアニメーション『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の制作チームによる劇場版オリジナルアニメーション『心が叫びたがってるんだ。』をアニメと同じ秩父を舞台に実写化した本作。“言葉”で大切な人を傷つけた過去を持つ高校生たちが、地域の交流会でのミュージカル制作を通し、成長していく様を描く。

 

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

寛一郎さんが演じたのは、かつて野球部のエースだったが、甲子園目前で敗れ、怪我のために投球もままならず、くすぶった思いを抱える大樹。「原作のアニメーションの中でも、大樹は大好きなキャラクターだった」と語る寛一郎さん。物語にも強く心惹かれたという。

 

「ここで描かれる葛藤や、言いたいことがうまく言えずに…という思いは、僕自身が常日頃から持っているもの。大樹だけでなく、ほかの3人(大樹と共にふれあい交流会の委員を務める拓実、順、菜月)に関しても、気持ちがわかる部分はすごく多かったです。現代の若者が抱える悩みや葛藤が抽出され、描かれていると思います」。

 

大樹の魅力を「男らしさ」と語るように、大樹はほかの3人と比べても、力強くハッキリと思いを言葉にするタイプ。だからこそ「俺がお前らを甲子園に連れていく!」と口にした仲間への約束を果たせなかったことが、腕の怪我以上の心の傷となっている。

 

「僕自身、大樹に共感する部分は多いけれど、似ているかと言われると、彼にようには生きていないと思います。どちらかというと拓実の方が近いですかね。フワッと周りに合わせて生きているというか(笑)。ただ、似ていないからこそ、演じやすいところはあったと思います」。

 

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

現場に入る前に、最も心配していたのは、拓実(中島健人)、順(芳根京子)、菜月(石井杏奈)とどのように関係性を作っていくかという点。「どんなに僕が役について考えても、実際に会ってみないとわからない。どうコミュニケーションをとり、3人にはまっていけるのか?」と不安と共に現場に足を踏み入れたが、杞憂に終わった。

 

「3人ともすごく優しくて、入っていくのは全然難しくなかったです。一番、難しいところだと思っていたことがすんなりとできて、すごくありがたかったです」。

 

特に主演として現場を引っ張る中島健人(Sexy Zone)には魅了された。

 

「とにかく素晴らしいなって思いました。根っからのエンターテイナーでみんなを笑わせたり、常に楽しませようとするし、キャスト、スタッフに対して誰にでも分け隔てなく話しかけてくれるんです」。

 

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

そして、撮影が始まると不思議なほど冷静に、過度に緊張することなく、演技に臨めたという。

 

「リハーサルだったり、こうやって取材を受けたりしているときの方がずっと緊張しますね(苦笑)。でも、現場ではあまり緊張はしなかったです。決して、役に入り込んで…っていうわけではないんですけど」。

 

できあがった映画をスクリーンで観たときの感想を問うと「こんなもんか…くらいの感じでした」とそっけなく語りつつ「もちろん、大樹は僕ですし、僕の顔なんですけど、不思議と見慣れた顔って感覚ではなかったですね」とも。

 

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

俳優の道に進むことを決意したのは18歳のとき。生まれてからずっと、俳優という仕事は、身近にあるものであり、やるかやらないかはともかく、いつか自分の中で向き合うべき存在だったという。

 

「“やる”という決心をするのに18年かかった――。それだけのことかなと思っています。決して伝統芸能ではないので、継ぐものではないんですけど。ある時期、ずっと映画を観続けていて、その中で…瞬間的に決めたのではなく、徐々に『やってみよう』という思いになりました」。

 

父、祖父(故・三國連太郎)と同じ道に足を踏み入れた以上、常に彼らの名前を持ち出され、比較されるのは避けられないが、本人は「言われてうれしくはないですけど、ずっと言われ続けてきたことなので、慣れています」と事もなげに語る。周りの喧騒は別として、自分自身も“父・佐藤浩市”の存在を強く意識している。

 

「それはもちろん、意識しますね。父親って部分に関して、言葉にするのは難しいけど…でも俳優として大先輩ですしね」。

 

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

“言葉”がテーマの映画だが、彼自身「言葉で何かを説明するのは決して得意じゃない」と苦笑する。
「やはり、ちゃんと伝えるべきことは言葉にしないとダメなんだって思わせてくれる映画ですけど、僕自身は…(笑)。難しいですね。言いたいときに言えないことはよくあります。性格ですね…(笑)」。

 

それでも、俳優としての覚悟、強い思いはきちんと言葉として持っている。

 

「映画に出て、いろんなチャレンジをしたいです。そしていい俳優、いい俳優になりたいです。何が“いい俳優”なのか…難しいですけど、これから探していきたい。同世代の俳優にも、いまはまだまだ全然、勝ててないけど、負けたくないです!」。

 

『心が叫びたがってるんだ。』(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

《photo / text:Naoki Kurozu》

 

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