音楽フェスでの一体感強要、野球観戦での贔屓チーム応援強要…これってアリなのか?

エンタメ

 

『DIAMOND online』が『ライブやフェスで「熱唱する観客」は迷惑か?』なるタイトルのコラムを配信していた。先月末に開催されたフジロックに行ってきたらしい本コラムの筆者が、その現場にいた観客の多くから耳にした

 

「隣の人が大声で歌詞を熱唱していて、ミュージシャンの歌が聴こえなかった」

 

という不満について論じる内容である。まずは「観客に歌ってほしくない派」の意見から。

 

「歌に自信がある人ほど、大声で歌うように感じる。せっかくのライブなのに、他人の歌唱力自慢(=素人のカラオケ)に付き合わなければいけないなんて、地獄です」

「盛り上がる気持ちはわかるし、アーティストが客席にマイクを向けて歌うことを煽るときはむしろ大声で応えるべきだけど、やっぱ最低限のマナーは守ってほしい」

 

一方で、「観客に歌って欲しくない派」に異論を唱える声も案外多いようで、

 

「(観客が熱唱するほうが)一体感を味わえるし、アーティストに対するレスポンスにもなる」

「音楽を楽しむだけがライブではない。会場の空気、熱量を体感することも含めて、ライブの醍醐味。他の観客が盛り上がっているのを迷惑だと感じる人は、それこそ家でライブのDVDでも観ていればいいのではないでしょうか」

「海外では観客が熱唱するのは当たり前のこと」

 

……と、ちょっとした“アッチを立てればコッチが立たない”状態となっている。

 

さて。話はガラッと変わるのだが、私は自他とも認める熱狂的なトラ党で、阪神タイガースが東京ドームや神宮球場や西武ドーム(交流戦)へ遠征に来るときは、極力球場まで足を運ぶよう努力をしているのだけれど、じつのところ「レフトスタンドでの観戦」は、あまり好きじゃない。理由は、応援がうるさすぎて試合に集中できないからだ。

 

たしかに、私以上の虎キチが集い、応援歌を熱唱しながらウイットに富んだ汚いヤジを飛ばす、あの独特な雰囲気に身を置けば「我を忘れて阪神を応援する」一体感は十二分に堪能することができる。中谷や伊藤(隼)がホームランを打ったり、福留や大和が逆転タイムリーを放ったり、球児が三振でピンチを乗り切ったときなんかの高揚感や見知らぬとなり客とのハイタッチは球場観戦ならではの“ライブ感”だと言えよう。

 

が、同時に、投げて打っての一球一球を一瞬たりとて見逃したくもない。「レフトスタンドで懸命に旗を振ったり、トランペット吹いたり、グラウンド側に背を向けて応援を指揮しているヒトたちはちゃんと試合を観ているのか?」と疑ってしまうことも、正直なくはない。

 

話を戻そう。今回の「フェスで熱唱する観客」問題は、このレフトスタンド(※甲子園だとライトスタンド)ケースと非常に似ている気がする。

 

もちろん、お金を払って球場に来ているフーリガン的応援団の皆さまに「うるさいから、もうちょっと静かに応援してください」なんて注意を促す権利など、私にはない(そもそもおっかなすぎてそんなこと、とてもじゃないけど言えやしない)。楽しみ方は人それぞれ。禁止されていない以上は“極端組”を自分からなるべく遠ざける手段を考えるか、「その場にしかいられなかった自分の運が悪かった」とひたすら我慢するしかないのである。

 

ただ一度、東京ドームのレフトスタンドで、お父さんとジャイアンツの背番号10番ユニフォームを着た小学3年生くらいの息子さんがいて、その親子に向かってタテジマの長ランハッピを着たアンチャンが「出ていけ!」とがなり立てる残酷なシーンを私は目の当たりにしたことがある。そして、その親子は真剣に身の危険を感じたのか、まだ3回途中だったにもかかわらず、とぼとぼと球場から去っていった。

 

そりゃあ、レフトスタンドでの慎之助ユニフォームは虎キチ的にはマナー違反なんだろうけど、去っていく親子の淋しそうな後ろ姿を見ていたら、あまりに可哀相で、せっかくのナイター観戦なのに暗〜い気持ちになってしまった。あれ、幼心に少なからずのトラウマとして絶対に残ると思う。それくらいは笑って見過ごせる鷹揚さも同じトラ党としては見せてほしい。もしかすると、たまたま誰かからもらったチケットで、野球や応援チームのテリトリー分けのことを知らなかったお父さんが、頑張ってジャイアンツファンの息子さんを連れてきたのかもしれないし……。どこであろうと贔屓チームの応援を他人に強要することは、フェスで「なんでもっと盛り上がらないの? もっとみんなで歌おうよ!」と一体感を義務付けされるのと一緒なのではなかろうか。

 

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ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

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