【今週の大人センテンス】斉藤由貴の浮気報道でカンニング竹山がブチ切れ

話題

写真:MANTAN/アフロ

巷には、今日も味わい深いセンテンスがあふれている。そんな中から、大人として着目したい「大人センテンス」をピックアップ。あの手この手で大人の教訓を読み取ってみよう。

 

 

第68回 寄ってたかって責め立てる醜悪さ

 

「ひとんちの家庭だから(ほおっておけば)いいんだよ。浮気してすいませんじゃねえよ、お前らに関係ねえんだよ、バカ野郎!」byカンニング竹山

 

【センテンスの生い立ち】

8月6日に放送された『アッコにおまかせ!』(TBS系)が、W不倫疑惑を報じられた斉藤由貴の記者会見について紹介した。事の顛末をスタジオでたどりながら、司会の和田アキ子が「かわいいと得するよね」などと突っ込みながら斉藤由貴を批判。その流れで、もしまた浮気したらと話を振られたカンニング竹山は、カメラに向かって「俺が浮気しても、お前らに関係ねえだろう」と言い放ち、さらにこう言って浮気報道の過熱ぶりにブチ切れた。

 

3つの大人ポイント

  • 芸風を生かしながら、世の中を厳しく批判している
  • ヘンだと思っている何割かの視聴者に突き刺さった
  • 停滞しかけたスタジオの空気を派手にかきまわした

 

斉藤由貴とそのお医者さんがどういう関係だろうが、どういう流れで「恋人つなぎ」をしようが、私たちの人生にはいっさい関係ありません。ふたりに怒っていいのはそれぞれの家族だけだし、ふたりが謝る必要がある相手もそれぞれの家族だけです。しかし、斉藤由貴に限らず、浮気ネタはマスメディアの、つまりは世間の大好物。寄ってたかってマイクやカメラを向けて責め立て、世間というわけのわからない存在に対して謝罪を要求します。

 

極めて醜悪な光景ですが、今に始まったことではありません。ただ昨今は、どうでもいい情報が集まりやすくなったり広がりやすくなったりしたおかげで、あちこちで次々と浮気やら不倫やらが発覚し、恋愛がらみ特有のマヌケなディテールも報じられたりして、追いかけるマスメディアも怒る世間も大忙し。たしかに「面白い話題」ではあるにせよ、他人の浮気に腹を立ててエネルギーを消費するのは、考えてみたらずいぶん虚しい話です。

 

まあ、それを言ったら、SNSで日々せっせと政治などの小難しい問題に勇ましい発言をしている方々の怒りも、たいていの場合はとくに何も生み出してはいません。他人の浮気に腹を立てるのも大臣の失言に腹を立てるのも、しょせんは五十歩百歩の虚しさという気もします。おっと、そんなこと言ったら良識をたくさんお持ちのつもりの方に怒られますね。ごめんなさい。話を広げ過ぎても何なので、カンニング竹山の発言に話を戻しましょう。

 

その日の「アッコにおまかせ!」では、斉藤由貴の浮気スキャンダルを念入りに取り上げていました。今回の会見の様子はもちろん、過去の浮気スキャンダルの際の映像が流れたり、専門家(?)のコメントなどがボードで紹介されたりして、合間合間で和田アキ子が斉藤由貴の行動や発言をチクチクと批判。話題はどんどん広がって、レギュラー出演者の峰竜太が浮気がバレて夫婦そろって記者会見を開いた、35年前のエピソードが紹介されます。

 

続いて進行役のアナウンサーは、やはり過去に浮気スキャンダルがあったカンニング竹山に、もしまた浮気したらぜひ夫婦そろって会見してほしいと提案。それに対して竹山は、テレビカメラに向かって「俺が浮気しても、お前らに関係ねえだろ!」と、得意のブチ切れ口調で叫びます。斉藤由貴の浮気スキャンダルを紹介しているボードを指さして「これもひとごとだよ、ひとんちの家庭だから(ほおっておけば)いいんだよ。浮気してすいませんじゃねえよ、お前らに関係ねえんだよ、バカ野郎!」とも。

 

彼は誰に対して「お前ら」と言ったのか。それはきっと、芸能人の浮気スキャンダルを熱心に追い回すメディアであり、メディアが追い回して作られた番組や記事を喜んで読んでいる世間です。そう、浮気はけっしてホメられた行為ではありませんが、「お前ら」には関係ないし謝る必要もありません。何かあったら追いかけられる立場にある芸能人や有名人は、身に覚えがあろうとなかろうと、この発言に激しくうなづいたことでしょう。芸能人や有名人じゃなくても、大きな拍手を送った人はたくさんいたはず。

 

しごくまっとうで当然の主張ですが、勇敢な発言でもあります。浮気を擁護するのかとかバカ野郎とは失礼じゃないかとか、それこそ「世間」から的外れな批判を受けるかもしれません。日頃からキレ芸を繰り出している彼だからこそ、あくまでギャグに見せかけつつ、世の中のヘンな部分を厳しい口調で批判することができます。言いたいことを言うために、自らの芸風を見事に生かしていると言えるでしょう。

 

彼がこの発言をするまで、スタジオには「この話は、もうそろそろいいんじゃないか」という雰囲気になりかけていた気がします。おそらくそれを意識して派手にキレたことで、停滞しかけた空気がいい具合にかきまわされました。「お前ら」に言いたいことを言ったあとは、「俺の浮気はアッコさんとかみさんにバレなきゃ大丈夫」「バンバンしてやるぞ」と、冗談っぽさがエスカレート。そのパスを受けた和田アキ子が「私、(竹山が)そんなにモテると思わない」ときっちりオチをつけるあたりは、さすが実力者同士のコンビネーションです。

 

日々、いろんなニュースが流れてきますが、うっかり「自分に関係ないこと」で腹を立てたり、ましてや誰かを責めたりするのは、くれぐれも慎みたいもの。わかりやすい「悪者」を標的にして、ネットに正義の味方気取りで「謝罪しろ」とか「許せない」と書き込むような人には、絶対になりたくありません。芸能人の浮気報道などに対しては、小さく「ほっといたれよ」と呟いてスルーできる人を目指しましょう。

 

【今週の大人の教訓】

本音を言いたいときにはキレたフリをするのが有効かも

 

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石原壮一郎

石原壮一郎

1963年、三重県生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。大人の新しい概念と可能性を知らしめ、以来、日本の大人シーンを牽引している。2004年に出版した『大人力検定』は...

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