SKE握手会の悪臭は「フェロモン」!? 人が自分のクサさに気付けない理由と臭い対策の基本

ヘルス&ビューティ

 

「深刻な問題です苦情が入りました。並んでいる女の子から、ニオイに耐えられないからどうにかして欲しい、と」

 

SKE48の松村香織さんが、握手会に来ていたファンからの「苦情」をツイートしたところ、大きな反響を呼んだそうです。誰だって、自分の体臭で相手を不快な気持ちにしてやろうなんて思ってもいないのに、どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょうか?

 

 

■体臭問題は「ワキガ」だけじゃない

 

口臭でも体臭でも、他人にとって不快なニオイは、本人が気付きにくいものです。ニンニクたっぷりの餃子を食べた翌日、他人に思いっきりしかめっ面をされて、「え?やっぱり臭い?」と感じた経験は誰しもあるでしょう。ニオイは、嗅覚器で得られた情報を脳の側頭葉にある嗅覚野で処理して感じます。しかし、同じニオイを感じ続けると、脳が処理する際にフィルターをかけ、感じにくくしてしまいます。これは香水をつけすぎた場合も同じで、本人は気付きません。強いニオイの中でも他の感覚を失わないようにするための動物的な自己防衛手段であり、誰もが持つ性質です。

 

体臭はワキガ体質の人だけの問題と思われがちですが、世の中に体臭のない人はいません。ワキガ体質の人はアポクリン腺という性腺が発達しており、フェロモン状のニオイ物質を分泌する傾向が強い。だから、普通の人より体臭に気を配る必要があるだけです。なお、体臭の原因物質は、食べたり飲んだりしたものから作られます。それらが体の中で消化・代謝・分解、血液を経由し、汗や皮脂腺から皮膚の表面に分泌され、体臭になります。ただ、この段階だとニオイはそれほど強くなりません。

 

問題は、皮膚の表面に分泌された体臭の原因物質を皮膚の常在菌が食べ、アンモニア、硫化水素、メルカプタン、低級脂肪酸(分子量が少なく、揮発性のある脂肪酸)として放散することです。これらの物質は高い揮発性を持ち、強い悪臭を放ちます。

 

 

■握手会の悪臭は「フェロモン」だった!?

 

ここで、冒頭の「苦情」に立ち返ってみます。ニオイの原因は暑かったから、会場が混んでいたから、だけではないかもしれません。「フェロモン」という言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。人間は一人ひとり「自分のニオイ」を持ち、個性を主張したり、異性を引き付けたりするとされています。人間は他の動物と比べて嗅覚が退化しているためあまり感じませんが、興奮したり、緊張したりするとアポクリン腺から普段以上にフェロモン状の物質を分泌します。この物質は香水のような芳香でなく、どちらかというと動物臭いニオイのため、通常悪臭に感じてしまいます。もしかすると、握手会のニオイはこのフェロモンが関係していたのかもしれません。

 

「手に汗を握る」とはハラハラ、ドキドキを表現する言葉ですが、実際に人間は緊張したり、興奮したりすると手のひらに汗をかきます。実は手のひらに汗をかくような場面では、足の裏にも汗をかいています。握手会を訪れたファンは少なからず興奮しているはずなので、おそらく、手のひらや足に汗をたくさんかいていたはず。体臭の原因物質を悪臭に変える皮膚常在菌は、発見されたものだけでも200種類以上あり、体温と湿度で短いうちに爆発的に増殖します。蒸し暑く人でこみ合った会場に、興奮したファン。皮膚常在菌の爆発的増殖にこれ以上の条件はありません。

 

 

■ちゃんとできているか?体臭のコントロール法

 

前述の握手会では、市販の制汗剤やデオドラント製品が効果的だったようです。しかし、そのような対策製品を使う前に、まず自分の体臭をコントロールすることが大切です。

 

対策その1。皮膚を清潔に保ち、皮膚常在菌を増やさないようにしましょう。汗をかきやすい夏には、夜の入浴はもちろん、翌朝もシャワーを浴びるくらいの配慮が欲しいところ。午前中汗をかいた部分を、昼にウェットティッシュでふくのも効果的です。

 

対策その2。強い体臭の原因になりやすい物質を出すアポクリン腺と皮脂腺の多い部分をしっかり洗いましょう。二つの分泌腺は大体同じ場所にあります。ポイントは四肢の付け根と体の中心線。つまり、脇、股、顔のTゾーン、鼻、口の周りです。また、足の裏は汗をかきやすく、蒸れやすいので常在菌が増殖しやすい場所です。足の指の間も丁寧に洗いましょう。

 

対策その3。靴下に関しては、毎日清潔なものを履くのは常識として、途中で履き替えるぐらいの配慮があってもいいでしょう。男性の中には毎日同じ靴を履く人がいますが、これは大問題。一日履いた靴は、二日乾燥させ、週に一度は日光に当てて殺菌しましょう。

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ニオイ文化の伝道師

大泉高明

東京農業大学、東京教育大学大学院でフェロモンを研究。全薬工業で天然の制癌剤を開発し、大和生物研究所でクマ笹医薬品の研究に携わる。医学博士。東京農業大学客員教授。蓼科笹類植物園理事長。日本家庭薬協会理事...

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