「ピアス感覚」で体内に認証チップ注射…「バイオハッカー」になればSuicaもカギも不要?

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出典:SJAB

スウェーデンの国営鉄道・SJは、手に埋め込まれた認証チップを使ったチケット割引の制度を試験的に導入しました。きっかけは、チップを埋め込んでいた客の「これでお金を払えないか」という提案。こうした制度の導入を、ストックホルムのローカル公共交通機関・SLやスカンジナビア航空も検討しています。

 

チップのようなマイクロデバイスを体内に埋め込んだ、いわゆる「バイオハッカー」は国内に約1500人~2000人いるようです。

 

 

■注射を打つように埋め込み

 

認証チップの大きさは米粒ほど。一般的に親指と人差し指の間、もしくは小指下の柔らかい部分に注射を打つように埋め込みます。一度埋め込んだチップは外から見えず、本人も異物感はないとのことです。チップには一つ一つ、コード番号が組み込まれています。この番号を管理会社に登録すると、会社や自宅、車のカギとして利用できるようになります。

 

認証チップの技術自体は1970年代からあり、2001年にこのチップを飼い犬に埋め込むことが義務化されました(編注:猫の場合「推奨」)。犬や猫などのペットが好きなスウェーデン人にとって、認証チップはもともと身近な存在でした。

 

 

■政府にとっては「好都合」?

 

認証チップ普及の背景には、もう一つ、「キャッシュレス化」の流れがあります。スウェーデンは世界有数の「デジタル決済国」です。最近は、購入金額が50スウェーデンクローネ(編注:約675円)以下の場合も、多くの店舗でカード決済できるようになりました。また、銀行口座と携帯電話番号を連携させて、その場でお金をやりとりする「Swish(スウィッシュ)」といったアプリもあります。

 

スウェーデン政府は、福祉国家の宿命として、税金をより多く、正確に徴収しなければなりません。キャッシュレス化は、そんな政府の意向とノーベルのように「新しい技術好き」な国民の性格が合致したことで進みました。キャッシュレス化の進行にともない、近頃はカードや携帯電話すら持ち歩きたがらない人も出始めました。そんな時代の流れの中、情報管理とカードレスを実現する技術として、認証チップはIT・メディア系の従事者を中心に広まりました。

 

 

■なぜ「親にもらった体」を傷つけるのか

 

認証チップのメリットは何といっても、乗車券やカギの紛失、携帯電話の充電切れを心配する必要がないところ。一方、文化の側面から見ると、「親にもらった体を傷つけるべきでない」という価値観を持つ日本人にはやや理解しづらいでしょう。認証チップを「ピアスやタトゥーの一種」と見なすスウェーデン人もおり、日本人との文化の差を感じます。

 

スウェーデンでも、悪用を懸念したり、体への埋め込みに抵抗を感じたりする人はいます。ただ、北欧デザインに象徴されるように、スウェーデン人はオシャレなものや最新技術が大好き。たとえ体を傷つけても、認証チップはピアスやタトゥーより痛くないし、便利だ――。そう解釈する人は少なくありません。

 

また、将来的に目や耳の不自由な人が、手助けを必要としたとき使えるようしたい、との声も出ています。スウェーデンでの普及をきっかけに、今後多くの国でピアスやタトゥー感覚で認証チップを埋め込む人が増えていくのではないでしょうか。

 

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サリネンれい子

サリネンれい子

観光・情報ライター。スウェーデンに住んでいるからこそわかる、スウェーデンの旬な情報をお伝えします。デザインやアートから教育、福祉まで幅広いジャンルの情報を伝えるべく、日々精進する毎日。

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